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たかさきBIBLIOミーティング#38~好敵手と書いて○○と読む~

『ドキドキするけれど、どこかホッとする』
そんな、緊張と安心が入り混じった場所はあるだろうか。
僕にとってそれは、ビブリオバトルである。

先日、高崎で開催されたビブリオバトルに参加してきた。
たかさきBIBLIOミーティングと題されたその会は、『本をよく知り、ひとを深く識る。そして、あたらしいみちしるべを創る』というモットーのもと定期的に開催されており、今回で38回目となる。
ビブリオバトルを定期的に開催している、群馬県内でも数少ないコミュニティのひとつだ。

会場は【美食俱楽部・高崎】というシェアキッチン。
今にも食の至高VS究極の戦いがはじまりそうな荘厳なネーミングの店だが、とてもオシャレでカジュアルな雰囲気の店内で、ここでしか飲めないビールもあったりする。

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参加者は全部で10名、そのうち9名がバトラー。
はじめましての方もいれば、顔なじみの読書仲間もいる。
ちなみに、読書仲間の面々はバトル開始と同時に「オラ、ワクワクすっぞ」と口走りたくなるような好敵手へと変わる。

高崎のビブリオバトルは、テーマに合わせた選書でそれぞれが本を持ち寄り、本の感想やオススメポイント、本との思い出など、本に対する想いを5分間プレゼン。
そののち3分間の質問タイムを経て、いちばん読みたくなった本『チャンプ本』を投票で選ぶというスタイルである。

今回のテーマは『はじめて』。

小説、絵本、実用書など、それぞれが持ち寄った多岐にわたるジャンルの本から、思い思いの『はじめて』を語る。

あるひとは自身の初恋を本とともに力説し、またあるひとはホロ酔い気分で初の試みを軽妙に語った。なかには他のバトラーの発表を聞いて自身の発表にアレンジを加えてくる猛者もいた。

僕の選書は『ガンプラ開発者が語るニュータイプ仕事術 松本悟 著』。
生まれてはじめて没頭した趣味『ガンプラ』という切り口から、この本を紹介した。

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ビジネス書ではあるが、ガンプラ開発者である著者の体験談がエッセイを読んでいるようでおもしろい。
とくに、機動戦士ガンダムシリーズの富野由悠季監督と著者との『アーティストvs技術者』バトルは、まるでドラマのワンシーンを見ているかのような気分になる。

今回はそういった本著の内容とともに、自分の過去の記憶も織り交ぜながら発表。

小学生のとき、自らの初孫という特殊属性を駆使して、祖父母から調達した資金を全額ガンプラにつぎ込んだ記憶。
リビングの床に数多のガンプラを配置し、ひとり一年戦争ごっこに興じたあの日。
片づけるということをしなかった当時、幾度となく母親にあやまって踏み潰され、砕け散ったガンプラたち。

話し出すと、あっという間に5分が終了。
緊張するけれども、やりきった後の高揚感がたまらない。
また、発表するにあたって安心できる場の空気感があったことも、気持ちの高まりに拍車をかけた。
主催者さんのバトラーやお店に対する気づかいや配慮、そして何より『自分も思う存分楽しむぞ!』というスタンスが、この安心できる場の空気感を創り出しているのだろう。

2時間ほどで、全てのバトラーの発表が終了。
バトラー全員の発表を聞いて、気づいたことがひとつ。
思わず引き込まれてしまうバトラーの発表は、『本の感想』と『自身の思い出』のバランスが取れているということ。
僕の肌感覚ではあるが、本の感想が『6』で自身の思い出が『4』のような気がする。

自分語りの割合が増すと本の内容から脱線してしまうし、さらに最悪、自慢話に始終してしまうなんてことも(←僕の失敗談)。
逆に本の内容だけ語っていると、ただのあらすじ説明になってしまう。
このバランス感覚が、とてもむずかしい。
今回のビブリオバトルのチャンプは、このバランスが絶妙だったと感じる。
次回はこのバランス感覚を重視して挑んでみようと思う。

こんなご時世なので、リアルで集まることは難しくもあるけれども、主催者さんにはこれからも、このビブリオバトルという得難い場所をつなげていってほしいと切に願う。

そしてまた、本を片手にこの場所で会いたい。
バトルではお決まりの、好敵手と書いて『友(とも)』と読む面々に。

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