医療扶助のオンライン資格確認を導入するべきか?【気になったニュース】
2024年より、医療扶助のオンライン資格確認の導入に向けた補助金が提供されています。クリニックへ訪問する際に、「医療扶助のオンライン資格確認を導入することで何ができるようになるの?」と、問い合わせを受けることが多いです。
本記事では、オンライン資格確認を導入することで得られる医療機関側の具体的なメリットと、その導入がもたらす効果について整理したいとおもいます。
これまでの医療扶助患者の受診フローについて
これまでの医療扶助患者が医療機関を受診する際のフローは、複雑かつ手間のかかるものでした。まず、医療扶助を受ける患者は、福祉事業所に申請を行い、紙ベースの医療券を発行してもらう必要がありました。この医療券を持参して、医療機関に提示することで受診が可能となります。しかし、医療機関側では、受診時点で必要な委任情報が事前に届いていないケースがあり、その都度患者や福祉事業所に確認を行わなければならないことが多々ありました。これにより、受診手続きがスムーズに進まない場合があり、患者や医療機関双方にとって負担となることが問題視されていました。
医療扶助のオンライン資格確認ができる場合のフロー
オンライン資格確認を用いた医療扶助のフローでは、従来の手続きに比べて大幅に効率化が図られています。まず、受給者が福祉事務局に申請する際にマイナンバーカードを持っている場合、基本的には資格情報や医療機関への委託情報がマイナンバーカードに紐づけられます。これにより、患者が受診時にマイナンバーカードを提示するだけで、マイナカードに紐づいた情報が医療機関のレセコンに自動入力され、手続きがスムーズに行えます。
さらに、資格がない場合や医療機関が患者の委託を受けていない場合でも、その場で確認ができるため、確認漏れが防げます。また、受診当日に医療機関指定がない場合でも、後日その医療機関に委託された患者の資格情報を取得することが可能です。
医療扶助のオンライン資格確認を導入した場合においても変わらない点
ただし、患者がマイナンバーカードを持っていない場合や、委託先の医療機関がオンライン資格確認の整備が整っていない場合には、従来通り紙ベースの医療券が発行され、それを持参してもらう必要があります。
また、要否意見書の提出については、これまで通り紙媒体で行う必要があるため、その点は従来のフローと変わりません。
医療扶助のオンライン資格確認等導入に係る助成金について
補助金の対象
●医療扶助のオンライン資格確認を導入した保険医療機関等
申請期間
●令和6年3月1日まで
●令和6年度以降の申請受付については、後日改めて通知あり
補助金の交付額
補助金は、以下の区分ごとに、事業費の一定割合を補助する形をとります。ただし、いずれの区分においても、補助金の上限額が設定されています。
$$
\begin{array}{c:lcr}
区分 & 補助率 & 限度額 \\
\hline
病院 & 事業費の 1 / 2 & 23.8万円 \\
診療所または大型チェーン薬局以外の薬局 & 事業費の 3 / 4 & 5.4万円 \\
大型チェーン薬局 & 事業費の 1 / 2 & 3.6万円 \\
\end{array}
$$
補助金の対象項目
●レセプトコンピューターの改修等: 医療扶助におけるオンライン資格確認を実施するために必要なレセプトコンピューターの改修費用が対象となります。
留意事項
●申請には、領収書など、導入に要した費用が確認できる書類が必要です。見積書は認められません。
●申請前に、必ず申請手順書を確認してください。(参考資料2番目を参照)
●領収書に医療扶助のオンライン資格確認等の導入経費以外の費用が含まれている場合は、内訳書を提出する必要があります。
参考資料
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000938396.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001183205.pdf