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#noハン会小冊子企画2nd 感想コメント2巻

昨年ですがnoハン会小冊子企画2ndに参加しました。冊子は全部で二つありますので、今回は第二巻をご紹介&感想文です

以下、第2巻のnoteページです

noハン会小冊子企画2nd
同じテーマで創作を募集し、小冊子にする企画。
その小冊子を2019年12月8日に開催されたnoハン会(note非公式オフ会)にて展示、配布する。
今回のテーマは「noハン会のロゴ」

それでは、第二巻に蒐荷された皆様の作品のご紹介と一言感想文です。



●moonさん「言葉のキャッチボール」

moonさん。私ね、嫉妬をしたよ。
クマキは昨年度星新一賞へ応募し、敗れました。悔しや。
自分の作品はちょっとコピーバンド感があるのは否めないって思っていたけど、だけれども面白いなって思ってました。この賞以外で取れるものないと思うんですよねー。ウンウン。まあ仕方ない。
それはさておき。いやはや、moonさん。面白い!
やっぱり書ける人は書けちゃんだな、って思った。同じぐらいの感覚の持ち主で、描くニヒルさが、もっとえぐい。
エグくてよかった。
ショートショートは、落ちるまで平穏。それでいて、落ちた時にストーンて地球の裏側まで行きたい。それぐらいの落ち方をしていたと思います。
あっぱれです。是非皆様も手にとって欲しい作品です。



●だいすーけさん「だから今日はカンパイ。」

第2巻はだいすーけさんのこの作品からスタートします。
粋でしたね。装填の模様を予想されて、このページを開けた瞬間にふわっと
香る芳醇な匂い。手にとって酔い浸ってしまいたい。
その中に、だいすーけさんの素直なメッセージが入っています。
ワインに浮いているリングを見つけて、私は喜ぶのでした。



●そらのはさみさん「永遠に届かない」

二つの世界線の中描かれる。
遠い宇宙の先の話。
もう一つは、高校生たちの会話。
時折挟まれる、切り取る言葉たち。スナップショットのようなその表現が、時を少しずつ、か細くしてく。私たちの周りに流れる時はとても脆い。時空なんて言っていいもんじゃない。1秒ごとに失われる世界なんだから。それを教えてくれているような、表現。
そして、遠い宇宙の交信を受けてしまった、地球の女の子の会話は、たわいもない会話に聞こえる。はいはいといつものように聞き流そうとしたら、もう居なくなるかもしれないと感じてしまった。いや、きっと居なくなる。彼女の思いを感じる頃には、彼女は居なくなる。
僕らの周りにある、全ては有限で時間が入ってくると、二度と会えないこともある。そんな風に描いていました。
さては、あの人が書いたな。これ。




●ますこすこさん「石を視る」

いやあ、あまりこういう言い方は好きじゃないですが、近代文学の手触りでした。これぞ小説という一つの在り方だと思いました。一度拝読して、ああこれ一回じゃ分からないやつだわ。って思いまして、ツイッターでは読みましたのご挨拶のみとしました。さて、再読です。
これは一応物語の筋のようなものがありますが、それを追いかけては意味がありません。その筋に意味は無いのですから。彼、もしくは彼女、いや石でも鴨川でもいいのです。読み手は手にとった「ソレ」に感情を乗せていけばいい。
おそらく、僕らが書く文章や、物語、もしくはnoteでもいいかもしれません、ソレらが石だと例えられていると思うのです。そして、その石が良いか悪いかを言われても所詮石です。大きな鴨川に流れる水の中であろうが、沿岸をしきつめる石であろうが代わりはありません。そんな醒めた目で石をみているますこさんは、ある意味冷たいです。彼女の肌のように。でもわかりますか?
最後に、それでもやっぱりみずに入って、自分の石を探しに行ってしまいます。まるで、私のように、僕のように。
物語で読み手の感情をわざと動かさないで、その妙な世界観で、自分をしっかり投影させるますこさん。この書き方に嬉しく思ってしまいました。ブラボー。




●Kojiさん「モニュメント」

さて、物語は「ハッ」とするときにある種のカタルシスを感じます。読む人はそのカタルシスを求めてしまいます。今回の話、この「ハッ」とにひやりとさせられたのです。
とはいえ、普遍のテーマである「愛」のありようです。
美しさと愛って実は一緒に実在できないって知ってましたか?
僕はそう思っています。
もしも、美しい愛があったとしたら、それは外から見ているからです。あなたが観客だからです。
愛は中に入れば生活と匂いを醸し出しています。そして生き物のように死がちらつくのです。この物語に、白濁の匂いを感じました。
二人は愛を語っています。愛していました。
そして、溶けて無くなったのです。




●戸崎 佐耶佳さん「その指先が絡まる時」

小さな頃の約束っていいですよね。でも、実はそれはその人との約束だけでは無いんですって。戸崎さんは僕らに教えてくれます。自分との約束を忘れないで欲しいって。ハッピーエンドっていくつもありますが、それはキラキラしている宝石だから好きなんじゃ無いんですよね。自分に投影できて、希望が湧くからなんですよね。
もしも、子供の頃にした約束があるのなら、それを守ってあげたいと。
自分に思えた作品でした。




●岩代ゆいさん「約束しよう、僕らはあの虹に乗る。」

一部始終が綺麗な虹へ続いているように読み取っても良かったんですが、素直さが僕には無いのか、この虹には乗れないことが決まった人の話に読めてしまいました。誤読であったら、ごめんなさい。
もしも天使のような彼女の心が書いた虹がとても綺麗に見えるのであれば、それはもう、自分がそちらに近づいているからだと思ってしまいます。
神はいつも、綺麗な魂のものから側に置きたがると良く言われる話です。
ゆいさんは、美しく切り取ったこの物語の先に、とても鋭利な結末を隠している気がしてなりません。でも、だから強い言葉で、タイトルを持ってきたように思えてしまうのは、僕の勘ぐりなのでしょうか?
綺麗な話でした。




●薄情屋遊治郎さん「開けない指先達の絶唱。」

文章とは自分との対峙でありながら、それでいて、自分を曝け出す一つの方法です。書いたものを見せるというのはある種の恥ずかしさを感じるのは当たり前だと思います。でも、だからこそそれが格好いいということもあります。
剣を握る手は相手を打ち抜く技術です。
だけれども、そこにペンを握る時は、何をするものなのでしょう?
遊治郎さんは、同じように相手を見据えて、対峙して語るのでしょうね。
山の中での一シーンに痺れました。
描写、それは書き手の経験だと思います。小さいですが、握ったではなく、開いた手をみて、感じた感情を魅せたが素敵だなと思いました。




●よもぎさん「Close」

これは、あんまり言いたく無いけど、上手いんですよね。多分構成の力だと思いました。二人の話ですので、別段3人必要ない。でも、登場人物を増やしています。そして頭のところでしか使っていないのに、最後に効くように持ってきている。そして、ほんのりコーヒーの香りのような苦味を感じました。彼女が握り返すことが痛々しい。ずるいなと思っていいのか迷ってしまう。
彼がしたことはもちろんタイトル通りだと思います。
ただし、close friendship にあるように、親密な関係を表していたかもしれません。




●はる「手を繋ごう」

自分のことを良く見せなければならないって本当に息苦しいですよね。はるさんの物語の泪(るい)はそれを色で体現してくれます。僕らは感情の生き物です。感情は必ずしも良い色ばかりではないです。
それを受け止めてもらえること、そのような間柄で居られること。
多分、人に必要なものはそっちだと思います。
どの色も、あなたのものって、肯定されている気がした作品でした。




●い〜のさん「夜明け前に立ち」

大事な人とのお別れをすると、人は哀しさの海や闇に落ちていきます。その出来事は人をひどく損ないます。僕らの心は柔らかで、そして複雑に根のように絡まっているからです。深い根が無くなったら、そこだけが無くなるわけじゃないのでしょう。多分それが絶望と言われるものの一つだと思います。
それでも、そこから、その闇のような世界から、一歩踏み出すことを教えてくれるのもきっとその人なんだと思う。
見えたのは光の筋ではなく、ぼんやりとした暖かさだと思った。




●百瀬七海「まんまるの優しさを繋いで」

手を繋いで引っ張ってくれる男の人が、頼れると言われていますが、もしかしてそうじゃない人の方が良いかもしれないと思いました。
主人公の女性は繊細で、今という船の上で海の上を羅針盤もなく漂っているのです。その船が、どこにいくかも知りたくないような。それでも、一緒にいた男の人は、船を漕ぐのではなく、一緒に揺られることを伝えてくれます。そんなことを言いながら、夜空の星々の違いで、少しずつどこへ向かうべきかを教えてくれると。
このものがたりで、毎日のほんの少し幸せの形を見つけてくれる男の人の方が、長く頼っていけるのかもしれないと教えてくれています。
そんな風な人に僕も憧れてしまいました。
優しい、まんまるの幸せを見つけれる人になりたいと思いした。




●辰巳ろんさん「私と私の手」

長い私叙事詩です。自分というルーツをみる。そこにはたくさんの人の手が手を繋いで自分に届くことをピアノの旋律に乗せて教えてくれるのです。
家族のルーツというのは家系図を辿っていてもわかるものではありません。僕らの血に流れているものは、もっと感情の色合いが強く、そこに時間以上の積み重ねがあるのだと思います。
僕のこの手にも。そしてあなたのその手にも。
繋がれるという意味で、これほど巻末の最後の作品として相応しいものはないのかもしれません。



以上です。
いやぁ、紙で書かれている分いつでも読めるわけではないのですが、それでも読むときは集中して読める。本の中に入れるような気がしました。

編集後記に書かれたすーさんのお言葉を一つ拝借させていただきます。

感性と感性で繋がったこの世界に


すーさん、僕もそう思います。
ほんの少しの時空のはざま。あなたと出会えた、ものがたりたちです。


素敵なものがたりたちをありがとうございました。



2020.01.18 クマキヒロシ

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