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2024年10月からの長期収載品の選定療養化に伴う解釈について【気になったニュース】

2024年10月から長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)を選定療養の対象となるかどうかの解釈について、厚労省から提示がありましたよという記事です。

そもそも、長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)を選定療養の対象となるとはどう言うことか。国としては医療費削減の観点から後発医薬品の利用を積極的に促していますが、医学的観点ではなく患者の希望により先発医薬品が処方されるケースがままあります。これまで、この先発医薬品の処方についても通常の医療負担割合が適用されてましたが、「患者の希望」において処方した場合、通常の患者負担よりも+αの金額を支払う必要が出てくると言うことです。

◆補足:長期収載品とは
医薬品の中で特許期間が終了した後も長期間にわたり市場に供給され続けている製品を指します。薬価基準に長期間収載されていることから「長期収載品」といわれるようになったようです。

通常、新薬が市場に登場すると、その薬品には一定期間の特許が設定され、特許が有効な期間は、その薬を製造・販売する権利が特許を持つ企業に独占されています。特許が切れると、他の企業も同じ成分を用いてジェネリック医薬品(後発医薬品)を製造・販売できるようになります。ジェネリック医薬品は通常、オリジナルの薬よりも低価格で提供されるため、医療費の抑制に寄与します。しかし、特許が切れた後も需要があり続ける薬品は、「長期収載品」として市場に残ります。

◆補足:選定療養とは
医療機関で提供される診療や治療の中で、保険診療の対象外となる特別なサービスや選択肢を指します。患者が選択することで追加費用が発生するものの、保険診療と組み合わせて利用できる点が特徴です。

国としては、医療上の必要性がない長期収載品の利用を控え、後発医薬品を利用率を高める医療費の削減を抑えること、患者希望で先発品を処方した場合は、その分の増加金額を患者に負担させる狙いがあります。

この記事での要点は、医療上の必要性がある場合・ない場合について具体的にどのように判断すればよいかと言う点です。医師視点では、下記の4つが例として挙げられています。


長期収載品と後発医薬品で、薬事上承認された効能・効果に差異がある場合
当該患者の疾病治療において、後発医薬品ではなく長期収載品を処方する必要があると医師が判断する場合が該当します。 ただし、最終的な判断は、個々の患者の状態などを踏まえて医師が行います。

患者が後発医薬品を使用した際に、副作用、他の医薬品との飲み合わせによる相互作用、先発品との間での治療効果の差異があったと医師が判断する場合
この場合、安全性の観点などから長期収載品を処方する必要があると医師が判断する場合が該当します。

学会ガイドラインで、長期収載品を使用している患者について、後発医薬品へ切り替えないことが推奨されている場合:
 例えば、日本神経学会の「てんかん診療ガイドライン2018」では、発作が抑制されているてんかん患者において、服用中の薬剤(長期収載品)を切り替えないことを推奨しており、このような場合は患者の特別負担は発生しません。

剤形上の違いにより長期収載品を処方する必要があると医師が判断する場合
後発医薬品の剤形では飲みにくい、吸湿性により一包化ができないなどの理由が考えられます。ただし、単に患者の剤形の好みによって長期収載品を選択することは含まれません。


上記はあくまで例であり、医師は個々の患者の状態を踏まえて、上記4点に該当しても医療上の必要があると判断する場合には、保険給付の対象となり、患者の特別負担は発生しません。今後、事例を積み重ねる中で、医療上の必要性があると判断できるケースと判断できないケースの線引きが、一定程度できあがってくるものと考えられます。


また、公費負担医療においての長期収載品の処方において「医療上の必要性がない」となった場合の取り扱いについても同様で、患者は長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1を負担する選定療養の対象となります。これは、国の公費負担医療制度や、こども医療費助成等の地方単独の公費負担医療を受けている患者も同様です。

◆補足:+αの費用について
先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金を、通常の患者負担分に上乗せして支払う必要があります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.htmlhttps://gemmed.ghc-j.com/?p=61806

◆補足:処方箋の様式変更について
長期収載品の選定療養化に伴い、処方箋の様式が変更が見直されます。
 主な変更点は以下の2点です。

1)「変更不可」欄が「変更不可(医療上必要)」欄に変更
医師が銘柄名処方した長期収載品について、医療上の必要性から後発医薬品への変更が難しいと判断した場合、医師はこの欄にチェックまたは×印を記入し、「保険医署名」欄に署名または記名・押印します。

2)「患者希望」欄が新設
患者の希望で長期収載品を銘柄名処方する場合は、医師がこの欄にチェックまたは×印を記入します。これらの変更により、処方箋を見ることで長期収載品の処方が選定療養に該当するかどうかが判断できるようになります。 例えば、長期収載品の銘柄名処方で「変更不可(医療上必要)」欄にチェックがあれば保険給付、 「患者希望」欄にチェックがあれば選定療養となります。

https://medical.nihon-generic.co.jp/topics/column19/

◆補足:一般名処方とは何か
薬の有効成分をそのまま薬名として処方箋に記載し処方すること。薬剤の有効成分を基にした一般名で医師が処方することにより、薬局において患者が先発医薬品・後発医薬品を自主的に選択することができます。これにより、患者の経済的負担を軽減し、医薬品の供給が不安定な状況でも適切な薬剤の処方を可能にします。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/ibaraki/20130820-2/ge_chirashi.pdf


理解度チェック【長期収載品と選定療養について】

問題. 長期収載品とは、どのような医薬品を指しますか?

a) 新しく開発されたばかりの薬
b) 特許期間が終了した後も長期間にわたり市場に供給され続けている薬
 
c) 後発医薬品よりも効果が高いと証明された薬
d) ジェネリック医薬品と同じ成分で作られた薬

解説: b)長期収載品とは、特許期間が終了した後も長期間にわたり市場に供給され続けている医薬品です。新薬は、特許期間中は新しい成分や製法が保護されていますが、その期間が終了すると、他の製薬会社も同じ成分を用いて後発医薬品(ジェネリック医薬品)を製造・販売することができるようになります。

問題. 選定療養の対象となった場合、患者は長期収載品と後発医薬品の価格差のどれだけの割合を負担する必要が生じますか?

a) 1/2
b) 1/4 
c) 1/3
d) 全額

解説:b) 選定療養の対象となった場合、患者は先発医薬品と後発医薬品の価格差の1/4を、通常の患者負担分に上乗せして支払う必要があります。


問題. 医療上の必要性がない場合でも、患者が長期収載品を希望した場合、どうなるでしょうか?

a) 医師は処方箋に「変更不可」と記入する
b) 患者は通常の負担割合で医療を受けることができる
c) 患者は選定療養の対象となり、追加費用を負担する
 
d) 医師は後発医薬品への変更を患者に強く勧める

解説: 医療上の必要性がないにも関わらず、患者が後発医薬品でなく先発品(長期収載品)を使いたいという理由だけで処方された場合、患者は選定療養の対象となり、通常の患者負担よりも多い金額を支払う必要が出てきます。


問題. 公費負担医療を受けている患者が、医療上の必要性がないと判断された長期収載品を処方された場合、どうなるでしょうか?

a) 公費負担の対象外となり、全額自己負担になる
b) 選定療養の対象となり、後発医薬品との価格差の一部を負担する
c) 通常の公費負担割合で医療を受けることができる
d) 医師の判断により、ケースバイケースで対応が変わる

解説: 国の公費負担医療制度や、こども医療費助成等の地方単独の公費負担医療を受けている患者も同様に、医療上の必要性がないと判断された長期収載品を処方された場合、選定療養の対象となり、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1を負担することになります。

問題. 長期収載品と後発医薬品で、薬事上承認された効能・効果に違いがある場合、医師はどのように判断する可能性がありますか?

a) 後発医薬品の方が安価なので、後発医薬品を処方する
b) 患者の希望を優先し、長期収載品を処方する
c) 当該患者の疾病治療において、後発医薬品ではなく長期収載品を処方する必要があると判断する可能性がある
d) 薬剤師に相談し、適切な薬剤を選択する

解説: 長期収載品と後発医薬品で、薬事上承認された効能・効果に差異がある場合、医師は当該患者の疾病治療において、後発医薬品ではなく長期収載品を処方する必要があると判断する可能性があります。


問題. 学会ガイドラインで、長期収載品を使用している患者について、後発医薬品へ切り替えないことが推奨されている場合、患者の負担はどうなりますか?

a) 選定療養の対象となり、追加費用を負担する
b) 患者の特別負担は発生しない
c) 後発医薬品との価格差の半分を負担する
d) 医師の判断により、ケースバイケースで対応が変わる

解説: 例えば、日本神経学会の「てんかん診療ガイドライン2018」では、発作が抑制されているてんかん患者において、服用中の薬剤(長期収載品)を切り替えないことを推奨しており、このような場合は患者の特別負担は発生しません。


問題. 一般名処方とはどのような処方方法ですか?

a) 医師が薬の銘柄名を指定して処方する方法
b) 薬の有効成分をそのまま薬名として処方箋に記載し処方する方法
 
c) 後発医薬品のみを処方する方法
d) 患者が自由に薬を選択できる処方方法

解説: 一般名処方とは、薬の有効成分をそのまま薬名として処方箋に記載し処方する方法です。薬剤の有効成分を基にした一般名で医師が処方することにより、薬局において患者が先発医薬品・後発医薬品を自主的に選択することができます。

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