【建築・都市の話③】感銘を受けた建築2~シンプルな空間に差し込む光の演出の教会、建築学生は始めに見に行くべきわけ~
おはようございます。atelier KOHです。
本日は、感銘を受けた建築の2回目です。
タイトルには建築学生、と記載していますが、実は社会人10年選手くらいの方々も改めて、見に行って「建築の仕事とは何か」を思い返すきっかけを作れる建築であると思います。
その建築はずばり、
「光の教会/安藤忠雄」
です。
なんだよ、安藤忠雄か~光の教会なんて知ってるよ、と言う方も多くいらっしゃるかと思います。
でも、これは2つの感じ方があると思っています。
それは何か。
1.光の演出の仕方
シンプルな整形の空間に水平垂直に切り抜いた光の筋が、床・壁・天井に反射し、思わぬ演出をします。
照明や、色使いや、装飾、インテリアを使って、「高級感」というものを演出しがちでありますが、建築はいかに「空間」を作り上げるかです。
その本質を伝えてくれる作品となっています。
そして、建築の大テーマである、「光と影」について、誰にでもわかりやすく空間にあらわしてくれています。まだ読んでいない方は、建築家は必ず読んでおり、建築学生必読の「陰翳礼讃/谷崎潤一郎」をお読みください。
そして、社会人のみなさんに対しては、上述している、「空間演出」について改めて見つめ直すきっかけを与えてくれる場だと考えています。
ビジネスの場になると、「どんな仕上げなのか」「モチーフは何か」「家具は何か」といったことに目が行きがちになります。それは、お客様に伝わりやすいからです。
ですが、そうではなく、本当に洗練された空間は、「光の教会」や「東京カテドラル」などのように、語らずとも空間美だけで、来るものの心を打つことができます。
これらを意識して、改めて訪れてみるといいでしょう。
2.ディテール、施工精度がすばらしい
こんなに美しくスマートに見せられている建築、そうそうありますか?
150~200ほどしかない隙間がびしっとでています。角のコンクリートもきれいにピン(直角)です。
そして、ガラスが納まっていますが、いわゆるアルミやステンレスやスチールといった金属部分がまったく見えません。
そして、安藤忠雄の代名詞となったコンクリート打ち放しの表面にはピンホール(細かい穴)はほとんど見られません。
このように、建築のより現場的目線、きれいに見せるために必要となるディテールに実はこだわりがあることがわかります。
建築を作るときに最後に良し悪しを決めるのは、ディテールと施工精度です。そのどちらも光の教会では体感することができます。
この点についても、社会人のみなさんも、今まで、ゼネコンや工事会社と妥協してきたエントランスや外観の仕上げ・納まりがもっともっと突き詰められることがわかると思います。
なぜ、安藤忠雄やその他の一流建築家はスマートに見せられるのか。そこには並々ならぬこだわりがあるのです。
有名建築家だから、一流のチームが集まるし、発言しても聞いてもらえるんだ、ではなく、学んで自分の蓄積・引き出しにすることで、活かすことができます。
是非是非学生のみなさんも社会人のみなさんもこういった目線で、光の教会を見てみてはいかがでしょう。
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atelier KOH