「立志式」と「成人式」 (愛川町日記 2015年1月23日)
歴史を少しでも興味のある方なら
「元服」
という習わしをご存じであろう。
「元服」とは、奈良時代以降、男子の成人を示すものとして行われる儀式のことであり、通過儀礼の一つである。
江戸時代以降は女子に対しても使われる言葉だが、対象年齢は5歳から20歳までばらつきがある。
言葉の意味としては「元」は「頭」、「服」は「着用する」という意味を持ち、
武家ならば烏帽子などである。
歴史的な常識としては「元服は14歳」としてあるような気がする。
つまり、織田信長も武田信玄も坂本竜馬もこの儀式を通過して「成人」となり社会にでて、名を成したのである。
愛川町には「立志式」がある。
まさにこの「元服」にちなみ町内の中学二年生(14歳)が文化会館で未来への希望・誓いを発する。
意外と全国的に行われているイベントであるが、学校の週5日制や学校行事の縮小により実施する中学校が減少している。立志式の開催について 「都道府県・政令指定都市」アンケート結果
歴史的成人である元服への理解力が薄れてきた「立志式」よりも、法律的成人の半分である「1/2成人式」の方がわかりやすいのでろう。
しかし、愛川町の立志式は47年も続く町内伝統行事である。
愛川町で生まれ育った人ならほぼ全員が経験しているであろう。
「立志式」と「成人式」は意味合いが全く違うのだ。
「立志式」はここまで述べてきて様に「歴史的な成人への通過儀礼」である。
ならば、「成人式」は。
「成人式」の原型は終戦間もない1946年11月22日、埼玉県北足立郡蕨町(現:蕨市)において実施された「青年祭」がルーツとなっていといえる。
形は今と違えども、終戦後のモチベーションの下がっている青年を励ます儀式なのであったのではないか。
現に、1948年に制定された「成人の日」の趣旨には「おとなになったことを自覚し、みずから生きぬこうとする青年を祝いはげます」とある。
つまり、「立志式」は「成人になる通過儀礼」であり、「成人式」は「成人を励ます式」である。
たしかに現在の法律上は20歳が成人である。
しかし、現在の世論にある「選挙権」や「刑法」における年齢の取り下げや「18歳成人論」をみると
「20歳が成人」には私も疑わしいし
昨今の成人式の荒廃ぶりを見ると「今の成人を励ます」意味合いなどなにもないと思う。
14歳は身体的にも精神的にも大人である。
彼らが、どこへ向かいどう生きたいかを発し
大人たちがかれらの道を確認しアドバイスするのが「立志式」ではないか。
20歳では遅く、14歳がちょうどいいのかもしれない。
ただ、次の表をみれば
今後このままでは確実に「愛川町の14歳」は減るのだ。
そして、彼らが「立志式」で宣言した未来の誓いがかなう町になる愛川町がなるかどうかはまた別の話である。
今年の愛川町立志式は2月6日。
愛川町の風土と人で育った「愛川町の14歳」はなにを夢見るのか?