川遊び
いわゆる里山で育った。
オタマジャクシを取り、カエルの合唱を聴き、鈴虫の音色に囲まれ、雪が降るとあたりはシンっと静かになった。
野山と田んぼの畦道を駆け回った。
ただし、川で遊んだ記憶はほとんどない。
里山の風景として、夏になると子供が川で遊ぶ様子を思い描く人もいるかもしれないが、とんでもない。
川で遊ぶことはない。
危ないからね。
山の谷間を流れる川は、流量が少ない割に、とにかく急流。
そして、凍えるほど冷たい。
少し気を抜くと、あっさりと流される。
なにより、川は崖の下など、生活圏からかなり降った場所ににあって、足を運ぶのに苦労する。
危ないから近寄ってはいけないもの。それが川だ。
西瓜や胡瓜、トマトを冷やして食べるんじゃないの?と思うかもしれないが、それは用水路で事足りる。
ザリガニ取るのは?
池か沼だ。簡易的な釣竿で取る。手掴みなどしない。
川は、危ない。