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29歳になって

29歳になった。
いま、生きることが、楽だ。

心の中にあった穴が埋まったからだ。
きっかけの一つは、修士論文の執筆だ。
孤独で仕方が無かったし、何度もくじけそうになった。
自分の首を自分で絞めるようなことも、よくあった。
しかし、とことん落ちた先には、必ず友人や先生、父親の姿があった。
そうすると涙が溢れてきて、もう少し生きてみようと、息を吸うことができた。
こんなことを繰り返しながら、もがき続けてみた結果、わかったことがある。

心の穴は、埋まる。
痛みに寄り添ってくれる人の存在に気づいたときに、埋まる。
もちろんこれは、一朝一夕にはいかない。傷が深い分だけ、時間が必要だ。

穴が埋まってみると、「次は自分の番だ」という気持ちが、おのずと沸き上がってきた。
他者の痛みに寄り添いたい。自分がしてもらってきたように。

小林多喜二が、「我々の芸術は、飯を食えない人にとっての料理本であってはならない」と言っていたようだ。

謙虚に学び続けようと思う。


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