Verliebt in Namibia🇳🇦ナミビア家族旅行⑥異国での建国記念日🇨🇭
スイスを出てから、休暇だというのに慌ただしい毎日が続いていたけれど、今朝はタイマーをかけずにゆっくり眠れた。移動のない初めての日。
セルフドライブ旅行者の掟は夕暮れまでに目的地に着くこと。さもなくば街灯なんて一つもない真っ暗闇の中、未舗装道路を野生動物との衝突覚悟で彷徨うハメになる。
ナミビアでのドライブは1日300kmが上限。未舗装道路、悪路も多く、タイヤのパンクは日常茶飯事、トラブルが起きても広大な人口密度の低いこの国では、いつ助けが来るかなんて分からない。
これからの旅でも、朝から荷物をそそくさとまとめ、子供達を急かしながらの慌ただしい日々が待っている。
100年以上前のドイツ植民地時代に交番として建てられ、今は国営宿泊施設の一部と姿を変えたレストランで朝食を取る。
ちょっと古ぼけた、良く言えばコロニアルでアンティークな建物の中には当時のドイツ皇帝と皇帝妃の肖像画と植民地時代の白黒写真が沢山飾られていた。
ここで働く陽気で優しいスタッフ達は、どんな思いでこの空間で働いているんだろう!?
観光客がナミビアの歴史を知る良い機会?
ドイツ人が自国の歴史をかえりみるきっかけ作り?
それとも、もうただの景色と化しているんだろうか??
と思いながら、こんな辺境なのに一人ずつ好みの卵料理が運ばれてくる事に感謝しつつ、ゆったりと朝食を楽しんだ。
この日はこの地の名前にもなっているワーターベルグに登る。
水の山という意味のテーブルマウンテンで、頂上の平らなテーブル部分は全長約50kmにも及ぶ。
子供でも簡単に登れるという事なので、水とお菓子をリュックに詰めて登り始めた。
ゴツゴツした岩肌を足元に注意しながら登る。木や岩に手を掛ける時も、虫や蛇がいないかしっかり見なさいよ!と声を掛けながら。
山の麓でも標高は1600m。晴天でも影に入ったり、風が吹くと寒い!上着を着たり脱いだり、背中に汗をかきつつ頂上に登り詰めて、待っていた景色に思わず感嘆がこぼれた。
突然開けた視界には、雲ひとつない晴れ渡った大空と見渡す限り地平線が広がっていた。
私達がナミビアで見た一番初めの絶景!
有名な南アフリカ・ケープタウンのテーブルマウンテン頂上からの景色よりも感動した。ケープタウンでは観光客で溢れかえっていたけれど、ここではこの大絶景も私達で独り占めという贅沢を味わえた。観光ハイシーズンだと言うのに。
しばらく頂上に腰を下ろして、お菓子を食べながら景色を堪能し、山を下りることにした。本当はもっとゆっくりしたかったけれど、夕方前にはサファリに行く。観光客の一日は何とも忙しい…
大絶景の後はアフリカ旅行のメインアトラクション・サファリ!!今回の旅での初サファリ、子供達は張り切っている。
集合場所で待ちながら、少人数で行きたいな!と期待していたけれど、どんどん人が集まって来て、20人ほどが大きめのサファリカーに乗り込み出発した。
さっき登った山を別のルートから車で駆け登る。上下左右に大きく車体を揺らしながら、サファリガイドは楽しそうに慣れた道を突っ走る。これがアフリカンマッサージ!お尻が鍛えられるよ!と陽気に解説している。生い茂る木の枝がオープンカーの座席まで飛び出して来るので、ボーッと座っていられない。
あっと言う間に頂上に登り詰めて、しばらく走るとキリンが見えた。
遠くから見ると本当に真っ平のテーブルみたいな山の上に、ザ・アフリカな動物が住んでいるのが何か変な感じ。どうやって山を登ったんだろう?いや、山の上で生まれ育ったのか??アフリカの動物は平らなサバンナにいると言うイメージを覆された。
そんなことを考えている内に車が止まって、降りるように促される。フェンスに囲まれた細く長い通路を進むと、薄暗い空間にたどり着いた。
ベンチが備え付けられ、腰を下ろした時の目の高さ部分が窓のように切り取られている。目線の先には水場がある。どうやらここでは逆動物園のように人間が檻に入って、水を飲みに来る動物を観察するらしい。
えっ!これがナミビアのサファリ!?ショボくない!!??
と内心驚きつつも、そんな事を口に出したら周りのワクワク感を下げてしまうので黙っておく。いや、きっと私と同じように感じた参加者はいたけれど、誰も何も言わなかったんだと思う。
まぁ仕方ない、とりあえず静かに座って外を眺める。キリンが水を飲みながら、こちらを時々眺めている。
このワーターベルグ周辺でのサファリの目玉はサイ!見られる確率が高いので、観光客はみんなこれを楽しみにしている。
20分程待っても他の動物はやって来ず、次に向かう事になった。車に乗り込み、次のポイントへ向かう道中も沢山のキリンが姿を見せる。
2つ目のポイントに到着し、さっきと同じように細長い通路を黙々と進む。でもここでも現れるのはキリンばかり。
ガイドは明らかに焦っている。「おかしいなぁ…こんなキリンばっかりの日なんて珍しい…もう一つ最後のポイントがあるから、そこに賭けよう!」と祈るように言葉を絞り出していた。
陽が傾き始め、気温も下がってくる。キリンしか見られず、ムードが下がる中、最後のポイントに着いた。気の毒なガイドの為にも、サイよ!現れてくれ!!と願いながら通路を歩いた。
先に歩いていたガイドが私達の方を振り返って、しー!っと人差し指を口に当てる。
期待と共に見つめた先には、やったー!サイがいた!!
親子のサイが水場に向かって歩いてくる。みんな急いでベンチに腰掛け、双眼鏡やカメラを構えてニコニコしながら、その様子を楽しんだ。
さっきまでは顔が引きつっていたガイドも「いやー、ラッキー!最後の最後にサイが見れたねー!赤ちゃんまで見れてラッキー!!」と冗舌になっていた。
みんな満足気に車に乗り込み帰路に着く。辺りはすっかり暗くなって、冷え込んできた。持って来た数少ない防寒着を着込んで、暗闇の中をロッジに急ぐ。
ふと、サイだ!!と誰かが叫び、車が止まる。
えっ、どこどこ??と周りを見渡すと、前後左右にうじゃうじゃとサイが溢れている。さっきまでは幾ら探しても待っても見られなかったのに、大安売りの様に何処を見てもサイだった。
最後にもう一度サイを堪能して、山を下りた。
暗闇の中、最後の陽が一角を赤く染めて、幻想的だった。余りに綺麗で見惚れてしまってシャッターチャンスを逃してしまった。でもいい。その景色をしっかり自分の脳裏に焼き付けて、味わった。
隣に座ったスイス人カップルが私達のスイスドイツ語に気付いて話しかけてきた。
「今日は8月1日!よい建国記念日を!!」
そう言えば今日はスイスの732回目の建国記念日だった。
去年の今頃は、近所でバンバン打ち上げられる花火を見ながら、家族でこんな所に来られるなんて思いもしなかった。
そう思うと、不思議で、嬉しくて、これは現実なのかと思うほど、この場にいられる幸せに感謝した。
大好きなナミビアを思いながら書いています。スキ♡やフォローをしてもらえると、とても励みになります!ありがとうございます!!
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