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国立大学卒業後、お笑い養成所に入って、芸人になったけど挫折した話 その4〜ニセ就活〜
就活するふり
前々回に書いた通り、僕は疎外感に苛まれており、自分自身に強い劣等感を抱いていた。
そして、お笑い芸人になると決めたものの、親にも友人にも公表せずにずっと黙っていた。
なぜかというと、それを伝えたらきっと皆にバカにされるだろうと思っていたからだ。
だから、僕は就職活動をするふりをした。リクルートスーツを親に買ってもらい、企業や地方公共団体の面接や試験を受けた。
ほとんどの選考は一次で落ちた。当たり前である。面接の事前準備など全くせずに臨み、質問をされてはあたふたしていたのだから。
警察官
そんな中、警察官の選考だけは最終面接まで進んだ。筆記試験も体力テストも集団面接も突破したのであった。
最終面接まで進んだので、僕は真面目に面接練習を行った。内定をもらうことができれば、それを隠れ蓑にして大学卒業まで過ごせる。卒業間近に内定を蹴って、お笑いの道に進めばいいと思っていた。最低の考えである。
そして、僕はリクルートスーツに身を包み
最終面接に挑んだ。名前を呼ばれ面接会場に入ると、精悍な身体つきの面接官が並んでいた。とてつもない威圧感である。
僕は威圧感に気圧されながらも、なんとか席まで辿り着き、自己紹介をして着席した。
そして、面接官のひとりが、
「なぜ警察官になりたいのか、志望動機を教えて下さい」
と質問してきたので、僕は事前に準備していた通りの答えを述べた。
「ヘビに襲われてる近所のおばあさんを救ったときに、正義の心に目覚めたので、警察官になろうと思いました」
もちろん、落とされた。
面接官達は失笑していた。
僕としては、警察官になるための動機を自分の経験の中から一生懸命探した結果がそれだった。
かくして、僕の就活隠れ蓑作戦は失敗に終わった。
次へ続く