優しさ
午前4時半。まだ外は真っ暗な中○○は気持ち悪さで目が覚める。
○:うぅ…気持ち悪い……
隣で寝る妻を起こさないようにそっとベットから抜け出す。
○:うっ…やばい…
ベットから出た途端、吐き気が押し寄せトイレへと駆け込む。
○:はぁ…はぁ…吐いちゃった…やばっ…またっ…
?:○○…?…○○っ!
妻のひかるが駆け寄り、○○の背中を摩る。
○:ひかる…起こしちゃったね…ごめん…
ひ:謝らなくていいよ…それより大丈夫?
○:ちょっと…気分悪くて……
ひかるはずっと目に涙を溜めて僕の背中を摩ってくれてる。
○:なんで泣きそうなの…(笑)
少し落ち着いた僕はひかるに問う。
ひ:だって…起きたらっ…○○がいなくてっ……明かりついてるところに行ったら○○が蹲ってるんだもんっ!!
〇:心配かけたね…ごめん…
ひ:ううん…
〇:もう大丈夫だよ…
少しふらつく足で立ち上がる。ひかるは俺を支えようと肩で支える。
〇:大丈夫だって…
ひ:ふらついてるし大丈夫じゃないでしょ!!
〇:ご、ごめん…
二人でベットに戻るとひかるは僕に布団をかけてどこかへ向かう。
〇:ひかる…?
ひかるは戻ってくると僕のおでこに冷えピタを貼り、体温計を渡してきた。
ひ:自分で測れる?
〇:うん…
計り終わるとひかるに渡す。
ひ:あぁ…熱あるね…
ひかるが見せてきた体温計には『39.7』と書かれていた。
〇:めっちゃある…
数字で見るとどんどん自分が体調悪いことを意識してくる。
〇:なんか…つらくなってきた…
ひ:大丈夫だからね…私がずっと付いてるから…
ひかるの小さな手が僕の手を優しく握る。
〇:ありがと…
ひかるに撫でられてると安心して眠気が襲ってくる。
〇:ひか…る…
ひ:ここにいるからね…〇〇…
〇:う…ん…
ここから意識は無くなった。
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〇:んん…
目を覚ますと辺りは明るくなっていた。
〇:もう11時か…
今朝よりは体がだいぶ楽になったのでベットから出る。ひかるは…この時間だから仕事かな。
寝室を出てリビングへ。冷蔵庫から水のペットボトルを出すと少しだけ飲む。
〇:ふぅ…
ギュッ…
〇:んっ…
背中に温かい感触が…。
〇:ひかるいたの…!?
ひ:ぶぅ〜…だってずっと一緒にいるって言ったでしょ〜
ひかるは頬を膨らませて少し不機嫌そうな顔で僕に抱きついていた。
ひかるの腕を解き、体をひかるの方に向ける。ひかるは再度僕に抱きつき上目遣いで睨む。
〇:そうだけど…仕事は?
ひ:もちろん休んだよ?
〇:休んだの!?
ひ:だって…〇〇の事一人にしたくないもん…
〇:ひかる…
妻の優しさに心がホッとして自然に笑みがこぼれる。
ひ:なんか〇〇嬉しそう(笑)
〇:ん〜(笑)ひかるに看病されて元気になったから…かな(笑)
ひかるの頭を撫でる。
ひ:ふふ〜♪
さっきまで不機嫌そうだったのに今ではとっても上機嫌。
グゥゥ~
〇:あっ…///
ひ:〇〇〜お腹すいたの〜(笑)
〇:そりゃぁ…人間だもん腹減るって(笑)
ひ:そうだよね(笑)〇〇は何食べたい?
〇:うどんかな
ひ:わかった!今から作るからちょっと待ってて!
〇:僕も手伝うよ
ひ:今日はだめ!大人しくしてないと!
〇:でも…してもらうばっかじゃ…
ひ:じゃあ…
ひかるは僕の不意をついて唇にキスをする。
〇:んっ!?
ひ:今日はずっとひぃと一緒にいること!ひぃのそばを離れないこと!それが今日一日〇〇がやることね!(笑)
〇:わかったよ…(笑)ずっとひかるの側にいる!
ひかるを強く抱き締める。
ひ:わぁっ!?あははっ!
ひ:ん〜!○○〜!
ひかるも強く抱きしめ返してくれた。
その日のお昼のうどんはとても優しい味がした。
end.
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