友人をリストラされた中国人が中国は悪循環に陥っていると言った話
疲れ顔で日本語学習者さん(Bさん)が教室へ入ってきます。
風邪ですかと聞くと、Bさんは恥ずかしそうに「朝4時まで友達と飲んでました」と言います。
中国にも、朝4時までお酒飲めるところあるんですねと聞くと、カラオケなら大丈夫ですと言います。
そして「途中で帰れない理由があったんです」と言います。
どうしてと話を続けるように促すと、親しい友人がたて続けにリストラに遭い、その友人たちを慰めるための食事会を開いたと言います。
そして、友人たちが帰りたくない、羽目を外したいと言うので、こんな時間になってしまったと言います。
それで、リストラって多いのって聞くと、大企業のリストラの話は良く聞くそうです。
さらに、市内のある日系企業も年内に駐在員を100%帰国、もしくは別の国に移転させ、現地スタッフのほとんどをレイオフすると教えてくれました。
不景気が理由なのか、それとも戦略的な理由があって中国から離脱するのかわかりませんが、現地の人にとっては大きな変化であることは間違いありません。
リストラされた友人は仕事を見つけることができますかと聞くと、若くないので今までのような仕事を見つけるのは難しいと思うと言います。
その後、Bさんは中国は悪循環に陥っていると言います。
例えば、学歴がない人の受け皿として、デリバリーの仕事があるけれど、出前を取る人がこれから大量に増えていくはずがないので、仕事量には上限がある。
そこに大量のドライバーが投入されると、仕事の奪い合いとなる。そうなると若くて体力のある人が生き残れ、そうでない人は弾き飛ばされる。
しかも、デリバリーの仕事でスキルはまったく身につかない。
工場での労働も同じだと。
製造業の仕事量は減る一方だけど、仕事を求めて地方からやってくる労働者は増える一方。目が悪かったり、手先が器用じゃなかったりすると、すぐに仕事を失ってしまう。
無理をして身体や心を病んだり、怪我したりすると、すぐにゲームオーバーになる。
加えて、手作業で何かを作る仕事をしてもスキルは身につかない。さらに競争相手は人間だけではなくて、ロボットもいるからお先真っ暗だとBさんは言います。
学歴があっても、今のところ理想の仕事は見つけるのが難しい。
加えて今の若者の親世代は、身体ひとつで都会にやってきて、苦労して生活を支えてきたから、子どもたちに嫌な仕事をさせたくないという気持ちが強い。
でも、生きるためには仕事しないといけないのに、甘やかしてしまって、大学卒業後の経験を積むのに必要な時期を無駄に過ごさせてしまう。
結果、やっぱりスキルが身につかない。
どこに転んでもスキルが身につかない。そして「スキルを身につけることができる」という体験をしたこともない。
すると、時代の変化に合わせてスキルを学んだり、自分の可能性を広げることができないと思い込んでしまい、成長できない状態になるとBさんは嘆いてました。
確かに、スキルを学んだことがない人は、自分の可能性を信じることが難しいでしょうし、自発的になれない人は、親鳥からエサをもらうのが当たり前と思っているヒナと同じで、大空に飛び立とうとも思わないでしょう。
適切なタイミングで、自活するよう強制される必要がありますし、チャレンジしつづけることも必要なのです。
そう考えると、Bさんの言うように悪循環に陥っているように思います。
この状況はこれから変化していくのでしょうか?
仕事からスキルが学べないなら、仕事の合間に自ら何かを学習したり、理想の仕事が見つからなくても、まずは仕事を始めるという意識が生まれれば良いのでしょうが、そんな雰囲気は感じません。
というわけで、この状態がしばらくは続くのではと思います。
で、わたしはと言いますと・・・日本語教師として老後を過ごすつもりなので、教える技術を伸ばすと同時に、日本語教師に役立つスキルもさらに身につけたいなと思ってます。
さて、こちらもどうなることやら・・・
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日〜