突然!老々介護サポート 1
突然!老々介護サポート 1
2021年9月中旬。
日曜日で仕事が休みだった私は、午後の遅い時間をのんびりしていた。
そろそろ夕飯を作らねばと思いつつも。
そんなとき、スマホが着信を告げる。
その頃は迷惑電話が多い時期だったので、またかとスマホの画面を一瞥する。
ところが、画面には母の名前。
時として、迷惑電話より迷惑な電話を掛けてくる相手だけに警戒レベルが2つほど上がる。
案の定、電話に出ると間延びした声で
「あのさ〜、おばちゃんが具合が悪いって電話して来てさ〜。様子見に行ったら明らかにおかしくて、これはいかんと思って連れて帰って来たさ〜。もう一人じゃ無理だし、このままこっちに置いとこうと思うさ」
はぁ!?
具合が悪いと訴えてる相手、見るからに具合が悪くって放っておけない相手。
なぜ病院に連れて行かずに、自宅に連れ帰る。
しかも伯母の家は隣県で、持ち家もあるし、更には人嫌いで引き籠りのような生活をしている伯母は実の妹といえども人と一緒に暮らすという所業が難しい。
ゆえに、同居するような準備は何一つ進めてない。
「一緒に住むなら家ももう甥(私の従兄)にやってしまえばいいと思って、もう電話もしたさ」
はぁ!?いやいや、ちょっと待て。
「やって」って、タダ同然で譲り渡して、伯母のこれからの諸費用はどこから出る!?
長寿大国日本。この先10年どころかもしかしたら20数年先だって元気かもしれない。
先は施設に入ってもらうしかないのに、その諸費用は。
さらに、独り身になって長い伯母だから、昔から家には固執していて売る考えは欠片もない。
まさに「はぁ!?」しか出ない。
今は具合が悪くて気が弱くなっている伯母だが、体調が回復したなら同居は絶対拒むはずで、家も売らないの一点張り。たとえ甥にだってタダ同然など以ての外。
絶対一悶着起きる。断言できる。
そういった諸々をすっ飛ばして
「うちに連れて来た」
と言うのである。
これ即ち、『うちに連れて来たから後はよろしくね』ということなのである。
俗に言う、『丸投げ』ってやつである。
おまけに母自身の介護も、うちの実家の後も、いずれは私に回ってくることはほぼほぼ決定事項なのである。
まずは差し当たって、老いた姉妹の老々介護をサポートすることになる。
けれど、ごく近い将来にW介護することになるのは私だ。
それにまつわる諸々の事情も。
その全てが突然降って湧いたのだ。
平和な休日の、だらけてた私の両肩に。
続く
kumacchi 2022.03.18