能動的な音、受動的な音#2哲学未満

カランからん、からん。

夏らしい音が聞こえた。音は僕が作った。この音は夏じゃなくたって作れる。けれど、夏だからこそやりたいんだ、そう思った。

アイスコーヒーは、雑味が少ない。それでいて、味が確定していない。ある人は、アイスコーヒーは一晩寝して飲むのが上手いと語る。

世界は音に溢れている。サブスクの音楽だけじゃない。snsを開けば投稿と紐づいた音楽が流れる。学校のチャイム、トラックが曲がる音、車内アナウンス、カップルの話声。その音が聞こえなくても音は溢れている。

多くの音は僕と無関係に見える。車内アナウンスはほとんどが降りない駅の情報で、カップルの話は無関心な内容が多い。僕らは音に対して受動的だ。

風鈴の音には受動的だが、アイスコーヒーの氷の音には能動的でいられる。全体が冷やすように、サーバーを回す。氷が溶けだし、氷同士が接触して音が生まれる。自分が世界の音を作っている感覚で体が充足する。

この音をあの人に聞かせたい。そう思った。

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