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自然な英語スピーキングのコツは、「むずかしい単語はつかわない」こと
「むずかしい単語もつかったほうが、ネイティブっぽく聞こえるんじゃないか。」
英語をつかうとき、こんなふうに思ったことはありませんか?
英語学習に真剣に取り組んでいる人こそ、自分自身のボキャブラリーの少なさに悩んでいるもの。いつも同じ単語や表現をつかっていてはなんだか恥ずかしいので、あえてむずかしい単語をつかいたくなることもあるかもしれません。ただ、それは逆効果になる可能性があります。
自分にとってもはなしやすく、相手にとっても聞きやすいはなし方(さらに言えば、好印象を与えるはなし方)をするにはどうすればいいのか。そのために必要な考え方は、
「かんたんな英語ではなす。むずかしい単語や表現はつかわない」
ことです。
スピーキング
「むずかしい単語や表現もつかったほうが、英語ができる人のように聞こえるんじゃないか」。
そうともかぎりません。
むしろ、覚えたばかりで、テキスト以外で見たことも聞いたこともないような単語や表現は、つかったときにヘンに聞こえる可能性が大です。
それどころか、つかいすぎると、なんだか付き合いづらい人だなと思われる可能性さえあります。
日本語でも、かんたんなことをわざとむずかしく言う人、わざとむずかしい表現をつかってくるような人は、煙たがられますよね。それと同じです。英語では、こういう人のことを "pedantic" (衒学的)といいます(この単語にはネガティブな意味合いがあります)。
わざとむずかしい単語や表現を使う必要はありません。自分がつかいなれている英語ではなせばOKです。
では、具体的に「むずかしい単語や表現」とはなんなのか。
ここでは、「つづりが長い単語」や「発音がわかりづらい単語」をむずかしい単語とします。たとえば、
This wine is sophisticated.
(このワインは洗練されている。)
のような表現。"sophisticated" (洗練された)は、つづりが長いですよね。こういう場合、もっと短くてかんたんな表現で言い換えることができます。
This wine is good.
(このワインはいいね。)
これでいいわけです。
ここで、むずかしい "sophisticated" をつかったほうがカッコいいとか、ネイティブっぽいという意見もあるかもしれません。これが、そうとも限りません。
私は一時期カナダで働いていましたが、現地で感じたことは、「ネイティブはかんたんな単語を高頻度でつかいまわしている」ということです。
極端にいえば、ポジティブなことを表現したいときは、ほとんどの場合 "good" をつかえばOKです。
ここで、いつも同じ単語、しかもかんたんな単語をつかいまわすのは芸がないとか、ボキャブラリーが少ないことがバレるとか、そんな心配は無用です。ネイティブもこれをやっています。
もちろん、"sophisticated" と "good" の意味は厳密にはちがいます。でも、ポイントは、「"good" で表せるのに、あえて "sophisticated" を使う意図はなにか」というところです。一般的に「自分がいいと思った」と伝えたいだけなら、"good" で十分ですし、この方が自然です。
一方で、むずかしい単語や表現でも、それが業界や会社の専門用語である場合は、必要に応じてつかうことがベターです。自分も相手もその専門用語を知っている場合は、つかっていきましょう。専門用語は、時と場合によって適切に使えば「お互い同じコミュニティに属している」ことを暗に伝える効果があり、スムーズな人間関係の構築に役立ちます。
かんたんに表現できることを、余計にむずかしく、不自然にする必要はありません。
英語をはなすのに少し時間がかかるとか、発音、文法が少しまちがっているとか、そういうこと自体はまったく問題ありません。日本語が第一言語で、英語は第二言語なので、あたりまえです。
ライティング
「むずかしい単語や表現はつかわない」ことは、英語を書くときにも当てはまります。
例えばビジネスを想定すると、日本人が英語を書く場面として、英文メールの作成があると思います。
英文メールをブラッシュアップしたいときに気をつけることは、「カジュアルに書くこと」です。これには、むずかしい単語や表現を使わないことも含まれます。
(こちらについては過去記事でまとめています。この記事の下部にあるリンクから見られます)
もちろん、フォーマルでむずかしい単語や表現がずらりと並んだ文書も世の中にはありますが(紙媒体のビジネスレター、官公庁や法律に関する文書、学術論文など)、日本人がそのような英文ライティングを任されるケースは少ないと思います。
(万が一そうなったら、専門の翻訳家に依頼するのが得策です)
学校でフォーマルな表現を学ぶことはたいせつ
自分が英語をはなすとき、書くときに、あえてむずかしい単語や表現をつかう必要はないこと。英文メールでも、カジュアルな書きぶりを意識すること。これによって、誰にでもわかりやすい英語がつかえるようになります。
なお、これはよくあるような、
「日本の英語教育では、カタイ表現しか教えない。ネイティブはそんなふうには話さない。英語の授業では実際の会話でつかわれる表現を教えるべきだ」
とかいう話ではありません。
もし、くだけだ表現だけを学校で教えたらどうなるか。これは考えてみたらすぐにわかるのですが、例えば、日本人が初対面の外国人に、
Hey, man! What's up?
(よぉ、元気?)
のようにはなしかけるようになってしまいます。これがマズイことは誰の目にもあきらかです。
本当にたいせつなことは、場面に応じた適切な表現をつかいわけることです(これは「社会言語学的能力」と呼ばれます)。
ただ、あらゆる場面で完ぺきにつかいわけることはむずかしい。それであれば、学校の段階ではフォーマル寄りに学んでおいたほうが、はなしたときに相手をリスペクトした、ていねいな表現になります。
まずはていねいなことばをつかうことにはなんの問題もありませんし、そのほうが好印象ですよね。その基礎があったうえで、必要に応じてカジュアルな表現も取り入れていけばいいわけです。いきなりカジュアルな表現をつかうことにはリスクしかありません(日本語でもそうですよね)。
また、英文メールをブラッシュアップするコツについては、こちらの記事をご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
それでは。
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