見出し画像

赤信号と傘が嫌いなフランス人

お返事は、はい!かOui!かBien sûr !
salut!クミ長です。

フランス旅5回目でフランス滞在日数が合計100日を超えた今回の年末年始フランス・ワーケーション。留学体験のない私にとって、フランスは日本以外の最長期滞在国です。どうしてこんなにフランスに行きたくなるのか、自分でもよく分からないままでした。他の国でも楽しいはずだと、昨年は夏にオーストラリア横断ワーケーションをしてみたり、ベトナムやマレーシアでやってみたりしました。確かに異文化は総じて楽しいです。でも、それと同時に、楽しんでいるはずの日々の中で、必ず猛烈にフランスが恋しくなってきます。

こんなにフランスに惹かれるのには、気に入った何かがあるからに他ならないのですが、それが風景なのか食なのか芸術なのか。はっきりとしないままでした。それが、今回のワーケーションで、猛烈に好きな理由に気がついたのです。これは収穫でした。なーんだ、そんなこと?という程度のことかもしれません。でも、これは今まで気づかずにいた、私の中の私を見つける大発見でもありました。

それは、小雨が降る夕刻に、食材を買いにでかけたときのことでした。

傘 Parapluie

Il pleut

フランスは日本と8時間の時差があります。日本と電話やZOOMでやり取りが必要な仕事は、ビジネスタイムの重なる、日本15時=フランス朝7時くらいから、日本の終業時間18時=フランス午前10時くらいの間に設定します。

この日は、朝のうちに日本のクライアントとの電話打ち合わせと、ZOOMコンサルティングがあり、その後、依頼のあった原稿を仕上げれば、午後3時からは自由な時間を確保できる日でした。仕事をしながらプライベートな時間が「旅」に変化するワーケーションで、私の毎日の楽しみは夕食の食材の買い出しです。フランスのスーパーマーケットは、食材が安くて健康的でカラフルで、つい大量買いしたくなる魅力的なものが沢山あります。食材については、ここでまた書きますが、散歩がてら気に入ったスーパーマーケットに行くのがこれまた楽しい。片道1時間くらいならバスも使わずに歩きます。なんたって景色も楽しいので、全然疲れません。多少雨が降っていても、重くなるので傘はもたず、この日もエコバックひとつで身軽にでかけていました。

この日は一日中小雨

買物を終えて外に出ると小雨が降っていました。私は首に巻いていたストールを頭に巻いて部屋へ帰る道を歩き出しました。同じように外を歩いているフランス人たちは、そのまま濡れて歩いています。パーカーのフードをかぶっている人はいるけれど、大雨でないこともあって、急ぎ足でもなく、歩いています。この日も部屋に帰り着くまでのあいだ、行きかう人は皆しっとりと濡れながらゆっくり歩いていました。ほんの数人、小さな古い折り畳み傘を頭にかぶるようにしている人を見かけただけでした。

私は、好きな傘を二本持っています。でも、傘は持って歩くのもさすのも嫌い。荷物になるし片手がふさがって不自由になるから。だったら濡れればいいか、と私の傘はいつも家でお留守番となります。なので、この辺りは勝手にフランス人との親近感を感じていました。

赤信号 Feu rouge

クリスマスマーケットの前で

このフランス人に対する親近感は赤信号でも同じものを感じます。フランス人は、そこが横断歩道であれば、信号が赤でも左右を見て安全と判断したらスッと渡っていきます。あ、念のため、私は赤信号で渡ることを推奨しているわけではありません。フランス人は進むか止まるかの判断を、信号だけに左右されていないということをお伝えしたいのです。そして、赤信号を渡るときでも、横断歩道を走ることもしません。ゆうゆうと自分のペースで歩いて渡りきります。車はというと、横断歩道の前では必ず減速するし、ほぼ間違いなく止まってくれます。ここは日本とは大きく違うところ。たぶん、法律のたてつけや、習慣の違いだと思うのですが、歩行者優先がしっかり定着しているのですね。パリの都心部には往来の激しい交差点がたくさんありますが、それでも人々は、信号に関わらず、堂々と悠々と、渡れるなら渡る、というスタイルです。

最初は少し驚きましたが、見慣れると、なんとも心地良いではないですか。自分のペースで自分の判断で、この先に進むかどうかを決めている。それも誰の目線を気にすることもなく、何を気負うことなく。信号無視を推奨しているわけでないことは再度お伝えしておきますが、私がフランス好きなのは、シャンパーニュがあるから、街並みが素敵だからというのももちろんありますが、どうもこの理由がピッタリときそうな気がしてきました。

私のフランス人気質分析

雨上がりのノートルダム前広場

雨の中、傘もささず急ぎもせずに赤信号をゆったりと渡っていく人々を見て、気がついたのは、彼ら彼女らは、自分のペースを乱されることが嫌なだけなのだということでした。雨が降っているから傘を持って出かけるのは、荷物が一つ増えるし、何より傘をさすとなると片手がふさがる。これが嫌なんです。だから傘は持たないし差さない。

赤信号も同じ理由。車も来ていないのに赤信号なら止まっていなければならないことに合理性はない。渡ろうとしているのが横断歩道なら、車はほぼ止まるのがフランス流。だから車が来もしない横断歩道で、行く手を阻む赤信号と他人の視線に気を使う必要はないのです。

止まない雨はない 

Après la pluie, le beau temps

誰にどう思われるだろうと毎日どのくらい考えていることでしょう。誘いを断るとき、それは好きじゃないと言うとき、相槌をやめるとき。

大学生のとき、留学帰りの教授と話していると「君はフランス人のようだ」と言われて妙な気分になったことがありました。その言葉のニュアンスは決して褒められているわけではなく、ましてやおだてられている風でもありませんでした。その妙な感覚は今もよく覚えています。その答えもここにあるのではないかと思いました。

私は誰かや何かに左右されることが嫌いです。それはたぶん、幼児期に支配的な物言いをする母親に起因します。私は子どもでしたから反抗のしようがありませんでしたが、頭ごなしに命令口調で指示されることがとても嫌でした。幼い私は、もっと柔らかく自由でありたかったのでしょう。幸いなことに周囲には私をメロメロに可愛がってくれる祖父や叔父たちがいたので、心を病むには至りませんでしたが、制圧的な言葉や態度に敏感なのはこの頃の影響だと思っています。よって、私は私を制約する赤信号も傘も嫌いなのです。

雨が降ろうが、髪が濡れようが、信号が赤だろうが、私は私。私がフランスにいて心地よく感じる理由はこれでした。
あースッキリ。
止まない雨はない!Après la pluie, le beau temps.

さて、今回のフランス滞在記は、フランス国内を移動しながら経験して分かったことを、項目ごとに書いていきたいと思います。たとえば、フランスのトイレ事情、フランスの食・スーパーマーケットと物価、フランスのバゲットは本当に美味しい?、ワーケーションで使った宿の室内と風景、フランス人はツッケンドン?などなど。そして、今回初「娘とそのちびっ子二人とフランスの田舎町で過ごした10日間」を書いていきますね。ワーケーションを考えている方、フランスが気になっている方のご参考になると嬉しいです。

では、次回もお楽しみに♪
A bientot!


いいなと思ったら応援しよう!