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「秘密の花屋」ショートショート

街の小さな花屋「フローラル・カフェ」は、ただの花屋ではなかった。店の奥には、特別なお客さんだけが招かれる秘密の部屋があった。そこには、不思議な花々が並び、訪れた人の心の悩みや願いに応じて花が変わると言われている。

ある日、大学生の真希は、ひょんなことからその秘密の花屋を知り、好奇心に誘われて訪れることにした。

店に入ると、優しそうな老婦人が「いらっしゃい」と微笑んで出迎えた。

「今日はどんなお花をお探しですか?」

真希は少し困惑しながらも、最近抱えていた小さな悩みを話した。

「最近、ずっと忙しくて心が疲れてしまっているんです。なんだか、自分を見失っているような気がして…」

老婦人は優しくうなずくと、店の奥へと真希を案内した。そこには一面に白い花が咲き誇る秘密の部屋が広がっていた。香りは柔らかく、まるで心を包み込むようだった。

「この花はね、『スノードリーム』と言うのよ。忙しい日常に追われ、心の雪が解けなくなった人に寄り添ってくれる花なの。」

真希はその説明に驚きつつも、白い花をじっと見つめた。不思議なことに、花の中心からほんのりと温かい光が差し込み、真希の心の奥まで届くようだった。

「この花は、あなたにとって大切なことを思い出させてくれるわ。焦らずに、自分のペースで進むこと。それが一番大事なんです。」

真希はそっと花に手を伸ばし、優しく香りを吸い込んだ。その瞬間、肩の力がふっと抜け、心が少し軽くなった気がした。

「ありがとう、少し楽になった気がします。」

老婦人はにっこり微笑んで頷いた。「またいつでもおいで。この花は、あなたの心をいつでも温かく迎えてくれるから。」

それから真希は、忙しい日々の中でも、時々この花屋を訪れるようになった。秘密の花屋「フローラル・カフェ」は、彼女にとって、心の休息の場となったのだ。


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