6年生前半に「ピーク」を迎える受験生が増えている
算数の入試問題は、体系的な解法テクニックで対応できる「知識処理系」と、そこから外れた「思考系」に分けられます。
難関校受験生は、6年生前半までに「知識処理系」の基本・標準問題を習得し、6年生後半に「知識処理系」や「思考系」の応用・発展問題について対策を進めるケースが多いかと思います。
ただ、ここ数年の傾向として「知識処理系」の応用・発展問題を6年生前半に重点的に行い、早い段階で完成度を上げていく受験生も増えています。
熱心な親御様が主導しているケースだけでなく、そのような学習を後押しするサービスが増えていることの影響も大きいと思います。
6年生前半に「知識処理系」の応用・発展問題を重点的に行うことの最大のメリットは、早い段階で結果が出やすいことです。
例えば、6年生前半に実施される開成模試では「知識処理系」の最重要テーマと言える「立体切断」が出題されることも多いのですが、大半の受験生は(立体切断について)習熟できていないため、平均点も低くなる傾向があります。
しかし、6年生前半に立体切断の解法テクニックを習得している受験生は、そこで他の受験生に大きな得点差がつくため、結果が出やすくなります。
逆に、デメリットと言えるのは「6年生後半にアドバンテージが失われていく」ことです。
「知識処理系」の応用・発展問題は、難しそうに見える問題でも、比較的短期間で得点力を上げることが可能です。
立体切断についても、6年生後半に普通に対策していけば1ヶ月程度、集中的に対策すれば2週間程度で解法テクニックを習得できます。
一方で「思考系」の応用・発展問題は、もともと成果が出るまでに時間がかかることに加えて、6年生後半は諸事情(塾の授業増加、過去問演習、理社の対策など)で十分な時間を確保することが難しく、手応えを得られないまま入試本番を迎えてしまうケースも多々あります。
「知識処理系」の応用・発展問題で他の受験生から差を詰められ、「思考系」の応用・発展問題で十分な上積みを得られなければ、失速した状態で入試本番を迎えることになります。
6年生前半に「知識処理系」の応用・発展問題を重点的に行うことは、ある意味「成績の前借り」と言えます。
受験戦略として間違いだとは言い切れませんが、6年生前半に成績のピークを迎える(6年生後半に失速する)可能性を理解していないのであれば、リスクの高い方法だと思います。
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内容紹介(目次)
https://note.com/kumano_takaya/n/n0fabcc15c344