国立大学卒業後、お笑い養成所に入って、芸人になったけど挫折した話 その3〜お笑い養成所ってどんなとこ?入りたての頃編〜
ネタ見せの授業
僕の年度は700人の同期がいて、8組のクラスに分けられた。だいたい1クラス90人弱である。このクラス単位で授業は行われた。
養成所の授業は色々だ。1番のメインはネタ見せの授業である。その他にも演技、ダンス、武術、大喜利、有名芸人が講師を務める特別授業など、バラエティに富んでいた。
ネタ見せの授業とは、講師の先生の前で、それぞれが持ち寄ったネタを披露して、先生がそのネタに対してアドバイスをしたり講評したりするというものだ。
講師の先生は現役の構成作家の方だったり、往年の漫才師の台本を書いている作家さんだったり、5人くらいの先生がいた。
相方がいない
しかし、ネタ見せの授業といっても、入学当初はコンビを組んでいる人は少なく、ピンネタができる人もほとんどいなかった。
養成所には、ほとんどの人は一人で入ってきて、養成所内で相方を探した。僕もそんな中の一人だった。
だから最初の頃は皆、自己紹介をしたり、一発ギャグをやってみたり、たまにピンネタを披露したりしていた。
傍からみたら、ネタ見せの授業とは程遠いい、けっこうカオスな状態だったと思う。
クラスの雰囲気
僕もそれらの人達に混じって、3連続一発ギャグを披露し、失笑を買った。
まぁいきなり知らないやつが出てきてワケのわからないことをするのだからウケる訳がない。
それに、入学したての頃は、ピリピリした雰囲気だった。なぜなら、皆自分が一番面白いと思って入学してきているのだから。
700人の自分が一番面白いと思っている奴らが一斉に集まっているのだから、ピリピリするのは当然のことだった。
飲み会
そんな中、誰が言い出したのかわからないが、クラスの皆で飲み会が開かれた。
お笑い的にはピリピリしていたが、やはり同じクラスになった者同士仲良くするに越したことはない。
その頃からやっと、ネタ見せの授業時のピリピリ感は薄れて和やかな感じになっていった。
和やかになったが……
クラスの雰囲気も良くなるにつれ、同じクラス内でコンビを組む人達も増えていった。
あるコンビの漫才が大ウケするなど、だんだんネタ見せの授業でも笑いが起こってきた。
しかし、ある講師のネタ見せの授業のときである。その講師はネタを見ても一切笑わないことで有名な人だった。
先程書いたコンビの漫才を見て、クラスの皆が笑っていると、その講師は、
「お前ら、同期のネタ見て何笑っとるんや!」
と怒り出した。
その講師が言うには、もっと緊張感を持ってネタ見せの授業に臨めということだった。
その一件があってから、皆はある程度真面目にネタ見せの授業に出るようになった。
僕自身はというと、相方をなかなか見つけることができず、ネタ帳にコントや漫才の台本を書いては、鬱々とした日々を過ごしていた。
次へ続く