バスの降車ボタンの意味
私がバスに乗っている時の話だ。
ある女性がバス停に到着した後で慌てて降車ボタンを押した。忘れていたか、初めて乗るバスだったのか、おそらくどちらかだと思う。少なくとも故意にボタンをギリギリまで押さなかったわけではないと振舞から推測できる。
その女性は降車口のドアが開かないところを見るとすぐに乗車口から慌てて降りようとした。当然、今から乗ろうとしている人にぶつかりながら降りていった。
私が変に思ったのはこの一連の動作を一言も発せずに行っていたことなのだ。遅れてボタンを押したことや、ぶつかったことへの「すみません」がある世界で生きてきたから。でも世界には喋れない人もいるし、喋ることが不得手、コンプレックスだったりする人もいる。その女性もそういう人なのだろうと思った。
ここでタイトルに戻ろう。バスの降車ボタンの意味とは。
私はラクだからだと思っていた。乗客は大きな声で「降ります!!」と言わなくていいし、運転手もバス停で止まるべきかどうかの判断を早めにできる。
でもこれは特に困っていない人がより困らないための意味なのだ。足で立てる人が、座って移動できる方がラクだからという理由で車椅子を使うようなもの。
私が発見した降車ボタンの意味とは、
喋れない人・喋ることが不得手・コンプレックスである人が、声を出さずともバスを利用できるということである。
P.S.
ニーズには2種類ある。
できる人をよりできるようにすることと、
できない人をできるようにすることだ。
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