長崎は世襲ジュニアの戦い
岸田内閣から、農水大臣は、九州選出の議員が多い気がして調べてみましたら、岸田政権からですね。
石破内閣で任命されたのは小里泰弘氏。鹿児島選出の衆議院議員です。その前が熊本選出のの坂本哲志氏。その前は長野選出の宮下一郎氏で、その前が鹿児島選出の野村哲郎氏、そしてその前は長崎の金子原二郎氏が、岸田内閣の第1次、二次と務めています。九州を歩けば、農水族関係者が多いイメージですけど、こんな風に大臣が続けば、「九州は農水に強い」印象になるのも当然かもしれません。
この日訪問した金子容三氏の選挙事務所は、岸田政権で農水大臣を二期務めた金子原二郎氏の長男です。「ご子息にバトンタッチ」と言うと与党風ですが、野党風なら「地盤看板カバンの3バンを引き継ぎ」、「政治団体も相続したのか」などと問い詰められそうないわゆる世襲議員。それもそのはず、父親の金子原二郎氏は、衆議院議員から長崎県知事に転じて3期務め、その後は参議院議員だったのですよね。そしてそのお父さん金子岩三氏も農水大臣等を歴任した国会議員でした。引き継ぐ息子の側からみたら、有難い部分と、痛くもない腹を探られて嫌になる部分もあるのではないでしょうか。その金子容三候補の選挙事務所を訪ねてきました。
着いたら事務所開きの本人スピーチ!ラッキー!
長崎は、離島の数が日本で一番多い県です。県全体でなんと1479もの島があります。人が住んでいるのは51島らしいのですが、それにしても、選挙の時どうやって投票箱を設置して、回収するのか。選挙権は憲法で定められた国民の権利ですから、投票できないことはあってはならないはず。でも台風などで投票箱が回収できないことも想定されるので、投票箱は通常の「投開票日」より数日早く回収されるのが常です。また、候補者はめったに離党に足を運べませんので、選挙活動自体どうやっているのか、何が効果的なのか、興味は尽きず、私は事あるごとに長崎を訪問しては離島を尋ねてきました。
さて、選挙のたびに訪れている長崎に今回もやってきました。選挙事務所だけでも見られたら良いと思い金子容三事務所を訪ねて行きました。表通りに面した大きな看板は、すぐにみつかりました。うわー外観は華やか!そこで後援会の案内でも頂こうと、事務所のドアを開けてご挨拶をしたら、ちょうどいま事務所開きをしているので、中へどうぞ、と丁寧にご案内頂きました。
本人挨拶
中では立候補予定者本人が挨拶をしているところでした。安定した声の持ち主で、心象の良い声質。優しい印象の面立ちの男性が、金子容三氏でした。
そこに集まっていたのは支持者の方々。そして関連議員。ただ、ほぼ男性だったので全体的に華やかさには欠けた印象。THE自民党支持者。どこでもしっかりこの形式の会をやるのが自民党です。これも文化のひとつなのでしょう。
国会議員も
事務所開きが終了して廊下に出るとご本人がひとりひとりに握手でお見送りをしていました。事務所開きや決起集会ではいつもの光景。流れで私も握手。
辛口チェック
野党も世襲
野党の事務所も訪問しようと、歩いている途中、山田正彦元衆議院議員の娘さんのポスターを見つけました。どことなく面差しが似ていらっしゃいます。県議会議員なのですね。
立憲民主党の末次精一氏の事務所も直ぐに見つかりました。
選挙事務所は、この事務所より20Mくらい奥に行ったところでした。通りに面して元気な印象。「こんにちは!」と中に入ると、5~6人の方々がポスターの準備をしていました。昔、秘書の大ボスから「秘書の仕事は、ボランティアさんに仕事を作ることだ」と言われたことを思い出しました。せっかく来てくださった方に頼む仕事を用意することです。チラシを折るとか、電話をかけるとか、お願いして初めて票になる。そう叩き込まれたことを思い出しました。
山田勝彦氏の選挙事務所
次は、山田勝彦事務所。元農水大臣の山田正彦氏のご次男。確かに、よく似ていらっしゃる。ここは旧3区の大村市。長崎空港もあり、西九州新幹線の駅もある、勢いのある市。でも、今回の総選挙から新長崎2区となりました。
事務所は忙しそうでした。そして通りがかりにポスターを眺めながら写真をとって歩きました。
辛口チェック ~山田氏~
世襲議員の是非
私は、世襲議員はすべて悪いとは思っていません。でも、世襲議員にあるとされる「地盤、看板、カバン」のうち、先代からの選挙区や知名度はまだゆるせても、政治団体を非課税で引き継ぐことまで現行法では認められており、私たち国民の相続財産には、相続税が課されていることと考え合わせると、優遇されすぎでしょう。この点は、つい最近、ご自身が世襲である石破現総理も改善を言及されていたのを記憶しています。
親が政治家の家で育つと、良くも悪くも「門前の小僧、習わぬ経を読む」の教えを体現するものです。「政治とは、政治家とは、」を傍で見聞きするなかで、身体で考えながら育つからではないでしょう。
世襲議員が一律に全員悪いと思えないのは、この良さが現れた時。「人を率いるために、率先して何を語り、何を行動するか」がわかっている、帝王学を体現している時です。
しかし、やっぱりダメだと思うのは、世襲の悪いところが出ている時。
会社経営者の承継問題と同じ悩みで、恵まれた地位や役割に安住し、目標やビジョンがなく、ただその環境を職として得ようとしている場合です。
私企業の場合と異なり、公職なのですから、私たちが、甘やかさずにしっかり見極めることも必要なのではないでしょうか。
私たちはつい、ヒーローのような完璧な政治家を求めてしまいますが、そんな完璧な人はいません。だったら、今、目の前にいる政治家を、しっかり見て、ダメなことはダメと厳しく指摘し、甘やかさず育ててゆく覚悟を持つことが、私たち有権者の役割であり、当落のある選挙の本質なのではないかと思うのです。
次もお楽しみに♪