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Vol.32 大串 英梨子|自分のことをいろんな視点から知りたい博士

#楽しく生きたい #筋再生 #幸せってなんだろう

1.どのような研究をしていますか?

 私の研究室では筋ジストロフィーという遺伝子が変異することが原因で筋肉が徐々に壊れていく疾患に関する研究をしています。この疾患のモデルマウスは人の患者さんと同じように遺伝子に変異がありますが、重篤な症状は見られません。そこで、筋ジストロフィーのモデルマウスでは遺伝子変異による筋肉の萎縮を抑制する因子が働いていると考え、モデルマウスで多く発現している因子の探索が行われました。この探索で見つかった候補因子が本当に筋肉の再生に関与しているのかを明らかにする研究をしています。
 人の体や地球などのシステムは非常にダイナミックに動いているのに、そのものであり続ける、「動的平衡」がすごく好きです。生物を勉強したいと思い大学で学んでいますが、知れば知るほど底が見えず、面白いと思っています。

実験中の写真です()
研究室帰り道

2.どのような人生を経て、熊本大学に?

 10代は田舎で兼業農業をしている家庭で生まれ育ちました。小学生の頃は普通に歩けば30-40分の通学路を友人と草や生き物を採ったり、歌ったりしながら2-3時間かけて帰ることもありました。自然や生物は身近な存在だったため、散歩で気分転換をしたり、空、生き物、街並みを見たりすることが好きになったのだと思います。
 大学では生物を学びたいと思っており、熊大の理学部に入学しました。
熊大の理学部は、理学科として入学して進みたいコースを3年次に選べる仕組みがあり、コース選択まで理学について幅広く学べたことは非常に良かったと思っています。ただ、大学1年生の終わり頃からコロナ禍に入り、サークル活動やアルバイトなどができず内気になってしまった時期がありました。コロナ禍が明け、いろんな人と出会うこと、話すことの面白さを強く感じるようになって、今は研究以外にもいろんなことをやらせてもらっています。

散歩中に撮った空の写真
北海道音更町でのアントレワークキャンプでお邪魔した、よつ葉乳業のみるるちゃんと

3.現在取り組んでいることは?

 私は人への興味が根本にあり、自分についてできるだけ多くのことを知ってから人生を終えたいと思っています。高校生の頃は単純に「生物学って面白い」と思っていました。しかし、大学に入っていろいろ学んだり、いろんな方と出会う中で、世界の全てが人と繋がっているのではないかと考えるようになりました。なぜなら、私たちは人を通してでしか世界を知ることができないからです。例えば、空についても人の目線で捉えているし、研究しているのも人です。また、就職をしたいという思いがあり、就職活動で自分の大切にしたい軸を考えたときに、人に対する好奇心を軸にするとなんでも当てはまってしまうことを特に感じました。また、大学で生物学を学び、生き物という視点からも人を知りたいと思っています。
 そんな折、大学院でイノベーションリーダー育成プログラムが開講されていることを知り、これから社会に出る身として、資本主義社会にいる身として、ビジネスについて学びたいという気持ちから受講しました。初めは何もわからず、面白そうだということでSIRKUという社会自由研究サークルにも参加しました。SIRKUでは人の輪が広がっていくだけでなく、それぞれがやりたいことをやって輝いているのが素敵でした。ビジネスについても高尚なものだという印象があったのですが、実は身近なもので、考えてみないと何も始まらないし、深く知れないことを感じました。私の場合は、現在も人に対する興味が続いています。中でも人の「幸せ」についてすごく関心があります。私の家族が突然亡くなるという経験からより強く思うようになりました。幸せは絶対的なものではなく、人によって大きく違います。でもこうすれば幸せになる確率が上がるということはあると思っています。幸いなことにビジネスプランを考えて、共感してくれる仲間を見つけたり、発表し、評価していただいたりする機会を得ました。実際に起業するイメージはまだ持てていませんし、どちらかと言えばイントレプレナー(社内起業家)になりたいと思っていますが、人の幸せを生むための手段としてビジネスを捉えられるようになりました。すごく貴重な学びと人との出会いができたと感じているので、学生の方は興味があれば是非挑戦してみてほしいです。

4.生ている中で大事にしていることは?

 「自分についてできるだけ知る」ということと、「人の幸せで社会をよりよくする」ということを大事にしていきたいと思っています。この2つは自分の人生のミッションとして考えており、模索している最中です。「動的平衡」は自分の中で大事にしたい価値観としてあり、変化する自分を楽しんでいきたいです。
 他には、「挑戦すること」も意識するようにしています。「挑戦」は何も大きなことばかりではないと思っています。例えば、「今日は○○する」と決めてすることも挑戦だし、いつも通らない道を通ってみるのも挑戦だと思っています。そして、その挑戦を振り返ってみると面白いです。私は「初めては一度きり」だということに非常に悔しさを感じています。だからこそ振り返りたいし、記録しておきたいです。是非自分なりの挑戦をして、初めてをたくさんやってみて、自分の変化を楽しんでみて下さい。

天草で撮った写真
人みたいな形の雲

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