後悔した先でもう一度… 前編
?:う〜ん…どこだ〜???
僕が公園で一人遊んでいると見かけない女の子が一人公園の周りを見回していた。よく見てみると、ベンチの下を見たり、自販機の下を見たり、遊具の下を見たり…なんか下ばっかり見てるな…。僕は気になってその子に話しかけた。
〇:ねぇなにしてるの??
?:えっ…と…ここに付いてたキーホルダー無くしちゃって…
その子は涙目で僕にバックを見せてくれた。確かに何かが付いていた後があった。
?:走っていたら落としちゃったみたいで…
その子はわかりやすいくらいしょぼんとしていた。
〇:じゃあ僕も探す!!
?:えっ!!!いいのっ!!
僕の言葉にその子の顔は明るくなった。
〇:うん!
公園に一人で来て遊ぶのは正直飽きてたしいいやって思ってその子と一緒に落とし物を探す事にした。それが『ひかる』との出会いだった。
〜〜〜
〇:どこらへんで無くしたとかわかる???…えっと…なんて呼べばいい?
ひ:あっ…名前言ってなかった…私、森田ひかるです
その子はぺこりを頭を下げた。
ひ:ひかるって呼んでいいよっ!
〇:じゃあひかるちゃんだねっ!僕は〇〇〇〇って言います
僕もひかるちゃんと同じようにお辞儀をした。
ひ:じゃあ…〇〇くんだねっ!
自己紹介を終えて僕たちは早速無くしたキーホルダーを探し始めた。
〇:どんなキーホルダー?
ひ:ピカチュウのキーホルダー…
〇:ポケモン好きなの??
ひ:うんっ!!大好きっ!
〇:僕もっ!僕の学校でも人気だよっ!
僕たちは落ちていそうな場所を探した。
ひ:〇〇くんは何年生?
〇:3年生だよ
ひ:私と一緒だ〜!
〇:ひかるちゃんはここら辺に住んでるの?
ひ:うんっ!でも最近引っ越してきたんだよね
〇:そうだったんだ!
ひ:〇〇くんはよく公園に来てるの?
〇:うんっ!でも…友達いないから一人で遊んでる…
ひ:私も引っ越してきたばっかりで友達いないから一緒だよ?
ひかるちゃんの言葉に不意に振り向く。
ひ:じゃあこれからは二人で遊ぼっ!!!
〇:いいよっ!
友達ができてとっても嬉しくなった僕は絶対にひかるちゃんの大切なピカチュウを見つけると決心した。
〜〜〜
〇:う〜ん…ないなぁ…
ひ:どこいっちゃったんだろう…
あれから結構探してるのに見つからない。
〇:ごめんね…見つけれなくて…
ひ:〇〇くんが謝ることないよっ!落としちゃった私が悪いし…
ひ:もう大丈夫だよっ…見つからないものはしょうがないしね…一緒に探してくれてありがと…
ひかるちゃんは笑顔だったがなんだか悲しそうだった。その顔を見ると絶対に見つけなければ!とこの時は思った。
〇:ここで諦めたらダメだよっ!
ひ:〇〇くん?
〇:大切なキーホルダーなら絶対見つけないと!
ひ:〇〇くん…そうだよねっ!諦めちゃダメだよねっ!
そして探すのを再開した。
数分後。。。
〇:あったー!!
ひ:えっ!!
木の根元に落ちていたピカチュウを無事に見つけひかるちゃんに渡す。
ひかるちゃんは嬉しそうに僕に笑顔を見せる。
ひ:よかったぁ!〇〇くんありがとうっ!
〇:よかったねっ!
この出来事から僕たちは毎日一緒に遊ぶようになった。この頃からなんだろうな…ひかるちゃんのことが気になり出したのは。
だいたい公園で遊ぶことが多かったけど、僕の家でゲームをしたり、ひかるちゃんの家で一緒にお菓子作りをしたり、ひかるちゃんの要望を聞くことが多かったけど、僕にとってひかるちゃんと一緒にいられることが楽しいし、その時間が好きだった。
ずっとこの関係が続くと思っていた。
〜〜〜
時は経ち、僕たちは高校生になった。
ひ:〇〇くん〜おはよ〜
〇:あっ…おはよう
ひ:相変わらず朝が弱いなぁ
〇:それはひかるちゃんもでしょ?(笑)
ひ:まぁね(笑)
女子1:ひかるちゃんおはよー!
女子2:おはよー!
ひ:あっ…おはよー!
ひかるちゃんの周りにはすぐ人が集まってくる。
高校生になった頃からひかるちゃんは容姿の良さから学校の人気者になっていた。密かにファンクラブができるくらい。
男子1:森田さん可愛いよなぁ
男子2:だなぁ…俺告白しようかなぁ
男子1:やめときな、この前××先輩が告白して振られたってよ
男子2:まじ??
毎日誰かしら男子生徒から告白されるしね…。
ひ:○ま…
〇:ごめん…先行ってるね
ひ:う、うん…
僕はひかるより先に下駄箱に向かった。
この頃からひかるちゃんと僕には見えない境界線ができている感じがした。ひかるちゃんは人気者。僕はクラスの陰キャ。住む世界が違いすぎる。だから学校ではひかるちゃんを避けるようになっていた。
休み時間。
ひ:ねぇ〇〇くん!
〇:どうしたの?ひか…森田さん
ひ:えっ……あっ…えっと…
女子1:ひかるちゃーん!次移動教室だよー!いこー!
ひ:あっ…うんっ!今いくー!…じゃあ…
ひかるちゃんは少し悲しそうな顔で小さくてを振りながらそのまま行ってしまった。
これでいいんだ。僕たちはこれで。
〜〜〜
そんなある日。
〇:(やばいっ忘れ物…)
教室に忘れ物を取りに入ろうとするとクラスの何人かがまだ残っていて話をしていた。
〇:(入りにくいなぁ…)
入るかどうか悩んでいると少しだけ話している内容が耳に入ってきた。
「で、お前誰が好きなの?」
『あ、俺?俺は…森田さんかなぁ』
「森田さんか〜人気じゃん」
『だって可愛いだろ?』
「そうだけど〜でもお前だったらいけるか(笑)」
『なんだよ、それ(笑)』
会話をしていたのはクラス1のイケメンって言われてる生徒とその友達だった。
〇:(あいつもひかるちゃんの事好きなのか…)
ひかるちゃんの事が好きだった僕にとって彼は恋敵だったが彼が相手だとわかってしまったら勝てる要素がない。
〇:(でも…負けたくないぁ…)
教室に入らずそのまま僕は家に帰った。
〜〜〜
〇:ただいま…
家に帰ってくると珍しくお父さんが早めに帰宅していた。
〇:あれ?早いじゃん
父:おっ帰ってきたか
母:〇〇ちょっとこっちに座って
〇:う、うん
なんだか神妙な空気が気になったが席に座った。
父:〇〇急なんだが…出張が決まってな…来週から大阪行かないといけないんだ
〇:えっ…てことは引っ越す…?
父:そうなるな
〇:そうか…
父:急にごめんな
〇:仕方ないよっ…
母:来週から大阪行くから学校の友達にちゃんと挨拶しなさいよ…特にひかるちゃん、小さい頃から仲良かったから
〇:う、うん…
〇:はぁ…
自室に戻ってため息をつきながらベットに寝っ転がる。
〇:(ひかるちゃんのことどうしようかなぁ…)
ベットで考え事をしてるとこれまでのひかるちゃんとの思い出が蘇る。
〇:(僕って…ほんとにひかるちゃんの事が好きだなぁ………好きだからこそ…ひかるちゃんには幸せになってほしい)
これからいなくなる僕とこれからもいるあいつ。どっちがひかるちゃんを幸せにできるかなんて明白だった。
僕は、クラスの誰にも引っ越すことを言わないで引越し当日を迎えた。
母:〇〇〜準備できた〜
〇:うん、今いくよ〜
母:お父さんと車で待ってるからね〜
〇:は〜い
ひかるちゃんにも言わずに。
………To be continued.