『文字のフィットネス』 #12 「裸足で5kmマラソン疾走!?」「体育の授業で槍投げ!?」「ライダーキックで飛び越える走り高跳び!?」 フィジカルモンスター予備軍達に囲まれた青年海外協力隊・ジンバブエ共和国派遣時代
皆様、こんにちは。
国際関係学部出身のトレーナー、くまスポ・前田です。
現職でもあるトレーナーという仕事を志したのは、幼少期からのスポーツ経験を社会に還元したいという想いからでした。
スポーツから得た経験は、本当に数値化できない財産を私にもたらしてくれ、それは現在も変わらずです。そして、それらを少しでも社会に還元したいという想いは、今も何も変わりません。
さて、スポーツの現場から一歩離れると、鉄道が好きで、父親に連れられて近くにあった旧国鉄の操車場に電車を見に行ったり、訳もわからず時刻表と地図を並べて、電車に乗って色んな所へ行く妄想をする、なんとも「鉄ヲタ」な子供でした(苦笑)
いつの頃からか、そんな鉄道への興味から旅そのものへの興味に変わり、それは思春期の頃、洋楽が好きだった姉の影響もあり海外への憧れに変化し、大学は国際関係学部への進学へと繋がりました。
部活動に明け暮れた大学生活の中で忘れてかけていたそんな海外への憧憬ですが、卒業後の進路もいろいろ考えていた大学4年、部活動のアトランタへの遠征で完全に着火。
(国際試合で「君が代」を聞いて、武者震いしました。そのお話はまた改めて…。)
国際関係学部の先輩の体験談に背中を押される形になり、「20代じゃないと無理だな」と思った私は、青年海外協力隊への参加を決意。
何年か後に、2年間のジンバブエ共和国への「青少年活動」という職種での派遣が決定し、2000年12月、街にクリスマスムードが漂う頃、成田発香港経由南アフリカ・ヨハネスブルグ行きの飛行機の機内にいたのでした。
◎Rural(田舎)地域のスポーツ振興委員会への配属と、地域の小中高へ巡回する巡回型体育教師
現地での私の役割は、ジンバブエ共和国内の、ルーラル地域(郊外地域)でのユース世代のスポーツの活性化。
郊外地域とは言うものの、アフリカ南部・ジンバブエ共和国の郊外地域というのはとんでもなく郊外で、最初の一年はカルチャーショックの連続でした。
頻繁に起こる一週間くらい続く停電、朝の6時から9時までしか出ない水道、窓の外がガサガサするので恐る恐る様子をうかがうと至近距離に牛の顔があったり、枕元にサソリとか見た事ない様な毛ガニみたいなクモがいたり。
若いから何とかなりましたが、この年でもう一度あの生活を出来るかと言われたら、なかなかハードです(笑)。
Hurungwe District Sports Development Committee(フルングウェ地区スポーツ振興委員会)というところに配属された私は、スポーツ用品が豊富にそろう環境ではないので、なるべく道具を使わない、ルールも単純明快な競技を学期ごとにワークショップを開いて紹介し、学期中に地域の各学校の体育の授業にお邪魔して進捗を確認して、学期終わりにトーナメントを開くという活動でした。
巡回型の体育教師です。
今の私の仕事も、出張がメインのトレーナー。
よく似てます。
◎今はどうしてるのかな?フィジカルモンスター達
仕事柄、現地の小中高校の体育の授業を見る機会が多いのですが、行く先々で驚かされたのは、むしろユーモラスに見えるほどの彼らの身体能力の高さ。
ある学校の体育の授業で5km走をやっていたのですが、生徒の足元を見ると、素足の生徒達も多く、大丈夫かよと思ってみていると、短距離走と間違えてるんじゃないかと思うようなスタートダッシュ。
「いるよね、どこの国にもこういう子」と微笑ましく見ていると、最初にスタートダッシュした数人のグループが、毎周回全くスピードが落ちずに走り、ついにそのまま5km完走してしまいました。
また、別の学校では学校の体育の授業の中で、やり投げを行っており、日本国内では聞いたことがないので衝撃でした。
皆、女子も含め、なかなかの距離を投げていました。
相当、地肩が強いのか…。
型にはめなくてもすごい身体能力を発揮する彼ら。
走り高跳びでは、背面跳びやベリーロールではなく、真っ直ぐ助走をして、跳び蹴りみたいな形で正面から飛び越えてしまいました。
きっと、こういう子たちに完成形を求めすぎて、まだまだ身体能力が伸びる発展途中の段階で下手に形を作ってしまうのは、きっとその子の将来を摘み取ってしまう事にもなりかねない。
何か一つの競技で早熟させる事より、身体能力の伸びしろがあるうちは、様々な角度から身体能力そのものを最大化させてあげる事が、その子にとってのアスリートとしての未来を作るのでは…、と感じます。
あの頃の、フィジカルモンスター達、今はどうしてるかな?
◎あれから20年、一通のメッセージが届きました。
コロナ禍のある日、一通のメッセージが届きました。
私がジンバブエのある高校で空手の指導をしていた時の、生徒からでした。
私がFacebookやInstagramで今の活動の様子をあげているのを見て、連絡をくれたようです。
長くしなやかな脚が腕のように自在に動いた彼がメッセージに添付して送ってくれた、現在住んでいる隣国ボツワナの自宅で奥さんと撮られた写真の中には、ポッコリお腹で優しく笑う中年になった20年後の彼の姿が。
20年の年月は、日本でもアフリカでも、同じように過ぎていったようです。
いつかまた、ファンタで乾杯したいね(笑)。
パーソナルトレーニング、運動プログラムの導入、承ります。
まずは、ご連絡ください。
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