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ハムとチキンラーメンと冒険の浪漫

久しぶりに仕事帰りにTSUTAYAへ寄った。

DVDを1つ取り寄せ依頼をして、2つレンタルした。

レンタルしたうちの1つは「新世紀エヴァンゲリオン」だ。

実は私はこの作品を今までみたことがない。

遡ること、数十年。当時は中学生。
私は美術部に所属しており、美術部とは名ばかりの「漫画アニメ研究会」と化した部で、毎日放課後を過ごしていた。

私はどちらかというと一般的な「美術」を習いたくて、入学時に入部を志望したのだが、当時の顧問の先生は美術とは全く関係のない教員で、部活動に顔を出すこともなく、部に対する熱意は感じられない状態であった。

私はがっかりした。
こんな理由で一年生の時はほとんど幽霊部員であった。

ニ年生の途中で担当教員が変わり、美術に対する指導をしてくれる人が現れたので、私は再び放課後を美術部で過ごすようになった。

その多感な時期。14歳の頃に流行したのが「エヴァ」だ。

主人公の「シンジ君」が私達と同じ年齢であったことも影響したのか、美術部の生徒たちは瞬く間にエヴァのとりこになった。

多くの部員達が、放送された内容について白熱した議論を展開し、キャラクターの絵を描き、同人誌の即売会に行くといった、熱狂的な様子を毎日見せていた。

私はそんなお熱な彼氏彼女たちを見て「すごいなぁ」と、ちょっと距離をはかりながら様子を伺っていた事を今でも覚えている。

その後、エヴァを見ていない私は、度々「エヴァを観た方が良い!」と言った意見を耳にするようになる。

あの宇多田ヒカルさんも「これからこんな素敵な作品を何も知らない状態で観られる人がうらやましい」と発言をしていた(ような気がする)

私は「いつか観よう、そのうち観れる」とかすかに思いを抱きながらも、とうとうこの年まで観る機会をもてなかった。

それと同時に、あるあるネタでエヴァで例えられると話題についていけない自分に毎回あせっていた。

そして、昨日。

担当している私より若い利用者さんがとうとう「エヴァ」ネタを出してきた。

立ち上がり時に、自身より背の低いヘルパーさんに介助してもらった際に「介助がへたくそだから、あごがヘルパーさんの肩に乗っちゃって、グキッと首が変な方向にそれた。」
その動きがまるで初号機のようだった
と発言したのだ。

????

どうしよう、全然わからない。


と、いう訳でいろいろ観念してレンタルしてきました。(まだ観ていません。)


もう1つは娘からのリクエストで「耳をすませば」にしました。

娘はカントリーロードの曲はよく知っていたのですが、映画自体はきちんと観たことがなかったようなので、親子で一緒に鑑賞することにしました。

「あーこの二人の思い!くっついてしまえ」

「若い!青春だ!」

「バレバレや!思いがバレバレだ。こいつら!」

「こんなん惚れてまうやろ!」

「こんなやさしくて暖炉でロッキングチェアで揺れながらパイプ吸って、素敵な思い出があって、こんないい感じのお店をやって、孫もイケメンで、楽器もできる素敵なじいちゃんがいるかー!!どこにいるんだ!!見たことないぞ!!」

と娘が横でぎゃーぎゃ―言いながら観ていたので、私はそんな娘を楽しみながら一緒に横でぎゃーぎゃーしていました。(私は何回も観ているはずなのですが、細かい所はやっぱり忘れていました。)

映画終了後に、私はある情報を娘に伝えました。

「この聖司くんの声は、この前一緒に観に行ったるろうに剣心の桂小五郎さんの人だよ」

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「??????」
娘は大変混乱していました。

そして混乱したためなのか、なぜか

お母さん、私、今からポニョを観るよ!

といきなりポニョ宣言をしてきました。


「崖の上のポニョ」のDVDは以前購入したものがうちにありましたので、そのまま流れで鑑賞しました。

娘はこの映画の「チキンラーメン」のシーンが大好きで、小さい頃は目をキラキラ輝かせながら観ていた事をよく覚えています。

今日もその時と変わらないキラキラした目で「これこれ」と嬉しそうな様子でした。

娘が度々口に出していたのは「浪漫」ということばでした。

チキンラーメンにもハムにも、ポニョとそうすけが2人で船に乗ってすすむシーンも「浪漫!」を感じるそうなんです。

自分が今、好きな物の原点がこの映画につまっている

そう、彼女は発言していました。

何気なく親子で観ていたものが、こうやって一人の人間を作り上げているんだなと、私は非常に感慨深い気持ちになりました。

小さい頃の体験を一緒に振り替えることは、お互いに新しい発見があったり、当時気づかなかった思いに気づくことができたり、とても楽しいものなんだなとも感じました。

これは思春期以降ならではの、ある程度自分の事を言語化できるようになったからこその、子どもとの楽しみ方かもしれません。

一緒に楽しい時を過ごせた我が子に感謝しています。

また、映画を一緒に観ようね。



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