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箱根駅伝の楽しみ方 ~安全な運営を支える人たち~

2023年も残り1日と少しとなりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
 
さて、今回の記事はタイトルのとおり「箱根駅伝の楽しみ方」です。
今さらそんなことは熊耳から言われるまでもないと、熱心な駅伝ファンの方なら思うかもしれません。
勘のいい私の知り合いなら、おそらくタイトルを見た段階で気づいていると思います。
箱根駅伝の楽しみ方は、純粋に競技を見る以外にもあるのです。
 
ということで今回は、日本でもっとも有名で大きな駅伝である箱根駅伝を、競技の安全面から支える警察車両にスポットを当て、緊急車両大好きで、もともとは消防官になりたいと思っていた私が独断と偏見だけで書いた、ほとんど需要のない自己満足の記事をご覧いただきたいと思います。
 

箱根駅伝の舞台


それではず、箱根駅伝について改めて確認です。
箱根駅伝とは、毎年1月2日・3日に行われ、山梨県を含む関東地方にある大学(=関東学生陸上競技連盟加盟校)を対象とする大学生の駅伝大会です。

そしてその舞台は、東京都千代田区大手町の読売新聞本社前から神奈川県箱根町の芦ノ湖を往復する10区間217.1kmの駅伝です。

大正9年から始まったこの大会は、太平洋戦争の戦火により中止となった時があったものの、2024年に開催される大会で100回目を迎えます。
 

注目ポイント① 1区と10区を担当するのは警視庁


この大会、1区は大手町を出発し田町、品川、六郷を抜けて神奈川県川崎市の鶴見中継所までを走ります。10区はその逆です。
ここで、この区間の交通規制や沿道警備、選手の先導を行うのが警視庁です。

警視庁と言えば、首都東京を守る警察ですので、他の道府県警察よりも何においてもスケールが違うのですが、箱根駅伝の体制も桁違い。
まず、一番テレビに映る先頭の選手を導く白バイは、白バイの乗車技術に特に優れた隊員が乗っていることが多いです。警察の中で白バイの運転技術に関する競技会があるのですが、ここで全国優勝・入賞するような警察官が乗ることが多いと言われています。

注目ポイント② 2~9区を担当するのは神奈川県警察


鶴見中継所の先は戸塚、平塚、小田原の各中継所がありますが、ここを担当するのは神奈川県警察です。

神奈川県警察も規模の大きい警察ですので、もちろん出してくる車両も数も相当な数になるのですが、神奈川県の区間だけで約80kmあるため、鶴見中継所から平塚中継所までの2、3、8、9区は神奈川県警第一交通機動隊が、平塚中継所から芦ノ湖までの4、5、6、7区は神奈川県警第二交通機動隊が担当しているようです。

注目ポイント③ 先導白バイの乗務員~夢を実現する人たち~


箱根駅伝中継では、実況の途中に白バイ隊員の紹介と警視庁・神奈川県警察からのお願いをアナウンサーが読み上げます。
この時によく聞かれるのが「箱根駅伝の先導をしたくて白バイ隊員になった」というもの。

これ、脚色でも何でもなく、本当にそう思って白バイ隊員になりたいお巡りさんが実際にいます。私は元警視庁警察官でしたが、実際にそういう理由でお巡りさんになった人が同期にいました。
選手だけでなく、選手を守る白バイの乗務員にとっても箱根駅伝が特別なものであるということなのです。
 

注目ポイント④ 警視庁の激レア車両~交通機動隊のランクル~


テレビで1区、10区の先頭を映している時、必ず選手の後方に車両の下半分を紺色、上半分を白に塗られ、屋根にお立ち台を載せたランドクルーザーが走っています。

これは「現場指揮官車」と呼ばれるもので、文字通り現場の最前線で指揮を執る部隊長が乗っている車です。この車両自体、交通機動隊所属のものですが、なかなか東京の街を走っていて交通機動隊の現場指揮官車を見かける機会が無く、その車両をテレビでずっと見ていられるので、緊急車両大好きな私にとっては贅沢な瞬間なのです。
 

注目ポイント⑤ 環境負荷の少ない白バイ~ゼロエミッションの取り組み~


近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素の排出をゼロにする「ゼロ・エミッション」に取り組む企業や団体が多くなっていますが、東京都でもこの取り組みを推進しているということです。

その一環として警視庁でも電動バイクを導入しており、既に箱根駅伝や東京マラソンで先導を行っています。

警視庁が導入したのはBMWの電動スクーター。HONDAのCB1300やYAMAHAのFJRの白バイを見慣れているので、最初に見た時には白バイらしからぬシルエットに驚きがあったものの、先導バイクにも時代が反映されているのだと感じました。
 

注目ポイント⑥ 1区・六郷橋の「襷リレー」


この記事で最も言いたかったのはこれです。

六郷橋は、東京都大田区と神奈川県川崎市を結ぶ、多摩川を渡る橋です。実はこの橋、警視庁から神奈川県警察に規制が引き継がれる場所なのです。
警視庁のパトカーや白バイは、六郷橋を下ると任務を引き継ぎ、転回して東京方面に帰っていくのですが、それを引き継いだ神奈川県警のパトカーが交通規制を敷くために走っていきます。この場所は警視庁から神奈川県警察に先導の「襷リレー」が行われる場所なのです。
 
その傍ら、六郷橋の側道には神奈川県警の白バイが車列を成しており、選手の通過を待ち構えています。この景色が圧巻で、ピカピカに磨かれた車体が並んでいる姿、選手通過を待つ隊員の姿がとてもカッコよく心強く思うのです。
 
また、六郷橋はラストスパートで選手が少しずつばらけるところですが、ランナーの走りを妨げることなく合流し、選手先導をしていく運転技術の高さに魅了されます。とにかくすべてが桁違いなのが箱根駅伝。安全を守るために2つの警察機関が全力を尽くしているのです。緊急車両マニアにとっては夢のような場所、それがお正月の六郷なのです。
 
ちなみに神奈川県警側の白バイにはそれぞれ役割があり、その順位ごとに張り付く固定の白バイと、レース状況に応じて自由に位置を変えて警戒を行う遊撃の白バイがあります。選手合流時には側道で遊撃班の班長が指示を出し、各白バイを出動させているようです。言葉で言っても分からないので、この感動はぜひ一度見てもらいたいと思います。YouTubeに動画を載せている方もいらっしゃるので、ぜひ探してみてください。

以上、独断と偏見だけで語ってきましたが、箱根駅伝をスポーツとして楽しむことはもちろん、運営の裏側にスポットを当てることでまた別の見方ができると思うのです。
 
皆さんはどんな楽しみ方をしますか?
 
この記事を書いている時点で、第100回箱根駅伝まで残り2日。
母校國學院大學の健闘を願いつつ、選手が最大のパフォーマンスを残し、日テレ、警察、東京・神奈川陸協関係者、協賛社など、関わる人全ても最高のパフォーマンスを発揮できるよう願っています。

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