冷たい主任の本当の顔
俺は○○。都内の会社に務める冴えない会社員。やりたい事も夢もなかったのでたまたま内定が貰えた会社に入社した。
○:おはようございまーす…
?:○○先輩!おはようございます!
○:おはよ…
?:朝から元気出してかないとダメですよ〜
○:お前が元気なだけだろ…
玲:あぁ〜またお前呼びになってる!ちゃんと玲って呼んでくださいって言ったのに〜!
○:はいはい…大園…わかったから仕事しろー…
玲:ほんとは玲呼びがいいのに…まぁいいか!これから玲呼びに直してけば!
能天気だが俺を慕ってくれてる後輩がいるし俺にはこの仕事が向いていた。だからそれなりに仕事は楽しいのだが…。一つだけ、仕事が会社が億劫になる理由がある。それは…。
?:○○ちょっと来て
○:(はぁ…またかよ…)
○:はい…なんでしょうか主任
?:○○が昨日出してくれた資料…不備が多いんだけど
○:そうですか?…確認したんですけど…
?:確認が足りないんじゃないの?…ちゃんとしてよ…後輩もいるんだし先輩がしっかりしたところ見せないと
この人が俺が会社や仕事が億劫に感じる原因。名前は、森田ひかる。彼女は、仕事が出来るので若くして主任に昇格した方だ。可愛いし同じ部署になった奴は1回は惚れるだろう。だが、彼女は超がつくほど冷たい。誰に対しても冷たくあしらっているが俺にだけ異常に冷たい。毎日最低1回は注意され、怒られ、挙句の果てには睨みつけてくる。
○:すみません…
ひ:謝るんなら出す前に確認して
○:はい…
俺は森田さんのお叱りが終わると自分の席に着いた。
ひ:はぁ…
森田さんは、みんなに聞こえる大きさのため息を出す。
○:(ため息出したいのはこっちの方がだよ…クソっ…)
玲:先輩大丈夫ですか?
○:うんまぁ…
玲:そうですか…あっ!じゃあ今日一緒にお昼食べましょ!
○:いいけど…
玲:やったー!
大園と話してるとどこから視線を感じる。
ひ:ジー
森田さんがずっと睨んでいた。
○:はぁ…大園…主任に怒られる前に仕事するぞ…
玲:はい!
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お昼休み
玲:○○先輩!お昼行きましょ!
○:はいはい…
ひ:○○…ちょっといい?
席を立とうとすると森田さんに声をかけられた。
○:はい…(またなんか怒られるのかよ…)大園先に行っててー
玲:…じゃあ下のファミレスで待ってますからね…
○:おう…でなんですか?主任
ひ:ここじゃなんだから会議室来て
○:は、はい…
俺と森田さんは会議室に入る。しばらく沈黙が続く。
○:あの…主任話があるんじゃないですか…
ひ:………るの?
○:ん?もっかい言ってください
ひ:……ってるの?
○:え?もう一度…
ひ:だから!…大園とは付き合ってるの?
○:はい…?
そこにはいつもの冷たい目をした森田さんではなく、目をうるうるさせ頬が少し赤く染っている乙女の表情をした森田さんがいた。
○:付き合ってないですけど…
驚きすぎて呆気に取られたような顔で答えた。
ひ:よかった…
○:なんでそんな事聞いてきたんですか…?
ひ:それは……
○:?
チュッ…
その瞬間、森田さんは俺のネクタイを引っ張り不意をつかれた俺が体勢を崩した隙に俺の頬にキスをした。
○:えっ…?
俺は目を丸くして森田さんを見る。
ひ:好きなの…○○の事が…///
○:マジで言ってます…?
ひ:うん…///
目の前にいる森田さんの恥ずかしがってる姿を見れば本当なんだと思うしかなった。俺は半分放心状態な感じで何も言えないでいる。
ひ:急に言われても困るよね…いつも注意してばっかだし…冷たい態度もとってたし…それは…どうやって接したらいいか分からなくて…冷たく当たっちゃった…みたいな…///○○の事はずっと気になってて…///……○○のか、彼女に…///…なりたいなぁ…って…///
○:いつも俺を睨んでたのは…
ひ:睨んでない!!ただ…○○を見てただけで…///
俺が睨まれてると思ってたのは森田さんが俺を見つめているだけだった。
ひ:返事は…?
うるうるした目で上目遣いで見てくる森田さんに内心ドキッとした。
○:告白は嬉しいですけど…まだ森田さんの事知らない事が多いし俺は会社での森田さんしか知らないので…
ひ:そうだよね…
森田さんは段々と目に涙をためて泣き出しそうになっていた。
○:だからまだ答えは出さないです
ひ:え?…
○:今週の日曜日空いてますか?空いてたらデートしましょう、そこで森田さんの事知ってそれから答え出します
ひ:わかった…日曜日空いてるよ、どこ行くかはまたLINEするね…///
○:はい
森田さんは満更でもなかった様子だったから少しほっとした。
それから俺は森田さんが会議室を出てから少し経って出ていき大園とランチをして仕事に戻った。だが、頭の中はずっと森田さんの事でいっぱいだった。
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デート当日。
待ち合わせの5分前に到着して待ち合わせ場所に行くともう森田さんはいた。
○:森田さんお待たせしました!
ひ:○○!全然大丈夫だよ、さっき来たばっかりだから…
森田さんはいつもの姿と違い大人っぽいワンピースに身を包んでいた。とても綺麗だと思った。
○:なんかいつもと違いますね、似合ってますよ
ひ:そ、そう…?///
森田さんは照れた表情を見せた。
○:かわいい…///ボソッ
ひ:なんか言った?
○:な、なんも言ってないです…!じゃあ行きましょう
ひ:うん!
俺たちは水族館を満喫した。生き物たちを見る森田さんは子供のように目をキラキラさせて喜んでいて可愛かった。
ひ:〇〇!イルカショーだって!行こ!
森田さんは俺の手を引っ張る。
〇:森田さん!急に引っ張ったら危ないですよ
すると森田さんは急に立ち止まる。
〇:どうしました?
ひ:今だけは森田さんって呼ばないで…
〇:……じゃあなんて呼べばいいですか…?
ひ:ひかるって呼んで欲しい…///
〇:さすがに呼び捨ては…
ひ:やだ…呼び捨てがいい…ひかるって呼ばれたいもん…///
なんなんだこの可愛い生き物はと思ってしまった。
〇:わかりました……ひ、ひかる…///
ひ:〇〇…///あと敬語も無しね!
〇:はい…
ひ:敬語はダメ!
〇:うん…
ひ:よろしい(笑)じゃあ行こ!
もりた…いや…ひかるは俺に手を差し伸べた。
その差し伸べられた小さな手を俺は優しく握った。
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水族館を後にした俺たちはレストランに入った。
ひ:オムライス美味しそう…!
〇:だね
ひ:パクッ…美味しい〜
ひかるが美味しそうにオムライスを食べる姿は小動物のようで可愛かった。
~~~
ランチを終えて公園に来た。
2人並んで歩いていく。
ひ:今日はありがとね…
〇:こちらこそ、思いつきに付き合ってくれてありがとうございます
ひ:あっ!敬語に戻ってる!(笑)
〇:あっ…ごめん…(笑)
ひ:もういいよ…(笑)なんか変に付き合わせちゃってごめんね…
〇:全然大丈夫だから…
ひ:無理させちゃってるでしょ…?
〇:そんなことないですって…
ひ:あの日…告白して振られなかった事に驚いたし嬉しかった…けどあとから思ったの…振らなかったのって私に合わせだけなのかなって…振ったら可哀想だからって…だから答え曖昧にしたのかなって…
〇:……
ひ:だからもういいよ…振っていいよ…
〇:森田さん…
ひ:はい
ひかるは俺の目を真っ直ぐに見つめる。
〇:…俺と付き合ってください
ひ:え………なんで…?
〇:今日1日…いやあの日からずっと…森田さんの事が離れないんです…ずっとずっと考えてしまうんです…告白はびっくりしました…いつも叱ってくる上司が俺のこと好きって有り得ないなと…それにその場で決めたら勇気をだして告白した森田さんに悪いなって思って保留にしました…その後からずっと森田さんを意識してしまうんです…無意識に目で追ってしまうんです
ひ:うん…
〇:俺は…気づいたら森田さんの事が好きになってました
ひ:うん…グスンッ
〇:森田さん…俺と付き合ってください
俺はひかるに手を差し伸べた。
ひ:はい…///よろしくお願いします…///
ひかるは小さな手で優しく握った。
〇:なんで泣いてるんだよ…(笑)
ひ:嬉しくて…///
ギュッ
泣きながら微笑むひかるが可愛すぎて思わず手を引いて抱きしめてしまった。
ひ:〇〇…///…好きだよ…///
〇:俺も…ひかるが好きだ…///
ひ:ね、ねぇ…///
〇:ん?
ひかるから体を離す。
ひ:この後って…その…予定ある…?
〇:無いけど…
ひ:〇〇とせっかく付き合えたから今日は帰りたくないなぁ…って…///
〇:俺の彼女可愛すぎかよ…///
ひ:可愛いなんて…///それに俺の彼女って…///嬉しい…///
〇:じゃ、じゃあ今日は…俺の家に泊まる…?
ひ:うん…///
〇:じゃあ…はい
ひ:はい…///
二人は手を繋いで帰り道を歩いて行った。
end.