映画『あんのこと』感想
なんとなく、佐藤二朗と稲垣吾郎が写っているのにめちゃくちゃ暗そうで気になったので観てみた。
もちろん、佐藤二朗の持ち味がないわけではないが、全体的にかなり暗い映画。
幼い頃から母親の愛も知らず、友達も家族も知らない女の子が、ひとりの刑事と出会うことで人生をやり直そうとしていく物語。
知らない女優さんだったけど、演技がリアルすぎてすごいなと思った。
私が知らなかっただけでたくさん賞を取られている実力派のかたでした。
そして、この映画の元ネタは本当にあった事件とのこと。
まさかと思ったけど、
"シャブ中でウリの常習犯。ホステスの母親と足の悪い祖母と、3人で暮らしている。子どもの頃から、酔った母親に殴られて育った。小4から不登校。初めて体を売ったのは12歳で相手は母親の紹介だった。希望はおろか絶望すら知らず、ただ繰り返される毎日。"
この部分がほぼ事実だった。悲惨すぎる。
普通の家庭を知らなかった彼女には、「悲惨すぎる」とか「普通じゃない」とかいう感覚はなかったのかもしれない。
大体の場合、人の死が描写されているストーリーに対しては、「命の大切さを改めて感じた」的な感想が多いと思うが、この映画に関しては「いかに自分が恵まれた環境で育ってきたのか」がよくわかる。
親によっては日本に生まれていても読み書きが満足にできない、ということになり得るのだ。衝撃だった。
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