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日本語学校の経営者・教務主任・教師の役割と日本語教育の未来
日本語教育と聞くと、多くの人が「言語習得」や「文化の学び」を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際にはそれだけではなく、日本語教育は外国人学習者が日本社会に参加するための準備を整える場でもあります。今回は、少し重たいテーマですが、この日本語教育の本質と経営者・教務主任・現場の教師のそれぞれの役割についてお話ししたいと思います。
日本社会と外国人のつながり
日本に来る外国人は、日本政府によって慎重に選ばれ、日本社会のさまざまな課題解決に貢献することが期待されています。少子高齢化や国際競争力の低下、農漁業の後継者不足といった課題に直面する日本にとって、外国人材は欠かせない存在です。しかし、外国人が日本社会でその能力を十分に発揮するためには、日本語の習得だけでなく、社会との結びつきを意識した教育が必要です。
日本語学校の経営者と教育の現場
日本語学校の経営者は、社会課題に取り組む中で学校を設立し、外国人学習者に学ぶ機会を提供しています。経営者は利益を追求する一方で、社会貢献を念頭に置き、事業を展開しています。このバランスを保ちながら、日本語教育を日本社会の未来につなげる役割を果たしているのです。しかし、現場の教師から見ると、経営者の視点は「別世界」に感じられることもあります。企業として当然の「利益を追求する」というところにのみ注目して、経営者が日本語学校と社会を結ぶ役割をしているということはあまり(というより全く)知られていません。
私たち日本語教師も、このような経営者の視点を理解することが重要です。日本語教育が単なる「言語の教授」ではなく、日本社会と学習者を結びつける役割を担っていることを意識することで、仕事の幅を広げることができるからです。
教務主任の役割
こうした背景の中で、教務主任が果たす役割は非常に大きいです。教務主任は、政府の方針や経営者の考えをもとに学校の方針や学習計画を立て、教師たちに伝えます。また、教育現場で生じる問題を解決し、教師たちが社会的責任を果たせるよう支援する役割も担っています。
特に重要なのは、学生の利益と国益のバランスを取ることです。例えば、外国人学生が不当な扱いを受けないよう配慮しつつ、日本社会の課題解決に貢献できる人材を育てるという視点が求められます。このように多岐にわたる責任を担う教務主任のリーダーシップが、日本語教育の未来を大きく左右するのです。
日本語教師の成長と社会的地位
私が日本語学校で働いていた頃、教務主任が教師たちに「国益と教育のつながり」について繰り返し伝えていたことを思い出します。当時はその重要性を十分に理解できていなかったかもしれませんが、今ではその意味がよくわかります。
日本語教育を通じて日本社会に貢献することで、教師自身の社会的地位も向上します。これまで長く議論されてきた日本語教師の待遇改善の糸口は、この視点にあるのではないかと感じています。
未来に向けて
日本語教育は、外国人学習者が日本社会で活躍するための「鍵」となるものです。そして、教務主任はその鍵を開くための重要な役割を担っています。彼らのリーダーシップが教師を支え、学生を成長させ、ひいては日本社会全体に貢献する力となると考えています。
今回のテーマは少し重たく、議論の余地もあるかもしれません。しかし、私たちが未来に向けて考え続けるべき課題だと感じています。この内容が何かの参考になれば幸いです。