【短編小説】Ga地底人/ガチMAXな異世界へ「11,880文字」
作/画 Bourbon Samu 50.5
【まえがき】
えっ!何ですって?
地底人?
〜そうさ、縦横無尽に巨大な通路が張り巡らされて、何万メートル、いや何十万メートル規模、いや違うもっとだな〜
とてつも無い規模の移動空間が縦横に走り、数々の世界が存在している。地表の地球人だけではないし、宇宙からの飛来者も実は住んでいるんだよってね。
ワーオー!そんなこと言われたら、
マジぶっ飛んじゃいますよね。
〜ありえませーん〜
ノーノーでえ〜す〜
〜まあ!そうは言うけどいいじゃないの。まだまだ世の中知らない事が多すぎるんだから!地上の事だって大して知らないんだからね〜
ようするに、う〜ん!
甘いトマトがココにありますね。皮の部分しか知らないコガネムシって、中味がどうなっているか知らないわけですよ…(アレっ)
〜アンタ何言ってるの?〜
〜ですから〜いいですか?
ワタシ変ですか?〜
〜そんな事言われたって、
知らないものは知らないんだよ〜
まあ!地底人っていたら面白いし、いなくてもそれなりに夢がある。SFでもファンタジーでも、それ以外のストーリーでもいいんですよ。人間って何かしら信じて生きていくものだからね。みなさんのご想像にお任せいたします。
という事で、
そんな気持ちを大切に
ガチガチ書いています。
【序章 イケメンおじいちゃんの夢】
東京の夏はジリジリする。
特に今年はそうだ。
そう言えば、今年はセミが鳴いてないな!
とある東京下町の小学校。
時刻は午後2時をまわったところだ。
「先生!ちょっといいですか?」
廊下でヨシオは担任の先生に声を掛け、
右手をあげた。
「なあ〜に、ヨシオくん」
「この前うちのおじいちゃん、
変な夢みたって言うんですけど、
ちょっと聞いてもらっていいですか?」
先生はヨシオの頭を撫でながら優しくうなずいた。
「おじいちゃんは身の丈300メートル以上ある巨大な生き物から声をかけられたって言うんですよ、それも地下に住んでいる生き物らしいです。どうも信じられないけど、でも、嘘言っているようには思えないんですよ」
「300メートル?」
ヨシオは先生をジーッと見ていた。
「ヨシオくん詳しく聞かせて!」
今年赴任したばかりの女の先生は、真面目な顔をして周囲に人がいないか確認していた。誰もいない教室はシーンとしている。窓の外は風も無いのに、ユーカリの葉が「なぜか」揺れていた。
ヨシオは続きを話し始めた。時計の針はちょうど午後3時を過ぎたところだ。
先生は笑ったりうなずいたり、興味を持ってくれた。でもかなり変わったおじいちゃんと思ったらしく、最後は同情してくれたようだ。
一方、おじいちゃんは、地底人から聞いた内容を、毎日のように近所の元マドンナたちにアナウンスしていた。イケメンならではのパフォーマンスだ。
「地底人なんて信じられないだろう?べっぴんさんたちよ!ヤツらは普段は地下にいるからね。まあ人間に見つかる事はないけど。この世界は地上だけじゃないんだよ!わかるかい?地下世界があるんだよ!地底人沢山いるんだよ!おい聞いてるのか、そこの婆さ…いけね、御嬢さん!」
相変わらず調子の良いイケメン爺さんに、元マドンナ達はホトホト疲れていた。でも大半が時間通りに集合してしまう悲しい事実。やはり歳とってもイケメンは人気があった。かつてのイケメンは懲りずに、近所の元マドンナ達に毎日のように話し続けるのであった。
おじいちゃんが言うには、
地底人は心に響く低い声らしき波動で、おじいちゃんの心に話しかけてきたらしい。庭の穴も掘ったことのないおじいちゃんにとって、地下に世界があるなんて信じられるはずも無かった… でも夢の内容が強烈だったらしく一気にモードが変わってしまった。
ヨシオは学校をあとにした。
近所の駄菓子屋の前で、まだ熱弁を振るってるおじいちゃんを尻目に、早々に家に帰っていった。
〜さすがおじいちゃんだ〜
ヨシオは妙に嬉しくなった。
【第一章 沈黙の世界】
天空は 青い海原
空気は 隅々まで澄んでいる
ここは一体…
どこなんだ?
広大な世界である
心地良い風が とても爽やかだ
生命は生き生きとして 水々しい
灼熱の地獄では
どうやらなさそうだな…
〜見たわけではないけど〜
エネルギー球体は3個。時間差で8時間に一回色を変えて地底世界を照らす。妙な安心感が空間に漂う。
ここは地表から100キロ(10万メートル)の地下世界である。
地表から遮断されてるエリアだ。マリアナ海溝が10キロ(1万メートル)だから、それの10倍深いと思っていい。我々がかつて教えられた地球は中心部まで6400キロ、とてつもない深さ。しかし誰も行った事もなく、その正確な構造すら知らない。写真を撮った者もいない、推測と仮説の世界だ。今迄はマントル、そしてコア。燃えたぎる高温高圧の世界という事になってる。
かつて地底への掘削を12キロで止めた事があったようだ。その理由は掘るにつれ高温になっていくから無理という理由。偉い先生にしっかり教わっている。本当なのか?
〜今回は、まさしく地底人からのインスピレーションで判断しているだけ、だけどね(笑)受信と解説は、例のおじいちゃんなので、時としてイカれてしまっている事もあるという事で…どうぞよろしくお願い致します〜
〜その世界ってどこくらい広いの?〜
まあ、その場であなたがジャンプして、クルリと水平に一回転したくらいの広さ、まあ、それの100倍くらいだと思ってくれればいいよ。
それより
〜空と陸が地下にあるっていうのがビックリだよね〜
地上がそっくり地下にあるって?
まあそんな感じか。
大きく4つに分かれている地下世界、4つのうち2つは、中心部に向かってタテ方向に「巨大なサツマイモ」が抜けたような空間が出来ている。
地表と違って地下は無限に近いスペースがあるからね。そして引力も中心部に一方的に引っ張られている訳でなく、それぞれの世界に強弱を持って発生している。
〜惑星そのものに意識があるようだな〜
まあこうして話している段階でも、常識はすでに壊れてしまってるけどね。取り敢えず地下世界って、高温高圧の土砂がギッシリ詰まってるイメージではないと言う事だ。それが払拭できないと次にいけないらしい。
〜ヤバい話になってきたぞ〜
地表の常識だって真実とはかけ離れているしな。フラットアース肯定論も多くなってきたけど、まだまだそれは平面の世界、そうでなくてもアンタッチャブルの世界が多すぎるね。例えば南極って上空を飛行する事は出来ないし、月面の着陸劇も上空から吊ってる銀色の釣り糸が見えてしまってるし、関係者たちが墓場まで持って行くはずの約束事もなぜかバレ始めた。
〜どうなってるんや〜
35年前、ソビエトの雪原に着陸したとされるTBS秋◯キャスターに、宇宙の真実をじっくりとインタビューしたいところだ。宇宙に出ると神の存在を感じ、牧師になったり山奥に篭ったりする人が多いが、元キャスターは三重県で農業を始めたようだ。
〜何か感じたんだろうよ〜
でも神様ではなさそうだな〜
色々「アレっ?」って事が地表でも多過ぎるのに、我々ってメディアの言う事はすぐ鵜呑みにする。嘘なんて絶対無いって信じ切っているからだ。
〜しかし…どうも騙されてる気がしてならないだが〜
普段信じられる世界は五感の届く範囲。それを超えた世界を信じる事は直感の世界になる。
〜目に見えないモノが最たるものだ〜
何かあるけど目に見えない物って、都合が悪そうだと人は無視するよ。風や電波は無条件で受け入れるのに、神様に関しては、ご都合で考える人のなんと多いことか。まあその辺辛いところだ。
〜たぶんここも、地底世界って言われなければ分からないだろうな〜
おじいちゃんの記憶は、
地底人からの受信を受ける度に
鮮明になって来るようだ。
それにしてもよく喋る人だ。
〜うん!何か言ったか〜
【第二章 隠された世界】
〜うん、ここはどこだ?
あっ地底世界だな〜
今日はいつになく穏やかな日だ。気分爽快っていうのはこういう事だろう。地表はジリジリと暑い日が続くが…東京くらいだろうこんな暑いのは。確かに10年前に比べてもこの暑さは異常だ。フライパンで焼かれているみたいな暑さだ。北風と太陽ならわかるが、すでに度を越してるよ。
(第1地底エリア)
第1エリアと呼ばれてる深さ100キロゾーンには、多くの生物が暮らしている。また地表の歴史の中で消えた存在もいる。
〜巨人がいる〜
身長は10メートルから、大きいものは30メートルくらいだ。かつて地表にいたらしいが、都合が悪くなったのか、今は地下世界に暮らしている。羽根の生えた赤、白、黒、青のドラゴンも優雅に空を飛んでいる。たまに天蓋の海に着水している姿を目撃される。邪悪なモノも地表近くにはいるが、大半は協調的で仲の良い存在だ。
〜恐竜もいる〜
確かにあれは恐竜だ。水辺でくつろぐ首長竜。肉食竜もいるが、話を聞いているより穏やかなイメージだ。牛や豚のような生き物もいる。鳥たちも、そして昆虫、川を泳ぐ魚さえも皆大きい。そして全ての動きがゆっくりだ。
時間の流れは当然地上と異なる。全てはエネルギー球体の流れに従う形だ。地底世界にはルールがある。そして掟がある。みんなそれを守ってる。そうした上でそれぞれの向上を目指して修行している様にみえる…
地表では天蓋の外側が、今のところ宇宙空間と言われている。実は誰も行った事が無いんじゃないかって、最近言われてる。でもこの地下空間だって、その周りがどうなっているかは、ここの住人達だって大半は知らない。
〜空は広く そして青い
そして 大海原が広がっている〜
なぜか不思議と懐かしいこの地底の地面から空を見上げると、定期的に雲のような白波が見え隠れする。なんとも美しい光景だ。そして大海原が荒れてくると、雲が自然に出来て地上にやわらかな雨が降ってくる。地上に潤いを与える瞬間だ。地表の様に、インビジブルな飛行機飛ばして、人工的な気候を作っていない。共有する世界を、ここに住んでる生き物たちは大切にしているからだ。身勝手な事をするものは少ない。
浅いエリアの住人がいる。地表に近い深さ20キロ以内に住んでいる者達と聞いている。彼らは遠い惑星から来たらしい、そして地表の生物に対して少し悪い事をする。自分たちは良かれと思ってしているかもしれないが、少しずれてる。優秀なもの、強いものが生き残ればいいんだ、という思想を持っている。調和とか愛とかが性に合わないようだ。奴らの考え方に違和感を感じる人は多いが、非常に数術的に先を読み、科学技術が進んでいるので、引っ張られてしまう事が多い。
〜宇宙からの飛来者もいる〜
協定により文明干渉は出来ない事になってる。はるかに進んだテクノロジーを持つ宇宙存在は、ここを一旦拠点にして地上との調整を行なっている。
この惑星の本当の姿を知る人は、ほぼいないでしょう。事実を知っている人はどれだけいるのでしょう?
〜知らなくていい事は知らない方がいい〜
知ったからと言って、今の地球人とくに表層人類は、3歩歩けば忘れる。これが現実。同じ生命体として辛いところだ。しかし歴史は止まることなく、永遠の大道を歩んでいる。どんな生命体も繰り返し繰り返し、何かを求め修行していると思っている。すべての生きとし生けるもののサダメだ。
〜奥が深いな…
イヤイヤそうでもないよ(笑)
60年ほど前に英国エジンバラの作家、アーサーコナンドイルが「失われた世界」を世に問うた。冒険小説であり、SF小説であった。中身はここで説明しないが、この小説で地下世界に興味を持った人も多かったに違いない。最近ではあの元CIAエドワードスノーデンが地下世界の事を発表したり、今やSF世界の話では無くなりつつある。
〜いい時代になったな〜
しかし実際この目で見ていない、見ない事には信じられないって言うのが大半の人間。そう言った話は時間とともに単なる噂話で終わってしまう事が多い。だからいつも思ってる…
〜もしかしたら騙されてないかってね〜
それにしてもこの世界って…
【第三章 Ga.地底人GON】
まあ地底に住んでる者をすべて地底人と言うのが普通でしょうが、その中でも特に巨大な存在を「Ga.地底人」。そう呼んでる。
第1地底エリアは広い。地表で言えばユーラシア大陸と同じ大きさが、そっくり100キロ真下にあると思っていい。ヨーロッパ、ロシア、中東、中近東、そしてアフリカ。しかし様相はまったく違う。8000メートル級の山脈も存在するし、地上で云う黒海や、カスピ海に似た湖もある。
でもここは、通常言われてるパラレルワールドでは無い。次元構造は同じ、何故なら波動は3次元だからだ。
①(GONゴン)
第1エリアの中で、三本指の手と足を持つ最大級の種族。GONの身長は100メートル。巨人族の10倍だ。タワーマンションで言えば25階に相当する。GONは他のGa.地底人の中でも若い。好奇心が強過ぎてよく迷子になっている。
今日は一族と一緒に湾に来た。
ここはお気に入りの場所だ。地表で言えば地中海のような所だ。
天気の良い日は遠くまで見通せ、彼らは普通に水浴びが出来てしまう。
〜高波もまったく問題無いね〜
GONはプールの監視員みたいな存在だな。湾の遠くに何体もの巨大な地底人がプカプカ浮いているのは圧巻だ。
〜雲一つない空
穏やかな海〜
シーラカンスに似ている生物は
背びれを揺らせながら
優雅に泳いでいる
〜魚もタコも巨大だ〜
タコは生で食べられてしまってるけど、塩味が効いて美味しいらしい。食事シーンは見せられないけど、調和のとれた世界ではお互い了承の上だ
〜あっ!巨人族の船が出て来た〜
いつもの時間だ オールで漕いでる
巨人族は陽に焼けていて、鼻は高く髪が腰まで伸びている。単純な道具で、上手に魚を捕まえる。今日は3メートルのマグロに似た魚を捕まえ早々に船に乗せた。
〜相変わらず手際がいい〜
ギラギラしたエネルギー球体は陸地に十分にエネルギーを与えたあと、午後になるとブルーがかった色に変化した。優雅さと、どちらかと言うと受動的な精神状態に世界を彩るためだ。
次第に、街の雰囲気は変わっていった…
GONたちが帰っていった後には、街に大量の食糧が置かれていた。1ヶ月以上食べても食べ切れない程だ。皆が調和し、助け合っていく世界は美しい。真っ暗な空に煌々と、黄金色のエネルギー球体が、ゆらゆらと海を照らしていた。
②(GENゲン)
GENゲンというGa.地底人も同じ第一エリアにいる。GENは一本角と褐色の肌が特徴的な種族だ。地上で言えばアフリカ大陸、特にエチオピア、ケニア、スーダンに住む民族にイメージが似ているかもしれない。角は生えてない種族だ。
灼熱エリアだが地表より過ごしやすい。なぜなら常に地底風が吹いて、地熱を吹き飛ばしているからだ。今日もエネルギー球体からの光が強く、熱帯雨林に近い気候になっている。しのぎやすい気候だ。ここは植物を巨大化し、動物達を活性化させる。それにしても第1エリアは広大だ。
〜おっと、目の前を巨大なライオンが走っていった〜
ふと思った。
〜地表って何のためにあるんだ?〜
立体的な地底世界に比べて平面すぎる。何か制限されたフィールドで訓練するところか?肉体とか精神とか、それ以上のものをね…。もしかして地表にいる存在って、地下以上にやさしく見守っている存在がいるのではないか。そんな気がしてならない。
ユーラシアとアフリカが、エジプトでつながっているとすれば、地表は大きく分けて4つの大陸から構成されている。何のために地表の大陸は存在しているのか?海とは一体何なんだ?この地下世界だけで良いではないか!
〜地球神のお心はいかに〜
〜アレッ!聞いてます?〜
GENの身長は80メートル。それでも大きいでしょ!タワーマンションなら22階相当だ。
今日も広すぎる草原で…
〜何かが起きそうな気がする…
③(GANガン)
GANガンは緑の草原と白い雲が似合う地底人。第1地底エリアの中央部に位置する場所に住んでいる。ここは地上で云う高原&草原地帯だ。カザフスタン、ウズベキスタンのような場所にあると思ってくれればいい。まわりを囲む黄色い山脈は8000メートル級が多いが、最高峰は25000メートルに達する。地上にはない高さだ。
今日もエネルギー球体は分け隔てなく動いて、光と熱エネルギーを放出している。1円も取らないフリーエネルギーだ。よく考えたら風もそうだ。波もそうだ。常に動いているエネルギーだ。地底世界は特に実感できる。
うんっ!巨大な馬が?
デカい馬がいる。
地底人の乗り物になっているのか!
GANの身長は60メートル。タワマンで言えば20階レベル。さっきの馬も腰の高さで50メートルはあったな。馬に跨った状態だと80メートルくらいだ。相当なものだ。
GANは知らぬ間に
馬に乗ってどこかに行ってしまった〜
爽やかな風が
どこからともなく吹いて来た。
【第四章 異次元DOOR】
(第3地底エリア)
青い山脈が連なる第3地底エリアは深さ300キロ(30万メートル)。中心部までが6400キロメートルだとすれば、大体地表から20分の1。まあ5%ってところだ。まだ薄皮のレベルだ!第一地底エリアとは地中で接していない。ここは中心に向かって、縦に広がってる。もし縦に1000キロの空洞が入っていれば、ちょうど地表から1300キロメートル。大体、五分の一(20%)の深さまで広がっていることになる。そうなってくると、体積も加算して計測しないと厳しくなってくるな。
第3地底エリアは地上の北米エリアと重なっている。ちょうど真上は最強国家アメリカ合衆国だ。強い国の象徴アメリカ。かつてこの大陸には、平和に暮らしているインディアンが住んでいた。ここに聖者のフリをしたニセ宗教者がやって来た。先住民族を悪者にし、身勝手な振舞いで白い種族がまんまと征服していった歴史がある。本当に悲しい歴史だと思うね。まあ地下世界の時間からすれば最近の話らしいがね。
それら一連の略奪行為は、地中海の入江に作られた人工国家 (世界から同情を受けるように意図された国家) から指示が出ていたのか、それともピューリタンが作ったとされる東方侵略の国そのものの行動だったのか。その辺は定かで無いが、地底世界は気付いていることでしょう。
世界支配を企んでいる者って何だか良くわからないが、根本の精神がこの惑星にいる連中とはどうも違うような気がしてならない。愛の無い身勝手な種族だと思うわ!どうみてもな!
この地上の国家は世界No. 1の軍事力を持ってると言われている。そしてそこにいるのは、全て同じ民族なのかどうかも定かで無い。もしかして早々に背乗りされてしまった?!かもしれないな。
身勝手な白い種族は立ち回りがうまく、偽物の情報を演出しては、都合のいい世界を作り上げてきた。まあ工作する人たちがヤバいくらい悪い術を知っているのでしょ!
彼らの祖先は遠い惑星から、太古の昔に来たようだ。わしもあまり知らんけどな。でもどうやら地表の浅い所に拠点を作って、鉱物資源や、燃える水を独り占めするのが目的のようだ。
〜何しろ支配する事が大好きな種族なんや〜
と最近聞いた事があるぞ。
〜我々とは仲良く出来ないタイプやな〜
そんな国がちょうど真上にあるのが第3エリアだが、ここはとても広く、青い海が広がる天井に、決して届く事は無いでしょうね。
④(DONドン)
まあいろいろ言ったが、この第3地底エリアに住む巨大な存在がDON。身長は300メートル。タワーマンションで言えば75階の高さ。スカイツリーの半分くらいと思って貰えればいい。予想では第3地底エリアが一番大きいと思う。
DONは法の番人みたいなものだ。まあ見張り番だな。
地底世界の住人は基本地上には出られないルールがある。同じく地上世界は地下に行けない。要するに干渉してはならぬって事だ。それにしても300メートルとはとんでもない大きさだな。威圧感MAX。
今回、地上の人間にインスピレーションを送り続け、警告を鳴らし続けているのもDONだ。世界最強の国が揺れているからかもしれない。ここに来て世界は動いている。何か悪い物が地下も含めて出てくる予感がする。
〜しかし、何であのおじいちゃんが、
DONの受信が出来たかは謎だが…
DONとの間は微弱な通信だったかも知れないな。別にこれは介入でも干渉でも無い、好き勝手にやり放題のフリーWi-Fiみたいなもんだ。DONは受信している者を知らない、見る事も出来ない。ただインスピレーションのみの世界だ。ここ数日の、いや数ヶ月の事件だったかも知れない…
(第4地底エリア)
⑤(DENデン)
南米大陸の地下に位置する第4地底エリアは、ちょうどアンデス山脈に囲まれたコロンビア、ペルー、ボリビアが地上にあると思って頂ければいい。山脈から流れる水が、アマゾン盆地を通ってブラジルの河口に流れるが如く、地下でも同じようなシステムが運営されていると思ってくれ。
清らかな水脈と、天空に届かんばかりの山脈。すべての生命が自由に育ち、その成長を喜ぶ存在にとっては、与えるだけ与えたって感じでしょう。何もかもが、すでにそこにあって、手を加える事さえ要らないって感じだ。素晴らしいシステム。
〜まさに森のようだ〜
DENは2本角が特徴で、身長100メートルの巨大地底人だ。普段はその角は隠しているけどね。
この地底エリアは他の3つと違って、地球外からの訪問が多い。地上でも目撃情報は多いと思うが、磁場的に地球内部に入りやすいのが特徴だ。地上のアンデス山脈であってもとてつもなく長い。地上の人間でも全貌を知る事はないでしょう。
その一角に宇宙からの訪問者が入り込む出入口があるようだ。DENはそこをなぜか知っていた…
〜おッ!UFO〜
〜インビジブルの世界だ
いきなり現れて来たよ〜
どこを通って来たか知るよしも無いが、次元を超えての移動だろうな。幼少の頃からこの辺で遊んでいたDENは何度か目撃していた。一瞬見えた異星人も山の背後に隠れる瞬間だった。確かに2本角があったな…
DENは妙な感覚に陥った。〜まさか!
エネルギー球体が青みを帯びてくる時間になった。青白く光る山脈は静かに一日を終える準備を始めた…第4地底エリアに静かな闇が忍び寄って来た。交流の無い地下世界には数十年に一度、地表との磁場調整でポータルサイトが出現し、幻影が地上に出現してしまう事がある。それが異次元DOORと言われている。今回、こともあろうに先ほど紹介した5人の地底人の前に出現した。それも同時にだ…
入ることは本人の自由だった。
入らなくても時間が経てば閉じてしまうサイト…
Ga.地底人の5名にとって、昔から聞いていた事だった。帰って来ていない者もいる事は知っていた。
だからその先に何があるのかは誰も知らされていない…
時は過ぎ、5人の前のポータルサイトは閉じた。
地底世界に静寂だけが残った。
そして清々しい風が吹いていた…
【第五章 熱い地表】
今日も東京は暑い。アスファルト上を温度計で測ると50度あった。最高気温は40度を越えようとしている。今や世界一暑い都市になってしまった東京。暑いだけでなく、蒸し蒸しする気候だけは何とかして欲しいけど、まあ今の状況だと無理やろうね。
ヨシオはおじいちゃんと縁側で、夏休みの宿題を仕上げていた。地底人の件をノートに書いてみたけど、なんか上手く出来なかったので昆虫の標本を作ることにした。カブトムシは近所の雑木林で調達した。でも今年はセミが鳴かないって、みんな言ってたけどそうだったかなあ?
ヨシオは全部で10匹の標本を作って今年の宿題にする予定だ。
「ヨシオ!そんな所に針刺しちゃいかん!」
おじいちゃんは縁側の隅で爪切ってたかと思うと、いきなり喋ってきた。
〜見てたんか〜い!〜
「オット!確かにヤバいな」
ヨシオは刺し直した。
おじいちゃんはエアコンが嫌いだ。
なんか良からぬものを感じているらしい。問題は冷え方にあるって力説していたな。よくわからないけど、無くても大丈夫な日もあるしな。アナログおじいちゃんの言ってる事も正しいかもしれないね。しかし蒸し蒸しだ。脚が冷えると確かに体調がグッと悪くなるね。
そんな事を思っていたら 突然!
「きのう、また地底人から連絡きたわい!」
えっ!昨日もあったの?
「地上の人間とコンタクト取ることは、本当はしてはいけない事らしいが、あんたはイレギュラーだとぬかしてきよった」
「俺って選ばれし者ってか?」
おじいちゃんは気分良さそうだった。
「そして、もうすぐ色々明かされるって言って来よったな」
何が明かされるのだろう?
ヨシオはなんかワクワクしてきた。
当然知らない事だろうけどね。でも世の中知らない事ばっかりだな。普通に吸ってる空気だって、頭の中だって、いつも見てる夢だって、実際取り出して見たわけじゃないから、なーんにも本当のことなんて知らない。ただ、そう言う事を言ってる人のことを信じてるだけの話。
〜初めて見るものって、大体そんなものか〜
ヨシオはスタスタと、テレビの前に行こうとした。すると…
「ヨシオ!あまりテレビ見るんじゃないぞ!」
〜えっ!おじいちゃんそれはないぜ
自分はどうなんだよ?〜
「まっ!これからは見ない方がイイよーってね」トーン下げた。
〜説得力の無い話だ〜
「ニュースって最近言ってる事
何か嘘っぽいんだよね!」
〜そうなのか?ニュースか〜
ニュースとか見ないから感じた事も無いけど、でも最近公共放送で、顔にベタベタとピンク色塗った男の人が、ヘンテコな踊りしてる番組普通に流れてるな。あれは公共では無いな!
「まっ!いいか!」
ヨシオは大好きなアニメを観始めた。それにしても今年は暑いな!
〜フライパンの上にいるようだよ〜。
おじいちゃんはこっち見て、なぜかニヤついてた。
【第六章 Ga.地球神は見ていた】
「コラ〜 お前たち何しとるんじゃい〜
勝手にわしの身体をイジるな!」
地球神は地表付近で、勝手に穴掘ってるヤツらを見て怒鳴った。神様にしては親しみやすいタッチだけど、本当に地球神ですか?ってたまに言いたくなるよ。
地球神にとって、すべて生けとし生きるものが、肉体的にも精神的にも成長発展するのを願っている。しかし我が物顔で身勝手に、自分達だけの為に使おうとするヤツらに心底腹立っていた。そう、アイツらだ。ワニみたいな、コモドドラゴンみたいな奴らだ。ホザールだか、ヘザールだか知らないけれど、カメレオンみたいに、見た目も中身も都合良く変化させるタチ悪いヤツらだ。
〜奴ら許せんな!〜
神様なんだから少しの事で腹立んなよ!っていう輩もいるでしょうが、まあ、そんなの「ほっとけ〜」って言いたいね。ヤツらはコソコソと鉱物資源を取りまくってる。金、銀、銅、レアメタル。それらをみんなに使うんだったら問題無いんだけど、コソコソ隠れて悪い事に使ってるようなんだよ。そんなヤツらに前から腹立っていたようだ。
「地表だけじゃ、物足りないって思ったから、土手っ腹に四つも穴開けて場所作ったのに、薄皮のところで、ちょこまかちょこまかやられたら、くすぐったくてしょうがないだろう」
「それに引き換え地底に住んでいる連中は、
ほんまに礼儀正しいの〜
自分だけの為に生きようとせんからな」
地球神の声が遠くになって行き
地下世界にふたたび静寂が訪れた。
(ひたすらMAXな時間…)
「終わったか!」
とりあえずこれでいいんだよ…
さっき入口が閉じたポータルサイトをGa.地球神は見ていた。
Ga.地球神は次があるからって
独り去って行った…
【あとがき】
「南関東で震度3の地震がありました。
津波の心配は無いようです〜」
〜テロップが流れた。
「ここ数日、地震が多いよ」
ヨシオはおじいちゃんとお気に入りのアニメを観ながら言った。
「地底人がクシャミでもしてるんやろ」
おじいちゃんは大好きなところ天を食べながら、テレビのチャンネルを相撲に変えた。
「おじいちゃん ダメだってば」
今日もチャンネルの取り合いが始まった。
色々あったら嬉しいかもね!無くても今の時代って信じる人はいるかも。でもこんな世界があったらいいなぁ、って思うのは私だけでしょうか?
いや意外と何かに気付いている人は増えてるかもね。この世界は単純では無かった。そんな簡単に誕生してないし、教わってきた歴史だってどうも井戸端会議のように思えて来た。太陽が3個登る時もあるかもしれない、これからの時代。身長300メートルの地底人が、居酒屋でおでんを食べる事は珍しくないかもしれませんよ。
〜まあそれはないでしょうけど〜
※フィクション&ファンタジーとして読んで頂きましてありがとうございます。またお会い出来る時を楽しみにしています。
※第2エリアは次回お話しいたします。第1エリアは地上で云うユーラシア大陸と思ってください。第2エリアはオーストラリア大陸と接近する南極大陸。ここは禁断の地、今回は触れません…次回作でお会いしましょう…ではよろしく。
(登場人物) ゴンゲンガンドンデン
◯ゴンGON 第1エリア 身長100m
◯ゲンGEN 第1エリア 身長80m
◯ガンGAN 第1エリア 身長60m
◯ドンDON 第3エリア 身長300m越え
◯デンDEN 第4エリア 身長100m