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読書録

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ミステリが好き! 自分の読後録と,心に刺さった読書感想をあつめています。三年半かけて「芥川賞ぜんぶ読む」,ひと月一冊は読んでるものの文字おこしが遅々として進まず...。
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2023年10月の記事一覧

破局/赤頭巾ちゃん気をつけて ふたつの青春小説:芥川賞ぜんぶ

7月19日、第169回芥川賞が発表され、なかなか追いつかない上にさらに読むべき本がずしんとのっかってきた、2023年盛夏。ほんま毎日暑すぎる。 2000年代の「破局」と昭和後期の「赤頭巾ちゃん 気をつけて」。二冊の共通点は主人公が男性で、幼い頃から「女の子にはやさしく接しないとダメだ」と教えられて育ったこと。かたや22歳就活真っ只中の陽介、こなた18歳の東大受験をやめざるを得ない薫くん。 ふたりの青春は1ミリも似ていない、女の子を大切に扱う点以外は。 破 局 ●第163

ふたりの津村さん。土恋/浮遊霊ブラジル。 (芥川賞,または過去に受賞した作家さんの小説を読む)芥川賞ぜんぶ

はじめての街を歩き、はじめての本屋を発見したら本を一冊買う。 幼いころには町の商店街に必ず本屋が一軒あった。小学生のドリルや中学生の参考書、毎月送られてくる「科学となんとか」も月刊の少年漫画・少女漫画もその本屋さんが受け取り場所で、今月号の付録は何かなぁと届くのを心待ちにしていたものだ。 そんなちいさな本屋さんがどんどん閉業に追い込まれる現状をニュースで知り、ちっぽけな一歩だけれど、マイルールに従いはじめての本屋で本を一冊買うのを実践している。 さて、今年の夏は京都に毎月