月がきれいですね #テレ東ドラマシナリオ
テーマ①大麦こむぎさんの『月がきれいですね』**
ドラマのテーマ、背景
ある日「すき」が無くなってしまった日本。各地で、各関係性の中での「すき」が消えてしまった。それは突然消えたように見えたが、日本語の神様のいたずらであった。神様は僕ら日本人に「無いもの」を必死で探してごらん?問いたかったのだ。
※神様の件は見せなくてもいいです
それぞれが、無くなった「すき」を伝えたくなるシーンが現れる。
自分の思いを見つめ直し、そこで見つけた新しい「ことば」にフューチャーしていくオムニバスドラマのような展開。
それはインスタントな「すき」を否定してもいる。
深い「すき」でなければ、違う「ことば」にもならないし、伝わらないのだ。
フォーマットは冒頭に必ず「……」と各関係性の好きを伝えようとして言葉が詰まるシーンから始まってほしい。そして、時間軸を遡りそのシーンに戻ると、次の言葉が「すき」の代わりの「ことば」と気づける仕掛けにしたい。
また、ピエロ役で、日本語研究者が欲しい。彼女(30代前半)だけが日本からその言葉が無くなったことに気づいていることにしておく。オムニバス性のドラマ展開と彼女の話が少しづつ展開していくことでドラマ展開に奥行きを作る。
※もう一人「すき」を嫌悪していた男と最後に出会ったりして、その二人が手にする「ことば」で終わりたい。
プロット案
●冒頭シーン(あらゆる「すき」が消えたシーンを面白く描く)
横浜の大桟橋で不倫をしている男と女
男「綺麗な夜景だよ」
女「ほんと……素敵。でも儚いわ。私たちみたい」
男、女を見つめる
男「俺たちは、一晩の輝きさ。この夜景にように……」
女、瞳を閉じてキスを待つ
女「ねぇ、今晩だけは私にだけ、奥さんを忘れて私にだけあなたの気持ちを伝えて欲しい」
男、女の肩に手をかける
男「ああ。お前が………」
言葉出てこなくて、苦悶する男の顔
そのうち、餌付くようになる
女、目を閉じていたが異変を感じ目を開ける
女「え? なに? どうしたの?」
男「いや、ちょっとおかしくて。なんか思うように言葉でない」
女「はぁ?」
ややキレ気味。
女「え? そんなに言いたくないの?」
男「いや、違う違う違う。ちょっと、出てこないだけだから。あれ? 何を言おうと思ったんだったっけ?」
パチン! 女、男を叩く
女「ほんと、そういうトコ!」
カツカツと去っていく女
日本語研究者N「日本語にあった「すき」が、ある日突如として無くなってしまった。その理由は分からない。私のように丹念に言葉と毎日接していた者にしか気づけれないほど、ひっそりと消えてしまった」
●短いシーンをいくつかつなぐ
ラブレターを開く少女
手紙には、「僕は、ユミちゃんが だ!」と空白で書かれている
少女はいたずらかと思い、その手紙を捨てる
子供の手を引くお父さん
子供を笑顔で見つめる
お父さん「雄大、おっきくなったなぁ。雄大はお父さんのこと……」
言葉が出ずに困るお父さん
子供「なぁに? お父さん?」
お父さん「いや、なんでもないんだよ」
女子たちが集まって、ケーキをみる
女子A「あー、ほんとここのケーキ美味しいんだよねー」
女子B「わかるー」
女子C「ほんと、心がとろけるよねー」
女子達「ここのケーキ、めっちゃ……」
言葉が出ずに困り、3人とも見合わせる
女子達「あれ? なんだっけ?」
●短いシーン終わり
日本語研究者N「日本のどこにもその言葉は無くなってしまった。それは私たちが日本語を軽んじて使っていたことに対する、日本語の神様からの罰なのかもしれない」
日本語研究者の顔アップ
女性 30代 若くて聡明な表情
日本語研究者「そう、もう二度と私たちはあの言葉を言えない」
辞書の一ページを切り取りそのページが消える
タイトルバックの絵になる
T「月が綺麗ですね」
subT「“すき”が消えた日本」
●老夫婦の「すき」本編
○冒頭 散歩道
老夫婦がいる
少しだけ前を行くお婆さん
ちょっと遅れてお爺さん
立ち止るお爺さん
振り返るお婆さん
お婆さん「どうしました?あなた」
お爺さん「ゆい…あの……」
言葉が出ないお爺さん
日本語研究者N「この二人の場合…」
○二人の生活の話
少しアルツハイマーが入り始めたお婆さん。
二人は世知辛い世間なのか、生活をしていく。
お婆さんを半介護しながら、二人で生きていく。
少しずつ、忘れられていく思い出に
お爺さんは、その寂しさと
自分の老を感じながら、
限界に近い生き方と思い始める
息子夫婦が
「そろそろ二人で施設に入って欲しい」
と言われる。
心配だとしても、やはり
捨てられた気分になるお爺さん
家に拘りたい。
いや、意地を張ってるだけなのかもしれない
そう思い。
二人で施設に入ろうと思ったお爺さん。
冒頭のシーンに戻る
○「すき」の代わりの「ことば」
お婆さん「どうしました?あなた?」
お爺さん「ゆい…あの……」
下を向くお爺さん。
しかし、一拍おいてお婆さんを見つめる
お爺さん「ゆい、最期まで一緒だよ」
お婆さん、微笑む。
お婆さん「はいはい、あなたは直ぐに迷子になりますからね。私に付いてきてください。ほんと男の人のくせにねぇ」
と前を向く。
ほんの少しだけ鼻声で。
●日本語研究者の声
日本語研究者「でも、もし……」
辞書を閉じる
日本語研究者「そうではない『ことば』を見つけたのなら…本当の意味になるのかもしれない」
エンディング
すきが嫌いだった男
「この世にあの言葉が無くなった。せいせいする。あんな、嘘のような言葉は消えて良かったんだ」
病室でそう嘆く男の背中
ーエンドー