深圳のジレンマ:「深圳速度」に疲れた人々と新たな挑戦
深圳スピード(深圳速度)という言葉があります。
1979年に深圳が経済特区に指定されてから、急速な成長を遂げたこと。
また深圳という街が経済的な成功を求める人たちの中心となり、誰もが時間を惜しんで努力する様子を指して「深圳スピード」なんて言うようになりました。
コロナ前、深圳に住む人たちは自分たちが勤勉で努力家であること、そして街がどんどん発展していく様子にプライドを持っているように見えました。
ただ、最近では「深圳速度」に疲れている人が増えています。
そもそも深圳スピードは、国贸大厦というビルを3日で1階というハイペースで建築が進んだことを言ったらしいです。
ただ最近では、建築途中で工事が中断する現場も少なくありません。
我が家の近所でも、しばらく放置されてたビルの建設が、最近作業を再開したという有様です。
もはや深圳スピードは、過去の伝説です。
でも、深圳の人たちは今でも生き急いでいるように思います。
IT企業で日本語の授業をしていますと、高収入ですが高ストレスに耐えている人たちと出会います。
夜9時までの日本語のレッスンを終えた後、10時から深夜3時まで会議に参加するということもあるそうです。
そんな深夜帯に長時間の会議をして生産的なの?と聞くと、そんなわけないでしょと言われました。
ボスの不安に深夜まで付き合わされたのだと言ってました。
そのコメントを聞いて、日本のサラリーマンが上司の愚痴に付き合わされて夜中まで飲むのと同じ事かもと思ってしまいました。
さて、昨日の note に書いたとおり、この街には目的意識を持って成長のために努力する人がいます。
でもこの努力も、もしかすると不安に対処するための防御行動なのかもしれません。
成長しないと成功できない。成長するためには努力するしかない。そしてみんな努力しているので、それに負けないためにペースを落とすわけにはいかないという状況は辛いだろうなと思います。
ほんの少し前まで、努力できた人は皆等しくそれなりにお金持ちになれました。
でも、今はそうでもありません。努力しても勝ちの目が見えないのです。
さらに、ここの人たちは、お金があることが幸福だと思っています。
ワークライフバランスという概念について話すと、理解できないなんて言われます。
お金で買えるもので幸せを図る。
つまり家族との時間があっても家や車も持てないなら不幸せだと思うのなら、ワークライフバランスという価値観は受け入れられないでしょう。
さて、この深圳速度は今後どうなるのでしょう。
学習者たちから「くまてつ先生、お金なさそうだけど幸せそうだよね」と良く言われます。
それに対して、わたしは18歳のころから金持ちになるという競争を放棄して、自分のペースで生きてきたからねと答えてます。
彼らから「自分もそうすれば良かった」と言われましたが、それに対して「どんな道を選んでも辛いことも、幸せなこともあるもんだよ」と答えておきました。
そうですかねと彼らは首をかしげていました。
その様子を見て、悩むこと、つまり考えることは良いことだよと思いました。そして、わたしだっていつも悩んでます。
そして、悩んで考えて、不安に向き合い行動して、自分なりの幸せをつかみ取ってほしいと思っています。わたしもそうします。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日〜