愛川町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進委員会(第2回) (愛川町日記 2015年11月17日より転載)
2015年11月16日 13:30~ 401会議室 企画政策課
5年後
この日は天気が良かった。
なんとなく車を文化会館に止め、愛川町役場を見上げてみた。
特に理由は、ない。
よくよく考えれば文化会館側から役場を見ることもあまりないので。
空が、ある。
秋の澄み切った青空だ。
それが視界のほとんどを覆い、低くうつ伏せるように愛川町役場がある。
蒼の空と灰色の役場の間に挟まれるように深い緑色の丹沢の山々がある。
近隣の相模原市役所や町田市役所と違い愛川町役場は威圧感もなければ、頼りなさだけがある気がする。
だからこそ、僕は「なんとかできないもんか」とこの役場を見上げて思うわけで、それは野心的な志に根ざしたものではありません。
僕らは地域の中でしか生きられない。
そして、その自分の住む地域が「消滅の恐れがある」などの、多少短絡的ではあろうが楽観視できない、そんな形容詞とともに危険な状態なのです。
愛川町の人間が団結して(少々言葉の持つニュアンスが違うかもしれないが)、「今」をなんとかしなくてはいけません。
というわけで、とりあえず自分の愛川町への気持ち補完すべく審議会を見ているの、参加しています。
そして、「愛川町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進委員会」第2回目。
愛川町役場4階。
ここで「5年後の愛川町」について話し合われます。
1回目の会議は「現状」が語られ、2回目の本会議は「手段」を択ぶ会議です。
「基準値」と「目標値」
第1回の愛川町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進委員会からわずか1週間。
はやくも2回目。
ちなみに3回目は来年の2月か3月かになります。
愛川町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進委員会。
噛み砕いていうと
「愛川町という「まち」を維持・発展していくために
「ひと」を増やすにはどうすればいいか?
人が増えると「しごと」も必要だよね」
です。
5年後、愛川町がどんな町になっているのか?
発展。
現状維持
そこへのアプローチが「愛川町まち・ひと・しごと創生総合戦略」です。
今回の2回目は、推進委員だけではなく、愛川町役場の主要な担当課の人々をまじえての会議です。
現状を「基準値」として、5年後の平成31年の数値を「目標値」とする。
「目標値」へ近づけるための「手段」。
細かい内容はやがていくつかのプロセスを経て、町から発表されると思います。
例えば。
平成24年の愛川町内の従業者数は19740人。平成31年に20700人にする。
そのために
・伝統産業・地域農業などの促進
・雇用を生み出す創業・産業立地の促進
・ビジネス環境の創出
・地域ブランド向上による産業振興
などに部署を縦横に対応する。
もっと細かく見れば
・ふるさと納税件数を平成31年に1000件に
・婚活イベント参加者数、平成26年の107人から平成31年には200人に。
などもある。
これは5年後の愛川町の「設計図」である。
いわば、愛川町という大きな船を造る為に、細かい「部品」として<ふるさと納税>や<婚活イベント>などがあります。
50以上のこの「部品」が本当に必要か否か。
その「目標値」などの「寸法」があっているのか。
このあと町長や議会に諮られるし、5年の年月の中で効果測定も行うのでみなさんの目で判断してほしいですね。
「破壊」と「創造」
それ以外の話を。
前回の会議で、「女性のあつまる町に」という話がでました。
そこから発展して「女性向けの施設はできないのか?」という意見が推進委員から。
それだけではない。
海老名の「ららぽーと」のような「大型商業施設」や清川村にできる「道の駅」のような「観光客集客施設」などのような
愛川町の発展の核になるような施設ができないのか?
町からの答えは
「土地がない」
愛川町の地図を思い浮かべると、大規模施設を作る場所がないようです。
こういった施設は場所も大事ですから、そうなるとますます場所がないですね。
ここで出てくるのが「アセットマネージメント」です。
アセットマネジメント (AM) とは、広義としては、投資用資産の管理を実際の所有者・投資家に代行して行う業務のことである。従って、株式・債券・投資用不動産、その他金融資産の管理を代行する業務一般を意味する。
不動産業界においては、投資用不動産を投資家に代行して管理・運用する業務を指す
愛川町には、愛川町が右肩上がりだったことにできた建物がいくつかあります。
中には老朽化が目立ち、組織として不要なものもあります。
繊維会館や農村改善センターなどがその対象としてよく名前が出てきます。
そういった建物を、たくさんの涙をこらえて、建て壊す。
機能を集中する為に移転させる。
他の自治体と共有できるものは共有する。
そうして、調整した土地に時代に適合したものを建てる。(無理に建てる必要はないが)
「スクラッチ」と「ビルド」
今ある施設が本当に必要なのか?
必要ないものはあきらめる。
これが愛川町に迫られたものではないでしょうか?
(これに関しては近いうちに町で白書ができるそうです)
多面的にものを見る
バスターミナルやある場所にのお迎えのバスが来る。
そこから子供たちが幼稚園や保育園に行く。
だが、従来の場所ではなく、多少遠いが余裕のある幼稚園に送っていく。
愛川町の待機児童14人の話題が出たとき、そんな光景の話が推進委員から出た。
人が多いところに新しく幼稚園や保育園を建てるのではなく、今あるものを有効に使う。
近くの幼稚園がいっぱいならば、少し遠くの空きのある幼稚園への移動手段を確保する。
愛川町には企業の女子寮がほぼない。
女性にとって魅力的な場所に女子寮があって、そこから愛川町の企業に通う。
空き家があるのなら寮として貸出、補助したらどうか
さまざまな「愛川町への助言」が推進員から飛び出しました。
推進委員は金融や農業、教育などその道のプロの皆さん。
私のような経験もない薄っぺらい人間にとってはまさに目からうろこです。
今すぐ直結できるものは少ないでしょうが、これらの意見はこの会議で塞き止めるのではなく、公開して多くの人々がもつ「愛川町の可能性」を刺激してほしい。
今回の会議に当たり、愛川町に住む若い世代1000人アンケートがとられたそうです。
しかし、返答は300人程。
これは700人が「愛川町の未来に興味がない」といっているようなもんです。
まずは「この700人の目を愛川町に向けるにはどうしたらいいのか」そこから考えていくべきなのかもしれませんね。
あらためて「5年後」
今回話し合われた5年後の数字。
いうなれば「愛川町がこうなればいいよね~」という希望的観測の数字。
さまざまな手法、さまざまな手段を講じないと「絵に描いた餅」ですね。
5年後の愛川町。
5年。
長いようで
短いです。
5年後。
日本はオリンピックの渦の中にいます。
人はうねり、街は歓喜の瞬きの中にいる
愛川町はその波にのるのか。
はたまた、時代の自然淘汰となるのか。
僕はまだこの町にきて3年
5年で愛川町がどう変わるのか想像できない。
でも、今回の「希望的数字」が実現すれば、近づけば
今とは違う「愛川町」が生まれるのかもしれない。
2回目の愛川町まち・ひと・しごと創生総合戦略推進委員会。
13時半から始まった会議が終わったのは夕刻。
だいぶ陽が傾くのが早くなり、振り返ると愛川町役場が紫の闇の中に物言わず、ちょっと機嫌が悪そうに立っていました。
この頼りない「愛川町役場」にすべてを期待するのは酷なのかもしれない。
僕らの地元。
今回の数値が達成できるかは、結局は役場だけの問題ではなく、僕らにもかかわってくるのだ。
役場の人たちも頑張っている。
だが、役場の人たち<だけ>でもうだめなのです。
<官>とか<民>とかいってられない。
息切れしている愛川町。
この町をもう一度走らせることができるのか。
愛川町を僕らの手でつくる。
その時が来た感じがました。
あまりに長く愛川町役場を見ていたので
風邪を引いた秋の夕方でした。