熊野孝哉

中学受験算数専門プロ家庭教師。『開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格への99の戦術』など著書14冊。2016~2024年の主な合格実績:開成16名、聖光学院16名、渋谷幕張19名、筑波大駒場5名、灘6名、桜蔭6名、豊島岡9名、女子学院1名、麻布5名。

熊野孝哉

中学受験算数専門プロ家庭教師。『開成合格率79%の東大卒家庭教師が公開する 難関校合格への99の戦術』など著書14冊。2016~2024年の主な合格実績:開成16名、聖光学院16名、渋谷幕張19名、筑波大駒場5名、灘6名、桜蔭6名、豊島岡9名、女子学院1名、麻布5名。

最近の記事

グノーブル学校別診断模試は、学校別サピックスオープンの「追試」になる

難関校受験生にとって学校別模試は重要な判断材料となりますが、その中でも(首都圏の難関校受験生にとって)大きな意味を持つのは「学校別サピックスオープン」です。 例えば、2023年9月実施の「開成サピックスオープン」では1078人が受験(本番の受験者は1190人)するなど、圧倒的な規模を誇っています。 他の首都圏難関校についても同様で、出題内容、判定精度の水準も高く、最も信頼性の高い学校別模試と言えます。 今年も11月23日に主要難関校(13校)の学校別サピックスオープンが

    • 過去問演習に時間を多く費やすことが「リスク」になるケースもある

      「志望校の過去問をいつから開始すればいいのか」「どの程度やり込めばいいのか」で悩んでいる受験生や親御様も多いのではないでしょうか。 一般的には6年生後半に開始するケースが多く、また直前期に近づくほど、過去問演習中心の対策を進める受験生が多くなります。 過去問演習に時間を多く費やすことは、有効な対策となるケースも多いのですが、受験生の状況によっては「リスク」となるケースもあります。 特に注意すべきなのは、受験生の素の実力(問題を解く力、解法力)が、志望校の合格に必要な水準

      • 『中学への算数』のリスクと対処法

        『中学への算数』は難関校受験生向けの月刊誌で、通称「中数」と呼ばれている定番教材です。 メインは「日日の演習」(問題と解説が各10ページ前後の記事)で、各号のテーマ(「図形と比」「場合の数」など)に沿って、主にその年度の入試問題が20大問ほど掲載されています。 日日の演習は、重要問題が厳選されていることに加えて、新傾向の問題を含む「難関校入試の流行」が反映されていますので、上手に活用すれば、難関校対策の「強力な武器」になります。 ただ、『中学への算数』(日日の演習)に取り

        • 学校別模試は単発の結果ではなく、複数回の結果で評価する

          学校別模試について意識したいのは、単発ではなく複数回の結果で評価するということです。 熱心な親御様やまじめな受験生ほど、単発の学校別模試の結果を絶対視してしまう傾向があります。 初回の学校別模試で厳しい判定結果が出ると、その時点で志望校を断念してしまうケースも少なくありません。 学校別模試は(全受験生対象の)普通の実力テストと違って実力の近い受験生が母集団となっているため、少しの得点差で偏差値や順位が大きく変動します。 そのため、ケアレスミスの有無や出題内容(苦手なテーマ

          6年生前半に「ピーク」を迎える受験生が増えている

          算数の入試問題は、体系的な解法テクニックで対応できる「知識処理系」と、そこから外れた「思考系」に分けられます。 難関校受験生は、6年生前半までに「知識処理系」の基本・標準問題を習得し、6年生後半に「知識処理系」や「思考系」の応用・発展問題について対策を進めるケースが多いかと思います。 ただ、ここ数年の傾向として「知識処理系」の応用・発展問題を6年生前半に重点的に行い、早い段階で完成度を上げていく受験生も増えています。 熱心な親御様が主導しているケースだけでなく、そのような

          6年生前半に「ピーク」を迎える受験生が増えている

          合格可能性は「相性」で、どれだけ変わるか

          ほぼ同じ難易度とされている学校でも、入試問題との相性次第で合格可能性は大きく変わることがあります。 私が関わってきた難関校受験生も、同時期に受験した学校別模試で下記のような変動がありました。 開成模試:合格可能性30%→聖光模試:合格可能性80%(聖光に進学) 開成模試:合格可能性40%→聖光模試:合格可能性80%(聖光に進学) 開成模試:合格可能性20%→聖光模試:合格可能性70%(聖光に進学) 桜蔭模試:合格可能性40%→女子学院模試:合格可能性80%(女子学院に進学

          合格可能性は「相性」で、どれだけ変わるか

          灘の算数対策が、筑駒や開成で機能しない理由

          ここ数年の傾向として、算数の指導者が筑駒や開成を目指す受験生に対して「比較的高度なテクニック」を教え込むケースが多くなっています。 テクニック重視の指導法は、もともとは関西の最難関校対策として行われてきたもので、特に灘の算数対策としては有効です。 筑駒や開成の算数も十分に難易度は高いのですが、灘の算数に比べると、取り組みやすく感じる受験生が多いのではないでしょうか。 「大は小を兼ねる」ではありませんが、灘の算数対策(テクニック重視の指導法)を実践すれば、筑駒や開成の算数

          灘の算数対策が、筑駒や開成で機能しない理由

          「プラスαの課題」を普段の学習に組み込む方法

          別の記事で「プラスαの課題を普段の学習に組み込む」ことをお勧めしましたが、実際には上手くいかない(開始できなかったり、開始しても継続できない)ケースも多いかと思います。 中には「やる気がないから出来ない」というケースもありますが、真面目でやる気があるにも関わらず、なかなか上手く行かないケースも多いのではないでしょうか。 そのような場合に私がお勧めしているのは、プラスαの課題を消化するための「仕組み」を作り、継続的に取り組んでいくという方法です。 例えば、6年生のサピック

          「プラスαの課題」を普段の学習に組み込む方法

          難関校受験生が6年生で「失速」しないために、5年生で意識したいこと

          毎年、この時期には6年生の方からも多くのご相談をいただいていますが、その中で特に多いのは次の2つのケースです。 A:塾テストの成績は5年生までは良かったが6年生から下降傾向で、実力テストでも(特に算数で)厳しい結果になっている B:塾テストの成績は良く、実力テスト(サピックスオープン、合不合判定テストなど)でも合格判定が出ているものの、学校別模試や過去問では(特に算数で)厳しい結果になっている 両者とも「塾テスト対策」メインの学習を続けてきた受験生に多いケースですが、比

          難関校受験生が6年生で「失速」しないために、5年生で意識したいこと

          予習をしないから余裕がなくなる

          新刊(難関校合格への99の戦術)にも書きましたが、予習(先取り学習を含む)を行う受験生ほど成績が伸びやすく、難関校受験の成功率も高くなっています。 大手塾の上位クラスでは、生徒の大半が予習を済ませているため、予習を前提として授業を進めているケースもあります。 ただ、この話をすると「予習が大事なのはわかるけれど、塾の復習(宿題)で余裕がない」「もう少し余裕ができたら、予習を始めてみたい」という答えが返ってくることもあります。 しかし、これは逆で「予習をしないから余裕がなくな

          予習をしないから余裕がなくなる

          思考力問題が解けない理由(4)

          思考力を強化する方法として、私が指導において実践して有効だと感じるのは、完成された解法をそのまま教えるのではなく、受験生本人の解法を完結させるということです。 未経験の問題に対して、受験生の解法は遠回りで非効率的になってしまうことも多いのですが、その全体を修正するのではなく、解法プロセスの中で解けない原因となっている箇所を指摘・修正するだけに留めて、基本的には最後まで自力で解いてもらいます。 自習においても、問題を解けない(または答えが合わない)場合に、解説を読んでそのま

          思考力問題が解けない理由(4)

          思考力問題が解けない理由(3)

          受験指導を始めた頃、私は「テクニックを教え込む」指導を積極的に行っていました。 例えば「各位の数の和が5になる整数の中で、0を含まないものは何個ありますか」という問題に対して、標準的な解法は次のようになります。 1桁:5のみ 2桁:(1、4)→2個(14と41)、(2、3)→2個 3桁:(1、1、3)→3個、(1、2、2)→3個 4桁:(1、1、1、2)→4個 5桁:11111のみ 以上より、1+4+6+4+1=16(個) ここでテクニックを使えば「2×2×2×2=16

          思考力問題が解けない理由(3)

          思考力問題が解けない理由(2)

          受験指導を開始した初期の頃、私は下記の方法で「塾テスト対策」を進めていました。 ・塾課題について、解けない問題がなくなるまで解説する(算数が苦手な生徒の場合は難易度の高い問題を一部カットする) ・テスト範囲を徹底的に反復する(解けている問題についても反射的に解答できるまで反復する) ・過去問(昨年度のマンスリーテスト、組分けテストなど)によるシミュレーションを行う(解き直しまで行い、全問題が解ける状態まで仕上げる) この対策のメリットは、短期間で「わかりやすい結果」が出る

          思考力問題が解けない理由(2)

          思考力問題が解けない理由(1)

          以前「マンスリーテスト対策を行わない理由」という記事の中で、私自身の初期の失敗談を書きましたが、もう少し深掘りした内容を4回に分けて書いていきたいと思います。 受験指導を開始した初期の頃、私は次の指導方針で授業を行っていました。 ・塾テスト(マンスリーテスト、組分けテストなど)対策を徹底する ・「テクニックを含む解法」を多用する ・「完成した解法」を解説する 一方、現在は次の指導方針で授業を行っています。 ・塾テスト対策は行わない ・「テクニックを含む解法」を多用しな

          思考力問題が解けない理由(1)

          新刊『難関校合格への99の戦術』内容紹介(目次)

          1章:予習の進め方 1:塾から言われる「予習禁止」は守らなくていい 2:自宅学習の効率は「授業を何%理解して帰宅するか」で決まる 3:予習は「昨年度の塾教材」を使用するのが手っ取り早い 4:予習では内容の2、3割を理解できればいい 5:予習は「仕分け」する感覚で行う 2章:先取り学習の進め方 6:成績が安定してきたら、予習から「先取り学習」に切り替える 7:偏差値55を超えたら、先取り学習を開始する 8:先取り学習は自宅学習でも十分できる 9:先取り学習の教材は『予習シ

          新刊『難関校合格への99の戦術』内容紹介(目次)

          【中学受験算数】正答率の低い問題をどれだけとれているか

          塾の月例テスト(※1)や実力テスト(※2)で好成績をとるためには、正答率の比較的高い問題を落とさないことがポイントになります。 例えば、正答率40%以上の問題をミスせず全問正解すれば、仮に正答率40%未満の問題をすべて落としても、大体は偏差値55以上になります。 ただ、難関校を目指す場合は、正答率の高い問題を落とさないことよりも、正答率の低い問題をとる(とれるようにする)ことに意識を向ける方がいいかと思います。 正答率の低い問題をとれている受験生は、正答率の高い問題を落

          【中学受験算数】正答率の低い問題をどれだけとれているか