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中国で断り方が優柔不断だったので大変なことになりかけたお話
昨日、飲酒について、中国人は「飲まない」と言えば「そうなの?」って感じで受け止めてくれると書きました。
この「飲まない」という中国語は「不喝」で、意図的に飲まないという意味になります。またアレルギーやその他の理由で飲まない時は「不能喝」となります。どちらにしても「飲みません」とか「飲めません」ですので、かなり直接的な意志表示です。
これをもし遠回しに言ったとしたら、どうなるでしょうか?
例えば「不可以喝」ですと、誰かから禁止されているので飲めないという意味になります。このように言ってしまうと相手は「本当は飲みたいんだな」と受け取り、じゃあホテルに泊まって帰れば良いじゃないか?とか、誰も気にしないし、あなたが飲酒したことを誰にも言いませんよと言われてしまいます。
ですから「本当は飲みたいんですが、ごめんね」的なことを言うのも良い方法ではありません。相手を気遣って遠回しな表現にしたつもりが、中国人にさらに気を遣わせることになります。どうにかしてこちらの希望を叶えたいと彼らは考えるからです。
誰かをもてなすという点で、中国人は日本人よりも積極的で、強い意志を持っています。ですから断るときは、「飲まない」もしくは「飲めない」でよくて、詳しく事情を説明するすら必要ありません。
大事なことなので、もう一度言います。断るときは「はっきりと、簡潔に、言い訳なし」が大事です。
断り方が優柔不断だったので大変なことになりかけた。
さて、わたくし2011年〜2016年くらいまで広東省东莞市に3ヶ月に1度ほど出張していました。常平という駅で降り、そこから取引先の社長がアテンドしてくれた車でホテルに行き、数日仕事して広州、もしくは香港経由で帰国するのが定番のスケジュールです。
さて东莞市は製造業で有名な場所でしたが、当時そこは別のことでも超有名でした。东莞のことを東洋のアムステルダムと言う人もいまして、率直に言うと性風俗の街として知られていました。
初めて常平駅(今の东莞駅)に着いたときの衝撃は忘れられません。改札を抜けるとスケスケの服を着たお姉さんがカードを配っていました。この中国でここまであからさまに営業をかけられるなんて、まさに何でもありの街なんだなと驚きました。
仕事も順良に進み、契約も交わして、みんなリラックスしている中、取引先の社長が今日はみんなで飲みに行きましょうと言い出しました。わたしは嫌な予感がしたので、食事をしたらホテルに帰りたいと申し出ました。疲れているし、明日は香港まで移動するのでと遠回しに断りました。
すると社長が、遅くならないようにするし、みんなも一緒に飲みたがっているから、そんなことを言うなと言います。
それで、参ったなと思って「女の子がたくさんいるようなお店は苦手なんです」とさらに遠回しにお断りしました。すると彼は驚いたような顔をして、しばらく沈黙した後・・・
「お前は男が好きだったのか?」「そういう店もあるけど、そこなら行くのか?」と聞いてきます。
ここで、初めて自分が戦術を間違ったことに気がつきました。
わたしはすぐに「今日は食事はするけど、ホテルに帰る。みんなとは行かない。明日の朝、一緒に食事しましょう」と言いました。すると彼は「わかった。やることがあるんだな」と笑って要望通りに手配してくれました。
遠回しだと遠慮していると思われる
中国人はもてなしたいと思っています。
それで、遠回しに断ったり、要望を明確にしないと、自分の提案が相手を満足させられなかったのかなと考えるようです。今回の件も、わたしが夜の接待を希望していないことをはっきり言わなかったのが原因で、相手を混乱させてしまいました。
色々理由をつけずに夜の街には行きませんと言えば、良かったのです。こちらの態度が優柔不断なように取られて、どんどん過激な方向へ進んでしまいました。
今では、この晩のことは笑い話になっていますし、それ以降、彼らと食事するときは、2件目へ誘われることなくホテルに行けるようになりました。
ただ、1度大型の契約が取れたときは、相手から「お前が夜遊びしないことを知っているけど、今日だけは一緒にカラオケに行こう。そして日本の歌を歌ってくれ」と言われて一緒に行きました。行ったお店も健全で配慮されているなと感じました。
やはりはっきりと意思を示すのは大事です。
さて、东莞市は今は健全な街へ生まれ変わり、以前のような雰囲気はなくなっています。もちろん駅をでたらスケスケのお姉さんが立ってたりもしません。お腹をだしたおじさんがタクシーはどうか?と聞いてくるくらいなものです。
それはさておき・・・もしお仕事で中国人と接することがあれば、断るときははっきりと。でも一緒に飲む、もしくは遊ぶと決めたらトコトン遊ぶことをおすすめします。そうすれば相手も自分も楽しめるでしょう。
今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。
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