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逆転のトライアングル 笑えないギャグ満載
ティタム・チャニングの肉体美「マジックマイク」と迷った末に、カンヌ映画祭パルムドール賞「逆転のトライアングル」を観た。大阪ではどちらも3/23が最終日。こっちにして大正解だったかも。
そのこころは、イケメン男子の上半身裸ランウェイを堪能できたから。(ソコか)
そして、ブラックユーモアに包まれた現代社会の格差をみごとについていたから。
三部構成になっており、私はそれぞれの主役女優さんの個性が非常に面白かった。
※ネタバレを含みますので、未見の方はご注意ください。
一部:ヤヤとカール
主役はインフルエンサー兼モデルのヤヤ
可笑しくて可愛くてケラケラ笑った。しかし、笑い声は私だけだった。
え?えっ? 大笑いするシーンでしょ⁈
例えば
モデル・オーディション男子の冒頭シーン
”みんな寄って,笑顔振りまいて“
by H&Mのダイバーシティ笑顔
vs
“誰にも媚びない富裕層のしかめっ面“
by バレンシアガの不機嫌顔
ファッション男性モデルのギャラは女性の1/3 なんてバラしちゃってるし。弾ける笑顔やウォークを魅せたあと、オーディション落戦後のディナーはインフルエンサーのGFと仲違いするし。
稼ぎは女性の方が多いのに、お勘定は彼氏まかせっていうのもあざと過ぎる、偏見だよね。
カップルの立ち位置が微妙すぎて笑うしかない。
二部:ヨット
主役はチーフ乗務員ポーラ
ロシアのクソ大富豪は親子ほど歳下の豊満女性とカップルで、お上品なイギリスの紳士淑女の家業は武器商人で、ゲーム会社を売って金が有り余ってるオタクはエスコート女性がなく1人乗船で、船のクルーにわがまま言い放題の老婦人などなど。クセ強め人物の中で、ポーラただ1人、テキパキ仕事をこなす。
とにかく船長が飲んだくれでだらしなくて、お手上げ。ポーラが持ち上げたりなだめたりして、なんとか船長主催ディナーまで漕ぎ着けるのだが...
嵐の中で飲みながら、ロシアの富豪が資本主義について語り、ドイツ系?アメリカ人船長が社会主義について苦言を述べるシーンがツボだった。船内マイクで名言に名言でかえす、ヘベレケふたりの教養に隠されたブラックユーモアが炸裂。
監督がロシアとドイツに挟まれたスェーデン出身ならではの、スリリングな体勢批判とも言える。
三部:島
主役は清掃スタッフのアビゲイル
三部は、私には身につまされた。アビゲイルはアジア系。船内でもデッキで乗客の世話をするには白人系、船の下層に押し込められていたのはアジアや他のカラー系だったから。
豪華クルーズ船は沈没しカースト制総崩れにより、ピラミッドの頂点は資産家でも美貌でも影響力でもなく、サバイバル能力にたけた者。
二部で船のクルーを馬鹿にしていたカール(白人)はアビゲイルの下僕に成り下がる。
ところがラストの5秒前、アビゲイルはどうなったかは結末見せずに暗転..という終わりかた。日本やUSではウケない感じ、私は好きですけど。
笑えるか、笑えないか。それが個人の器をうつしているに違いない。
観た人と結末をどう読むか語り合いたい。
⚫︎ボイラブ人生さんの感想は的をついてます.
ぜひこちらも参考に!
Sadness of triangle
逆転のトライアングル
監督:リューベン・オストルンド
2022年 カンヌ映画祭 パルムドール賞