(5)義父と仕事
この時義父は80歳、もうとっくに仕事を引退して家でのんびり過ごしていてもいい年齢だ。しかし、1人で個人事業主として仕事をしていたこと、他に趣味なども特になかったこと、そこに、経営が自転車操業に近い状態だったこともあり、義父は毎日仕事に出かけていた。なぜ私が義父に仕事を引退してほしいと願っていたのかと言うと、理由は1つ、自動車の運転免許証を返納してほしいからだ。義父に車の運転をやめてほしかったから。義父は仕事場まで車で行き、品物を運ぶのにも車を運転していた。近距離ばかりの運転ではあったが、いくら慣れた道でも、事故を起こしたらどうしよう…という不安が常にあった。当時、高齢者の運転による事故、高齢者の芸能人の方が自ら運転免許証返納、というようなニュースがよく流れていたことも影響したのかもしれないが、車の運転をやめてほしい=仕事を引退してほしい。と願っていた私にとって、義母の介護スタートは、大きな理由にすることができた。「じいちゃん、ばあちゃんは退院しても今まで通りには動けないと思う。じいちゃんがたくさんサポートしてあげないとあかんことになると思う。日中ばあちゃん1人で過ごさせるのは難しいと思うから、お仕事はここらでおしまいにしてばあちゃんと過ごしてもらいたいと思ってるよ。」、と繰り返し伝えた。