共依存
○:ん…。
目を覚ますといつもと変わらない天井が見える。
○:今何時…?
ベットから起き上がろうとするが手足が動かせない。
ガチャガチャッ
○:なんだこれ…
俺の手足はベットに拘束されていた。
ガチャガチャッ
乱暴に引っ張っても取れそうにない。
?:おはよ○○
声がして顔を少し起き上がらせるとそこには彼女のひかるが立っていた。
○:ひかるっ!なんだよこれ!
ひ:暴れると怪我するよ
ひかるはゆっくり近づいてベッドの端に腰掛ける。
○:な、なぁこれ外してくれないか…?
ひ:嫌だ
○:なんで…
ひ:自分で考えて…じゃ
○:ちょっ!ひかるっ!!
ひかるは寝室を出る。
○:はぁ…俺がなんかしたのかよ…
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ひかるが寝室を出てから数時間が経過した。
○:あれは結構怒ってた…俺…なんかしたのかな…
あれからひかるを怒らせた原因は何か考えたが何も思い出せない。
ひかるとは滅多に喧嘩しないし、円満だった。1つ思い当たるならひかるの愛が重い所だ。
俺が他の女と連絡取るのも会うのも嫌うし、帰りが遅かったり、返信が遅くなると問い詰められる。
それぐらい好きでいてくれるんだと嬉しい気持ちの反面、ちょっと重すぎて鬱陶しく感じる時があった。
まさか…愛が重すぎてとうとう拘束する所まできたって事か?
それぐらいしか考えられない。
○:じゃあ俺悪くないじゃん…
と思っても現状が変わるわけじゃない。
○:でもひかるには謝った方がいいよなぁ…
それがこの現状を脱する唯一の術。
ひ:ただいま
その時、丁度ひかるが帰ってきた。
○:ひかる!俺が悪かった!だからこれを解いてくれないか?
ひ:ほんとに反省してる?
○:うん!反省してる!
ひかるはベッドに乗ると俺の上に跨る。
ひ:じゃあ…○○は何を反省したの?
○:えっ…
ひ:反省したんでしょ?じゃあちゃんと言って?
○:あっ…えっと……
ひ:ん?
ひかるに見つめられ冷や汗が止まらない。
○:あぁ…あっ…
上手く言葉が出てこない。
ひ:やっぱり…なんも分かってない…
○:分からないよ!俺がなんかしたのか!
ひ:したよ!!私たちの事、他の女に相談してたでしょ!
○:な、なんでその事知っ…
ひ:なんで?…なんでなんでなんでなんで!私たちの問題なのに!なんで他の女なんかに話すの?相談するの?関係ないのに!最近帰りが遅いのも返信が遅いのもその女と会ってるからでしょ!
○:違う…
ひ:違わない!!会う約束だってしてたし何回も会ってた!1回だけじゃない何度も!!私はほったらかして他の女の所に行って!
○:ほったらかした訳じゃないっ!
ひ:言い訳は聞かないっ!!
○:ほんとに違うんだって!相談しただけだ!他にやましい事はなんもない!
ひ:まだ言い訳するんだ…
ひかるの目に光はなく、何かに取り憑かれてるみたいだった。
ひ:言い訳ばっかりする○○は嫌い…他の女の所に行く○○も嫌い…
○:ひかる…?
ひかるはベッドから降りるとどこかへ向かう。
○:ひかる!おい!どこ行くんだ!ひかる!
ガチャガチャッガチャガチャッ
ひかるを止めたくても拘束具が邪魔をする。
○:クソっ…
ひかるが寝室に戻ってくる。
ひ:……
○:ひか…る?
ひかるの手にはカッターナイフがあった。
○:何をするんだ…?おい…!
ひ:○○はずっと私のモノ…誰にも渡さない…
ひかるは俺に近づいてくる。
○:ひかるっ…!落ち着いてっ!
ひ:○○は私だけを見てればいいんだ…私だけの○○だから…
ひかるとの距離がどんどん近づく。
○:ひかるっ…!待てっ!落ち着いて!
ひ:○○…○○…
ひかるはベッドに上がる。
ひ:○○は誰にもあげない…!一生私だけの○○なんだからっ…!
○:待てっ…!おちつけっ……んっ…
言葉の途中で腹部に痛みを感じる。徐々に痛む部分が熱くなる。
○:ぐあっ……あぁ……
ひ:○○……○○っ…わ…私…何してっ…○○ぅ…
ひかるは涙目になりながら動揺していた。ひかるの手からカッターナイフが落ちる。
痛みに耐え顔を上げると腹部が赤くなっていた。
○:なるほどね……
あぁ…ひかるが…ひかるが…泣いてる…俺が何とかしないと…俺のひかるが…苦しんでる…。
○:ひ、ひかる…俺は大丈夫だから……手と足…解いて…
ひ:グスッ…○○っ…ごめん…ごめんなさいっ…
ひかるは泣きじゃくりながら拘束具を外す。
○:お、俺は…大丈夫だから……こっちおいで…
ひかるは俺の方に近づく。
○:ひかるは…悪くない……俺が…悪かった…ひかるをほったらかして…ひかる以外…もう見ないから…会わないから……俺にはひかるしかいないから……もう…泣かないで…
ひかるの頬を撫でる。
○:体…丈夫だから…病院行けば治るから…ね…
ひ:○○っ…○○っ…ごめんなさい…○○っ…
ひかるは俺の服を握り、俺の胸の中で泣きじゃくる。
こんな事されてもまだひかるの事好きだなんて…俺も重いな…。
end.