PCX-160…
自分の状況を叩きつけられた。
僕の車は、乗り始めて約10年で走行距離が約23万キロ。ドアにはそこそこ目立つ擦り傷もあり、まぁまぁ恥ずかしいくらいボロい。さらに、今年の10月には車検が控えている。
これ以上、乗ってられない。だけど、車を新しく買う経済的な体力もない。
バイクの免許を持っているので、車を買えないならバイク乗ろうと思い、探していると興奮させられるバイクに出会った。
PCX -160
スマートで無駄のない外見、高速を走れる、あらゆるシーンに最適、コストパフォーマンスが高い、文句のつけようがない最高のバイク。PCX-160に出会ってから、YouTubeでインプレ動画を見まくり、自分がPCX-160乗りこなすイメージはバッチリ出来上がった。
映画「シン・仮面ライダー」で仮面ライダー2号・一文字隼人の「バイクは孤独を楽しめる」という台詞がある。バイクを手に入れたら、俺の寂しい孤独は楽しい孤独に変わるかもしれない。もう車検をする10月まで待てずバイク販売店にPCX-160を見に行った。
生で見るPCX-160は最高!カッコよすぎて全身が痺れた!
舐め回すように見ていると、バイク屋さんの方が声をかけてきてくれて、購買意欲をそそる接客してくれた。僕がPCX-160に惚れたことを聞いてくれて、知らなかった情報やバイク業界の話もしてくれて楽しかった。
すると、「見積もりと仮審査してみましょうか?」と言われ、そこまでするつもりはなかったが、勢いでやってもらった。まずは見積もりをしていただくと、思いのほか安く、こんな俺でも払えっていけるんじゃない?という気持ちになった。
次は仮審査のため書類を記入。興奮で書いている手が震え気味だった。
書き終わり書類を渡して仮審査の結果を待つことに。購入手続きまでするつもりなかったが、ここまでやったのであれば購入しよう。
今、購入できれば夏はツーリングできる。PCX-160に乗って、佐賀の実家に帰ったり、久留米の知り合いに会いに行ったり、まだ知らない大分の温泉やカフェに行ったりなど、頭の中で計画を作成。行くところで女性をナンパして後ろに乗せて、アバンチュールな夜の鮮明に想像。
10代の頃に、バイク乗っていた時は男の友人を後ろに乗せたことあるが、女性を乗せたことがない。ここにきて女性を後ろに乗せられるチャンスが回ってきた。
PCX-160に乗って、これまでモテなかった過去を払拭させると決意が固まったところで、店員さんが「お待たせいたしました」と現れた。
「審査と通りました。いかかがされますか?」という言葉の返答に備えて、
「それで、お願いします!」という言葉の準備は万全。店員さんの口が開く…
「審査通りませんでした…」
仕上がった将来のイメージが爆発した。
なぜ?なぜ?とよく考えていたら、思い当たるところは少しある。
・転職して半年ぐらい
・消費者金融2借り入れあり
・ここ一年間の間に家賃を3回ぐらい遅れた
・先月、うっかりして支払い忘れてクレジットが止まった
なかなかの条件があることを忘れてしまっていた。
とはいえ、PCX-160は新車で45万円ぐらい。45万円の審査が通らないのは、かなろショックだった。社会的信用の現実を突きつけらえた。
ローンが組めないと一括?そんなお金ないし用意できないんやけど?
バイクが買えないと23万キロ走行距離の車を車検にだして、乗り続けないといけないということ?そろそろ子供から指さされそう。
車検に出すこことになると、くそボロい車に大金を使わなくいけなくなり、整備の人に笑われ、隣に女性を乗せた際に走行距離を見られたら、完全に愛想尽かされることになる。
くそボロい車に乗り続けないといけないのだろうか?バイクに乗るという小さな夢は諦めないといけないのか?
今年36歳で、貯金なし、借金あり、45万の審査にすら通らないとか終わった気すらしない。俺は孤独を楽しむことができないらしい…。