見出し画像

クラスで人気者の好きな人

クラスにある噂が流れた。

『クラスの人気者、田村保乃に好きな人がいる』

田村保乃とはクラス1いや、学校1と言ってもいいほどの人気者。女子からは絶大な支持を仰ぎ、男子は必ず1回は好きになる。ちなみに僕も田村さんの事が好きだ。それはさておきそんな人気者の好きな人がいるとなると学校中その噂で持ち切りになった。

『このクラスにいるのかな』
『先輩とか?』
『他校の生徒かもよ』
『田村さんと誰々が話してるの見た』
『いっその事社会人じゃね?』

ありとしない噂とみんなの考察が毎日飛び交っていた。

そんなある日誰かがこう言った。

『クラス1のイケメンの◇◇じゃね? 』

それからみんな田村保乃の好きな人は◇◇君と思うようになった。◇◇君も満更でもなさそうだった。田村さんの事が好きだった僕はまぁ心が折れたよね(笑)あんなイケメンに勝てるわけがない。そう思ってた。

--------------------------------------------

ある日の放課後。図書委員の仕事を終えた僕は図書室のドアを施錠し鍵を返そうと廊下を歩いていた。そしたら後ろから声を掛けられた。

?:○○君!

声のする方に振り向くとそこには田村さんがいた。

○:田村さん!?ど、どうしたの?

保:今ちょっといいかな?

○:これから帰るだけだし大丈夫だよ

保:ありがと!ここじゃなんだから教室行かへん?

○:う、うん…///

僕に向けられた笑顔が可愛すぎて死ぬところだった。それを悟られないよう平然を装い田村さんと教室へ向かって行った。

--------------------------------------------

○:話とは…

保:あんなぁ…

田村さんは僕の正面に立ち真っ直ぐな瞳で僕を見つめた。

保:○○君の事が好き!付き合ってください!

○:え、えぇ!?好き?僕のことが?

保:うん…///

○:みんなが噂してた田村さんが好きな人が僕だなんて…

保:そうやったな〜みんな◇◇君が保乃の好きな人と勘違いしとったけどな〜(笑)

○:なんで僕なの?

保:なんでそんな自信ないねん!○○くんいい所いっぱいあんねんで?うちが学校から帰ってるときにな〜○○君がおばぁちゃんの荷物もって歩いてるところを見かけてん!

○:あの時のか

保:でな〜優しい人だな〜って思っとって…その後も学校で友達の代わりに掃除してる所とか図書委員の仕事一生懸命やってる姿とか…気づいたら目で追いかけとったんよ…///

○:う、うん…///

保:それで…○○君の事好きになってた…///

田村さんはいつもの可愛らしい笑顔を僕に向けていた。

○:ぼ、僕も!田村さんの事が好きです!

保:え!ほ、ほんまに?

○:笑顔が可愛い所とか…みんなに優しい所とか…///

保:嬉しい…///○○の事大好きやで…///

ドサッ!
保乃は僕に抱き着いてきた。

○:ちょっと…///誰かに見られちゃうよ?

保:いいもん!ラブラブな所見せつければええもん!

さらに強く抱きしめる保乃。

○:ちょっと…強くない?

保乃はパッと抱きしめていた腕を離す。

保:あ、ごめん…///愛が強かったんかな〜///

○:僕は田村さんからの愛が伝わって嬉しかったよ?

保:その田村さんって呼び方やめてくれへん?保乃って呼ばれたい!!

○:えっ!…///……ほ、保乃…?

保:なーにー?○○!

○:なんか照れる…///

僕は保乃から目を逸らす。

保:○○は可愛いところもあるな〜これからよろしくな〜○○!

○:こちらこそ!

そうして僕たちは付き合うことになった。

次の日…。

僕がいつも通り登校すると後から声をかけられた。

保:○○〜!おはよー!

保乃は僕に抱き着く。

○:ちょっと…///みんなに見られたらどうするの…///

保:いいやん!そんなの見せつけちゃえば!

○:でも…

保:○○!自信もって!○○はかっこいい保乃の彼氏なんやから…///

○:うん…///

周りの人たちはザワザワしだしていた。

--------------------------------------------

◇:おい!○○!

クラスに保乃と2人で入ったところで◇◇に呼び出された。

○:◇◇君どうしたの?

◇:ちょっと来いよ!

僕は無理やり◇◇に廊下に連れていかれた。

◇:なんでお前が田村と一緒にいるんだよ!

○:それは…

◇:なんだよ!はっきり言えよ!

○:たむ…保乃とは付き合ってるんだ

◇:は?笑わせるなよ…お前が田村と付き合ってんのか?

○:うん…

◇:お前みたいなやつが田村と釣り合うわけないだろ?笑わせんなよ!今すぐ別れろ!

◇◇は僕の胸ぐらを掴む。

○:はぁ…?

保:やめて!

保乃が2人の間に入る。

保:保乃が○○と付き合おうが◇◇君には関係ないやん!

◇:いや…

保:保乃は○○の事が好きやから…大好きやから付き合ってんやで!部外者の◇◇君が保乃たちの間に入らんといて!

保乃は見たこともないような剣幕で◇◇に言い放った。

◇:なっ…

◇◇は何も言い返せず大人しく教室に戻った。

保:○○大丈夫?

○:うん…ごめんね…

保:なんで○○が謝るん?○○は悪くないんよ?

○:僕が保乃を守らないといけないのに…逆に保乃に守られちゃったなって…頼りないよね…

保:そんなの関係ない!頼りないとか守る守られるとかじゃない!○○はもっと自信もっていいんよ?○○の優しさは誰にも負けへんから!

保乃はとびっきりの笑顔を僕に向ける。

○:保乃…ありがとう…もっと自分に自信持つようにするね?

保:○○…///その笑顔とってもいいよ!可愛い…///

○:ありがと…///保乃の笑顔も可愛いよ…///

保:照れるやん…///

保乃は僕に抱き着き、幸せそうな笑顔を浮かべていた。

僕はこの時保乃の笑顔に救われた。これからもこの笑顔に救われるんだと思う。きっと。

end


いいなと思ったら応援しよう!