＜40代独身・子なし＞正社員からパートの道を選んだら

「40代独身・子なし」

と言うと、どれほどのパンチ力があるだろうか。

今の時代、そんなに珍しくもないかもしれないけど。

40代で独身でいることも
子どもを作らないでいたことも
そうしたいと思っていたわけではなくて

今を一生懸命に生きていたら、いつの間にか40代になっていた。

というのが正しい。

だけど結果としては、これが自分で選んだ道なわけだ。

「こんなはずじゃなかった」

とは思っていない。

こうなるとは思っていなかったけど。

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つい数年前まで私は一部上場企業（当時）の正社員で、単身用分譲マンションに住んでいた。

それはそれはもう、

地獄だった。

上司が厳しいわけでも、ノルマが厳しいわけでもなかったのに。

膨大な仕事量を前に、完璧主義すぎる私は全てを完璧にこなそうとしてキャパオーバーに。

眠れない。

動悸がする。

思考が停止して手が止まる。

気を抜いたら涙が出る。

「抑うつ障害」

診断結果にショックを受けることはなく、
むしろホッとしたのを覚えている。

休職してからも幸い、外に出る元気はあったので毎日ヨガに通うことで落ち着きを取り戻し、３カ月で職場復帰。

しかし心の病というのはそんなに簡単に完治するものではなく、復帰から半年であえなく再発。

あろうことか、当時一緒にプロジェクトを担当していた年下の男性社員の前で

「もう、もうこれ以上できませ…うぅ、ごめんなさい、うぅ」

と、ボロボロと泣き出してしまった。

可愛い新卒社員でもない40代の私の泣きっぷりに、その男性社員は一瞬ギョっと目を見開いたものの、

「大丈夫ですよ！僕がやりますから！コーヒーでも飲みますか？」

と、涙でグチャグチャの私にコーヒーを買ってくれた。

仕事を辞めたい。

でも転職活動をする気力が出ない。

だけどマンションのローンが残ってる。

ローン完済するまで抑うつを繰り返しながら今の仕事を続けていくのか？

地獄だ。

このまま何もしなければ、この先に待っているのは地獄でしかない。

独り身なのはいい。

この先の人生がどうなるかわからないのもいい。

だけど、先が地獄だとわかっている人生をこのまま進むのは嫌だ。

ではどうする。

現状を変えたいのであれば動くか捨てるかするしかない。

私が選んだのは「正社員を辞める」こと。

それと同時に「分譲マンションを手放す」こと。

一般的には安定の象徴でもあるようなこの２つが、私の足枷あしかせなのだと気がついた。

しかしマンションの売却活動を始めてからも簡単には売れず、ギリギリの精神状態で何とか正社員を続けていたものの、限界を迎え

借金をつくることになってもいいからもう辞めよう。

と決意。

すると本当に不思議なもので、正社員からパートへ切り替えたのとほぼ同時にマンションも売却が決定。

収入は激減して家も古くなったけど、２つの足枷あしかせが外れたことでどれだけ心が軽くなったことか。

笑顔が増え、副業を頑張ってみようという気力も生まれてきた。

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「お久しぶりです！最近体調はどうですか？」

逃げるようにプロジェクトを抜けてしまってから約半年。

ボロボロと泣いた私にコーヒーを買ってくれた男性社員から連絡がきた。

プロジェクトを手伝ってくれたお礼にご馳走をさせてくれないかと言うのだ。

なんて奇特な人なんだろう。

「何かを得るためには何かを失わなければならない」

「手放すと入ってくる」

と、よく聞くけれど、それはこういうことなのかもしれない。

その彼と数か月をかけてお付き合いを始め、２年が過ぎました。

今月彼の実家にご挨拶に行ってきます。

手土産は何にしようかな。