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今日はこれくらいにしといてやる

今日は私の両親の話。

昨日父からLINEが入った。
「(あなたたちの)事業所の掃除をしてもいいですか?」

父は普段は掃除をしない。普段の掃除は母にまかせている。
しかし、1回掃除をし始めると、徹底的にこだわりを持ってやり始める。

どうやら一昨日、事業所のロッカーの組み立てを手伝ってくれた際に、棚の上のほこりが気になってしまったらしい。

「母親と2人で勝手にやりたい」と志願してきたのだが、事業所は日曜でお休みだ。カルテ等の個人情報もあるため、関係者ではない夫婦を2人にしておく訳にもいかず「私も行くよ」と返事を返した。

そして夫婦で掃除をし始めた。

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なんだかこのようなスチームクリーナー?(有名なんですか?)を持ってきて随分いろいろなところの汚れを落としていた。

(余談だが父はすぐ新しい掃除道具を買ってしまうのだ。以前百貨店に行って、実演販売のおじさんにつられて買った掃除道具が大して効果を発揮しなかった時に激おこしていた姿を私は未だに忘れられない。)

私はその間、看板作成用のボンドが無くなってしまったので、ホームセンターに出かけたりしていて、全く両親の奮闘ぶりを見ていなかったのだが、帰ってくるなり母親が
「いいよー落ちてるよーすごいよ〜!」など父親の掃除っぷりを褒めたりしていて、
(相変わらず仲の良い夫婦だな)なんて思っていたりした。

「どんどん汚れが落ちるから切りがないわね!」と母親は満足そうだ。
私たちの事業所は、現在までしばらく使用していなかった地元のクリニックの建物をお借りしたため、10年以上人が出入りしていなかった部屋の壁やタイルや棚は掃除のしがいがある箇所がたくさんあった。

しかし、時間もけっこう経っていた。それに気づいた母親がある一言を発した。

「今日はこれくらいにしといてやるわ」

「勘弁してやる」

私が「?」と言う表情をしていたためか、母親が説明して来た。

「最近、お父さんと一緒にやることって言ったら2人で掃除することぐらいなのよ。掃除って面倒くさいでしょ。でも2人でやるとはかどるし、最後にこれくらいにしといてやる!って言って終わりにするの。そうすると面倒くさい仕事が何だかすっきり終わって切りが良くなるのよ。だからいつもこのセリフを言って終わりにするの。」

今日はこれくらいにしといたるわって。あんたたちは池乃めだかさんか。


と心の中でつっこんでしまったが、両親が相変わらず楽しそうなので、見ている私も何だか気持ちがほっとした。

そして「今日はこれくらいにしといてやる」と思ってると案外何事も良いかもしれないなと感じた。

余裕がなくて精一杯でも、何だかまだ余裕がありそうな気持ちになれるし、不利な立場でも途端に有利な立場になったような気分を味わえるし、つらい出来事もそういう遊び心があると乗り切れるかもしれない。

明日から、心が折れそうな位の横柄な人に対応する時や、筋トレなど運動してへこたれそうな場面で「今日はこれくらいにしといたるわ」と心の中で言ってみようと思う。

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