価格競争が終わり、顧客をシェアする時代
2021年になったのにコロナが猛威をふるっていて、実は去年より今年の方が大変なんじゃないかと田舎でも感じる今日このごろ。飲食業も観光業もズタズタボロボロですが、これから生き抜くために踏ん張らないといけない年、2021年がスタートしました。
価格競争は終わる
大阪市内の民泊の48%が閉業したというニュース、みなさん、見ましたか?コロナの影響が大きいと思いますが、こんなにたくさんの民泊が閉業ってかなりインパクトがありました。その閉業の要素を考えると、「都会の物件で固定費が大きいわりに、価格競争により料金が低く、ひとりあたりの儲けが少なかったため利用者の減少で運営ができなくなってしまった」という理由が多いのではないかと思っています。前の記事にも書きましたが、価格を安くするだけでは、メリットがないんです。価格が低いと施設を乱暴に使う人たちが比較的多く、掃除が大変で、結果、安いのに労働が大変になる。また、そんな人たちって、ホテルの評価も低くなってしまうことが多かった経験を元に、私は、今、宿の料金を少し上げています。宿としては、なるだけ快適に過ごしてもらえるような施設の特徴をきちんと押し出すことで、その料金でも納得して宿泊してくれる人をつかむことが重要なわけです。「安い=いいこと」だった時代が終わり「納得(誰から買うのか?誰の宿に泊まるのか?どんな体験ができるのか?)=高めな料金」のビジネスを目指すことが重要となるわけです。
そして次に重要なのは、ひとりの利用料金を増やすことだと思います。
顧客を増やすのではなく、ひとりあたりの料金を増やす
顧客を増やすと売上が上がるというのは普通なのですが、中小規模の企業だとそれはそれで大変になってしまいます。特に個人事業主としてやっている場合は、時間ばかり取られてしまっていて、売上は上がっているけれど、精神的肉体的消費も多くなってしまい、それはそれで限界で。またそのために人をたくさん雇うと今度はこんなコロナ時代ではリスクとなってしまいます。そこで今後ビジネスを考えるにあたって、顧客数はそのままでもひとりあたりの利用料を増やすことがビジネスの成功の鍵だと言えます。
旅行者は、宿泊、飲食、体験にお金を落としてくれます。私がカフェをやり、宿をやっている理由はそこにあります。お昼、夜、朝、コーヒー、ベーグルと言った宿泊だけではない収入を増やすメリットがあるからです。カフェと宿をやっていることで相互に収益を増やすことができます。さらに今後はアクティビティを増やすことで、お客さんの人数にこだわらず1人あたりの料金を増やしていくことを狙っています。これって、都会の宿だと難しく、競合が少ない田舎だからこそ強みとすることができます。
また、今後、今やっている地域でやれることって、1泊を2泊にすることができるのではないかと思っています。旅行会社と組む必要もあるし、認知を広げることもあるので、すぐにとはできないですが、熊野古道を歩いた翌日ってかなり疲れている人も多く、バスでスキップしちゃう人も多いわけです。そして、この近露という里山は、ぼーっとすることや里山を楽しむことができる地域で、熊野古道中辺路ルート内でも珍しいエリアなんじゃないかと思っています。なぜなら、メインの本宮は、本宮エリア、川湯エリア、湯の峰エリアが国道で分断されていてそれぞれの地域は小さく、自転車や歩いて巡るのには向いてません。次の宿泊地とされる小口も村自体が小さく巡るというような場所ではないです。最後の那智勝浦に関してはも国道などで巡るにはちょっと小さいように感じます。
中辺路ルートで唯一日本の里山を楽しむことができるのがここ近露です。
なんて大きなことを書きましたが、ようは、歩くだけではなく他の楽しみやアクティビティを増やすことで、宿同士の価格競争で顧客を奪い合う必要がなくなるんです。簡単なことで、今まで1泊だったものを2泊してもらえるようにすればいいんです。それには宿と地域の連携が必要になるんですが、そういうことを考えている人が少ないっていうのも残念な話であり、チャンスでもあるかなと思っています。
顧客をシェアして、地域で生き抜こう!
宿、食が分断していることが実は不利な世の中になっていき、本当ならGO TOトラベルのような地域クーポンといったものを、宿の宿泊代金にプラスすることで地域の経済を観光業で盛り上げるってこともできると思うんです。
ひとりのお客さんを宿屋も飲食店もアクティビティもシェアすることで、その地域でお金を落としてもらう。宿屋だけが儲かるのではなく、その地域全体で儲かる仕組みをこのコロナ時期に考えて実施することが、本当に「地域経済を作り、みんなで生き残る」ことができるんですけどね。こういうことを和歌山県が考えてくれたりするといいし、そういうことしたいって話であれば、いくらでも協力したいなーなんて思っています。
と、大きなことは書きましたが、理想と現実はまだまだ遠く。少しずつ、実現できたらいいなと思う、2021年。
みんなで生き抜こう!
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