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第6回熊本地域医療勉強会 開催報告 2023/11/24
11月24日(金)第6回熊本地域医療勉強会 を開催しました。
講師を務めていただいたのは、
菊池保健所 所長 劔 陽子(つるぎ ようこ) 先生です。
熊本県県北広域本部保健福祉環境部(菊池保健所・菊池福祉事務所) 部長/所長
講演テーマは、
「地域を診る!地域医療と保健所の関係 ~地域医療従事者たるもの、公衆衛生の視点を持て!~ 」
講演動画はこちらから↓
産業医科大学のご出身で、専門は産婦人科の劔 先生
趣味は、トライアスロン・登山! とてもとてもアクティブな先生です!
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ミャンマーとカンボジアでの国際保健医療の活動を通じて、保健・医療を受ける仕組みづくりの必要性を感じたことが、公衆衛生医師として働くことの原点になったとのことです。
ミャンマーでは、医師ではない、ヘルスセンターのスタッフが、一般的な診療から、助産、疾病予防教育までをしていることを学び
カンボジアでは、結核対策プロジェクトTB/HIV専門家として派遣され、活動開始後、HIV検査を受ける結核患者数を一気に増やすことを経験されてきました。
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保健所のお仕事の話は、ここから
2015年 熊本県に入庁
2016年 熊本地震発生 水俣保健所所長
2017年 熊本地震最大被災地 御船保健所所長
2019年 熊本豪雨、新型コロナ感染症 人吉保健所所長
2021年 新型コロナ感染症 菊池保健所所長
以上のように、県内各地の保健所所長(公衆衛生医師)として、災害続きの熊本の医療を守っていただいております。
保健所・公衆衛生 仕事の魅力・面白さとは、
地域全体を診て、多部門、多職種と連携を行いながら、課題を改善すること
例えば、
・町のレストラン、商工会と連携し、ヘルシーメニュー作り
・企業と連携し、職場の健康づくり活動
・町の農業課と連携し、地産地消食材の利用や食育
・町の土木課と連携し、自転車でも安全な道路づくり、歩きたくなるような道づくり
・町の地域振興課と連携し、観光としても人を呼べるコースづくり
などなど
「犬の多頭飼育事例」に対しては、
保健所福祉課・保健予防課、市町村(福祉・環境)、家族、警察、かかりつけい医、民生委員、区長、行きつけのスーパー などなど、
地域の多岐に渡る関係者と連携を行い、改善につなげた事例をご紹介いただきました。
「犬の多頭飼育事例に対し多機関連携で取り組んだ2事例」
日本公衆衛生雑誌
https://www.jsph.jp/docs/magazine/2020/02/67-2_146.pdf
![](https://assets.st-note.com/img/1702182167191-HiaL9RLhXU.jpg?width=1200)
今回は、新型コロナ感染症との厳しい闘いについて、劔先生が先頭に立って、保健所スタッフと一丸となって乗り越えられてきたお話を中心にご講演いただきました。
まず、新型コロナ対応における保健所の役割について、確認
【公衆衛生的な活動】初期段階
・地域の対応体制づくり~検査・医療・療養~
・蔓延防止のための積極的疫学調査、地域保健活用
・差別・偏見をなくするための活動
【臨床的な活動】途中からはこちらが主体に・・・
・医療調査
・健康観察
【膨大な事務作業】
・入院勧告書・療養証明書等の発行
・陽性者数、死亡数、クラスターの報告 など
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地域での新型コロナ対応
地域医療はこれでよかったのか?
人吉保健所では
新しい感染症に、地域で対応できる仕組みづくり
身近な医療機関でコロナ検査を受けられる体制づくり
が地域の医療機関の協力のもと、出来上がっていった
菊池保健所では
管内はコロナ対応病床が人口に比し圧倒的に少なく、トリアージ診察受診調整もかなり困難を極めた
コロナというだけで
対応できない病院
必要な医療を受けられない患者さん
時には病院の先生と喧嘩やお叱りを受けながら
同じ県内でも、地域によって、コロナ感染症への対応能力に差があることを感じる
そのようななか、協力してくれる病院・先生方に、とても助けられた
寝袋で保健所に泊まり込みが続く日々
時間外勤務が、月200時間いくことも
所長として、職員(保健師や栄養士など)を鼓舞し、危機を乗り越えてきた
感染症への理解不足
差別偏見を生み、効果的な感染対策ができなくなっていく
「これ保健所の仕事?」 と思うことがあり、地域医療の脆弱性を感じることも
臨床的電話相談、産婦人科、外科治療、自宅療養者の健康観察・・・
患者さんからは、無理難題の苦情も多数
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それでも、仕組みを整え、工夫を重ね、いろんなことが改善できるようになっていった
診療所向けのトリアージチェックシートを開発し
問診・診察・自宅療養のフォローをやってもらうように、医療機関を巻き込む
第6波以降、疫学調査を変化させる
「医療を必要とする患者さんを、適切に医療につなぐ」ことを最優先し、活動方針を変えていく
陽性者へのSMS送信による連絡、調査票の入力
在宅療養支援の体制づくりを目的とした勉強会企画 などなど
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保健所の職員、地域の病院の先生と協力しながら、
ときには、悩み、そして、変化しながら、闘ってこられました。
医療機関の対応に注目される機会が多くありましたが、その前提には、保健所の皆様の大変なご尽力があったことを、改めて知るご講演となりました。
今回の Take Home Message !!
・医療機関、自治体、保健所、介護施設など、地域のステークホルダーと、普段からコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことが重要。自然災害や感染症拡大時など有事の際に、その関係性が活きてくる。
・コロナ禍におけるプライマリ・ケアとは
地域住民が、住む場所によって、別け隔てなく、医療を受けられるように
・地域医療に関わる医療従事者は、公衆衛生の視点をもって、地域全体を診よう!
〈参加者アンケートより〉
・公衆衛生が地域医療において大切であることを知り、今後に活かしたいと考えました
・医師には公衆衛生の視点を持つべきであることを知りました。また、より効率よく医療を提供するために、病院や保健所との連携、情報共有が重要であることを改めて感じました。
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今回参加者はオンラインも含め約40名。高校生7人が現地参加していただきました。熱心にメモをとり、積極的に質問もいただきました。
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勉強会終了後は、同会場にて懇親会を開催。
劔先生を囲んで密度の濃い意見交換ができました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
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次回は、2月2日(金)に予定しています。
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