映画のはなし
5ヶ月で映画館、OTTサービス合わせて30本近く映画を観ました。
呪術廻戦はなんと5回みた…アハハ
同じ映画を映画館で何度も見るって経験はあまりしたことがなかったけど、(『シン・エヴァンゲリオン』は特典をもらいに二回見た)行く度に違う発見があって面白かった。ブルーレイの特典どれにしようかしら。
今の人みんな時間に追われてるし、必然的に2時間拘束されるのはきつい。映画館で見ると1900円かかるし、推しが出てるとかよっぽど興味ないとわざわざ見に行こうって気にならないよね。映画ってもっと気軽にふらっと見に行けるものだと思っていたけど、もう水曜と一日にしか行けなくなってしまった。(TOHOシネマズは「TOHOウェンズデイ」として、誰でも1200円で映画が見れるサービスを始めたようです。)
ここからは特に印象に残った映画。
「little women」は私の人生映画。「女性にも考えも心も野望もあって、それを叶える才能があって、同様に美しさもあるのに、全ての女性に『愛し愛されることが全て』と説くことにはもううんざり。だけど、一人でいることにすごく孤独を感じるし寂しい」ってセリフ(大体の内容)がね…本当に「それな!!(号泣)」すぎて。私の言いたいこと全部言ってくれた。確かに一人で生きていくことは実際さみしいし、この先一生、誰にも、自分の心の奥底を他人と共有できないのかと思うと心細くなることもあるけれど、それでも、私はなりたい自分や夢を諦めることはできないし、何かを妥協して誰かと一緒にいることもできない。
確かに近くにいて、自分を好いてくれている人間と一緒にいることは楽だけど、「自分の気持ち」がなければ互いに苦しくなっていくだけだってこと、私たちはもう充分知っている。付き合ってみたら意外とうまくいったってこともあるんだろうけど、それは人それぞれだから。
確かに『愛し愛されること』は素晴らしいことだけれど、女性だからと言ってそれを強要しないでほしい。子供は可愛いけれど、自分の体は自分のものだから、子供を産むか産まないかは自分で決めます。当然だよね?
四人姉妹がそれぞれ性格も思想もバラバラで、喧嘩もするけど、でもお互いのことを強く理解し、大切に思っているのがすごく伝わってきて、なんだかそれだけで泣けてくる。違うからってお互いを嫌いになるわけじゃない。
「少女時代が終わっちゃう」
ジョーの焦り、戸惑い、不安……ずっしりがっしり自分にも当てはまって最初から最後までずっと胸が痛い。頑張ろうね。私たち。一人じゃないってわかっただけでも胸が少し軽くなった。ありがとう!
原作の『若草物語』は1868年初版発行、出版されて150年近く経つけれど、女性特有の根本的な悩みや立ちはだかる障壁は未だ変わらず、私たちが置かれている状況の多くは改善されていないように思う。マシになった、といえばまぁそうなのかもしれないけれど、私たちがそこで「これくらいで充分です」という必要はないんだから。「わきまえない女」(笑)として、これからも生きていく。
「メタモルフォーゼの縁側」は原作読んでて例の如く実写化に期待してなかったけど、近年稀に見る良実写化作品だったし、やっぱ芦田愛菜ちゃんスゲーってなるので上映館少ないけど今やってるしオススメです。(まだやってるよね?!)
小さい頃から人気子役として第一線で活躍してきた芦田愛菜ちゃんに、うららの鬱屈とした気持ちとか、うまくやりたいのにできないもどかしさとか、自分に自信の持てない自分が恥ずかしくてみっともなくて情けなくて…ていうのがわかるのかなって正直思っちゃってたんだけど、ほんと余計な心配してすみませんでしたって感じです。確かな演技力と読書で培った想像力と地頭の良さで難なくカバーですよ…
あとエンディングの歌もめっちゃうまい。まなちゃんさすが…歌もお上手…
何より歌詞がこの映画にぴったりでこの曲見つけてきたのすごいなって感動しました。
ところどころ映画オリジナルの「映画だからできる演出」が施されていて、(実際に原作も映画も見ていただきたい)実写化ってこういうことよ!と膝を打たずにはいられないシーンもちらほら。ただ原作をなぞるだけじゃない、かといって原作へのリスペクトを忘れず大幅に外れることなく映画の良さを入れる…その塩梅がちょうどよかった。あとなにわ男子の高橋恭平くん、そのままで「紡くん」だったのがナイスキャスティングだな〜と思いました。
(「スープとイデオロギー」はまた別で感想まとめたい。)
「キャロル」はただの綺麗な百合映画で終わらず随所に女性の生きづらさやシスターフッドを散りばめていてよかった。本当に出てくる男がどいつもこいつも情けなくてカッコ悪くて自分のことばっかりで、ケイトブランシェットのカッコ良さが超引き立つ。あんな優雅な麗人にランチに誘われたらどんなに怪しくてもついて行ってしまうだろ…
いつものらりくらりやって来たテレーズがキャロルとの今後はしっかり自分の意見を言ったのがよかった。今までのことはきっと彼女にとっては返事するのもめんどくさい「取るに足らないこと」でしかなかっただけだと思う。
私的多分初の台湾映画「先に愛した人」は、まずあの台湾の街並みとか部屋の感じがすごくよかった…海外の日常が垣間見える映画はいくらでも見たい。どんな家具を使ってるのか、ご飯、部屋の間取りも食器も窓の作りも全部が新鮮で楽しい。
「先に愛した人」は2018年に公開されて翌年にはアジア初の同性婚が台湾で合法化された。
BL漫画はガンガン実写化するのにオリジナル脚本でのLGBTQ+作品がなかなか作られない日本に私はモヤる。
(『彼らが本気で編むときは』『ミッドナイトスワン』は見た)
BLを一般大衆が楽しんで見るコンテンツにするには日本の土壌はまだまだ未熟だし、映画ドラマ媒体の影響力は凄まじい上に、地上波放送になるとBL耐性のない人たちにも目に入る可能性があるのに、制作側のその辺の配慮が薄い。私はBL読むの好きだけど、アングラでやってきてたにはそれなりの理由があると思うので、BLや百合をただのコンテンツとして捉えているように感じられる最近の実写化の流れはちょっと怖いなと個人的には思います。
同性愛者は実在する人間で、マイノリティとして端に追いやられ続けている日本で、若手の売り出し俳優とジャニーズ使って、楽しいところ、面白いところ、きれいなところだけ、っていうのは都合が良いし、先進国を謳いながらも未だに同性婚が合法化されない日本の現実との乖離が凄まじくて見てて辛い。こういうの好きでしょ?的な足元見られてる感じも気に食わないし。オタクをなめんな?
別にみんながみんなプライドマンス!レインボーフラッグ!ってなる必要はないと思うけど、ボーイズラブはどうして「禁断の愛」って言われちゃうのかなとか、レズビアン映画とベッドシーンがセットにされがちな理由ってなんでかなとか、結婚できないとどんな障害があるのかなとか、面白い綺麗なBL実写化も良いけど、見た後に頭の片隅に少しでもそういう気づきが生まれる作品が増えたらいいのになって思います。日本でそういう映画を作れる人はみんな死んだんですか??え???