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日本社会福祉士会の退会理由

数年前に,10年以上入っていた日本社会福祉士会を退会した.
社会福祉士を取得したなら職能団体に帰属するのは半分義務みたいなモノだと思っていた.しかし,それでも退会した.

当初から,そもそも私自身が施設で介護や生活指導をする立場にあって,相談業務に関わってこなかったと言うことがある.自身のキャリアとして,地域包括支援センターで2年,デイサービスの相談員で4年という機会はあったが,それ以外は知的障害児や救護施設での施設内での介護業務が大半だった.

ちなみに平成30年の厚労省による「社会福祉士の現状」では,相談指導員が34%であり,介護系は13%となっている.このことから決して,社会福祉士がソーシャルワーカーとして活かされているとは言いがたいとも言える.

社会福祉士の現状(参考資料)

この自分はソーシャルワーカーとしての仕事をしていないことが退会の最も大きな理由だったと思う.

それでも青年部会のローカルな勉強会は手作り感があってアットホームだったし,基本的に社会福祉士会に所属している人たちは気の良い人たちが多かったこともあって,懇親会とか楽しかった.

その後,認定社会福祉士の制度が始まるあたりから,基礎研修が入り込み,本部によるコントロールが働き出すようになってきて,面倒くさくなってきた.

この認定制度,批判をすればきりが無いけれど,ハッキリ言って失敗だったと思う.やたら手間を時間,そしてお金をかけた割に実効性があるのかどうか(一部にはあるが,大半の人にとってどうなのか).取得した後の維持や更新など,果たしてどうなのか.
更新についての面白いアンケート結果がある.
また認定社会福祉士についての批判は,内田洋行さんのブログ参照のこと.
とにかく,認定社会福祉士のための基礎研修が始まったあたりで,一介護職員としてはついていけないなぁと思ったことは確か.

細かいところでは,社会福祉士会では学会や研究紀要が発刊されている.しかし,研究紀要があまりに薄い.研究論文の審査が厳しいのか,応募に対して掲載が少なかったと記憶する.一会員としては,毎年送られてくる研究紀要が年々薄くなってきて,大丈夫かなぁと思っていた.
ちなみに,日本社会福祉学会では1万円の会費で,年に4回の分厚い紀要が送られてくる.近接の精神保健福祉士会でも年4回の冊子が送られてくる.

またソーシャルワーカーの組織団体でも日本医療社会福祉協会(通称,医療ソーシャルワーカー協会)があるし,日本ソーシャルワーカー協会などもある.それぞれに職種に応じたところに所属しているため,大本の社会福祉士会への入会率が上がらないのではないかと思う.

社会福祉士会を必要としている人たちは,相談業務,特に成年後見人や独立型社会福祉士であり,先の厚労省の調査からも34%の内の数パーセントだろうと思う.また,34%の内,MSWは医療ソーシャルワーカー協会に所属するだろうし.PSWは精神保健福祉士会もあるし.
生涯学習の必要性を社会福祉士会は訴えるが,地方にいるとその機会も少ない.ましてや変則勤務の多い介護職では土日に時間を作るのも大変.

こうして,認定社会福祉士の取り組みに疑問を持ち,また,自分職種を鑑みたとき,社会福祉士会に加入し続けても意味が無いなと思ったのが退会の理由だったと言える.

むろん,だからといって社会福祉士会が不要と言うことではなく,必要な人のために存在するためにがんばっている人たちもいる.ただ日本のソーシャルワークを考えたとき,日本社会福祉士会の置かれている現状はかなりキツイのでは無いかと思う.

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