(123)義父 入院
義父が入院した。四日前、施設から連絡があり、「朝、ヘルパーが部屋に入ると部屋の中で倒れていた」と。体が硬直しているような感じでヘルパー1人では起き上がらせることもできず、スタッフが抱えてベッドに移動させてくれたらしい。倒れた瞬間を誰も見ていないから、足をすべらせたのか、ふらついたりめまいがしたりしたのか、前日までは義父に何の異常もなかったらしいから、施設のスタッフも、義父がなぜ倒れていたのかはわからない。その後、トイレを失敗して衣服を着替えさせてもらうとき、右半身に数か所、皮膚剥離が見られたらしい。倒れたときになったとはわからない傷らしく、自分で掻きむしったのか、寝ているときになったのか、それもわからないままだったが、義父は、ゆっくりゆっくりとなら自立歩行ができていたこと、食事もとれたこと、会話もできていたことなどから、とりあえずはもう少し様子を見よう。翌日は往診の先生が来られる日だからそのときに、往診の先生に診てもらおう、ということになった。
翌日、往診が終わったところで電話があった。本人は特に痛がってはいないが、もしかしたら骨折しているかもしれない、頭を打ったかどうかもわからない、そして発熱してきている、ということで救急車で病院に行くことになったと言われた。その日は土曜日で、夫は仕事がお休みでまた寝ていた。私は1人ですぐに施設に向かい、そのまま救急車の後ろをついていくことになった。
部屋で倒れていた、反応がにぶいときがあった、食事をとれたりとれなかったりだ、発熱してきた、右肩と右腰に大きく皮膚剥離ができていた、など、病院の待合の椅子で、施設のスタッフに1両日の義父の様子を教えてもらい、義父の検査を待つ。検査はなかなか終わらず、スタッフさんは先に施設へ戻られた。私はそのまま病院に残った。義父は処置を終えて施設に、戻れるのだろうか、それとも入院?骨折してたら大変だな…など考えながら待っていると看護師さんがきた。「入院になります。」私は、入院してこれからいろいろ検査するんですか?と聞いた。すると、看護師さんから返ってきたことばは、「血液検査の結果で、肺炎ということで入院になります」と。予想していなかった入院理由に私はとてもびっくりした。発熱がある、とは聞いていたが、まさか肺炎とは。では、部屋で倒れていたことと、この肺炎は関係ある?ない?肺炎でしんどくて倒れた?それとも倒れて病院に来たことで、偶然肺炎になっていたことに気づけた?どういう順番??わからないことだらけのままだ。とりあえず、施設に預かってもらっていた薬などをもらいに行き、入院セットも用意し、再び夫と病院に持って行った。83歳、認知症、食事をしているのにどんどん痩せてくる義父。これからどんな治療を、どれくらいの期間するのだろう…。施設に戻れるようになるのだろうか…。何日間も寝たきりの生活を送って、また歩けるように戻るのだろうか…。もう歩けなくなるのだろうか…。じゃあ施設にはもう戻れないのかな…。じゃあどうなるの?一気にいろんなことを考えてしんどくなる。いけない。考えても仕方のないことは考えないようにしなくては。今日は連休明けで、ようやくケアマネさんも病院や施設と連携を取り始めてくれるはず。今は病院に入院しているのだから、全て病院に任せて、私は私の日常を。何度も自分にそう言いながら過ごしている。