熊野通信アーカイブス(その八拾):人生に熊野を・・(2)
先日も、岩手県の平泉をはじめ、小笠原諸島が世界遺産になりました(注:2011年6月)が、遺産とは一体どんな意味を持っているのでしょうか?次々と登録されるのは良いのですが、一過性の「熱しやすく冷めやすい」・・・すぐに忘れる観光ブランドの一つにならないようにしたいものです。
前回も世界文化遺産:熊野古道を歩くのに「もう興味本位の観光や、物見遊山で歩く時代は終わった」とお伝えしましたが、今回はさらに、人生と熊野古道につい てお話しします。
平凡な一日と、貴重な一日
今日や明日と言うのは、誰にとっても何でもない平凡な一日であり、その平凡な一日が集まって、私たちの人生を作っています。従って「たった一日、されど一日」であり、今日一日は後にも先にも、貴い永遠の中の希有な一日なのです。
しかしその一日を、つまらない一日にするか、貴い一日にするかは、私たちの心持ち一つです。つまらないと言うのは、世の中につまらぬものなどそもそも無く、モノや話がつまらないと言うのは、自分の心持ちが、とても小さいからそう感じるだけなのです。
この貴い一日を失いかけ、心持ちを大きくしたい時に、ぜひ歩いてほしい道が熊野古道であり、そこに熊野の大いなる智慧が感じられると思います。
智目(ちもく)と行足(ぎょうそく)
日常的に私たちは、朝目が覚めれば、その日やる事が次々とあり、忙しさにかまけてなかなか、自分の考えそのものを深くとらえて、しっかり行動することができないものです。自分の人生を有効にする唯一の道に必要なのが、「智慧の目と実行の足」なのです。
バランスのとれた正しい認識を「智目」と言い、それを実行する事を「行足」と言いますが、熊野では体験や実践を通して普段忘れている清く涼しい気持ちを取り戻すことができます。
人生の目的地に向って・・・
この度の東北大地震(注:2011年3月)をきっかけとして、今一人ひとりが少なくとも「真の人生の目的地」に目覚め、これから「いかに生くべきか?」「人生とは何か?」が問われていると思います。耳に聴き心に想う熊野を取り入れて、私たちの日々に生きる道を、これからも一緒に味わっていきたいと思います。人生に熊野を!
NPO法人 熊野生流倶楽部 代表 満仲雄二