山藤章二さんについて
9月30日、山藤章二さんが亡くなった。87歳、老衰だった。
山藤章二さんといえば、「ブラックアングル」だろう。
1976年から45年近く続いた、週刊朝日の名物連載だ。
政治家や芸能人の風刺似顔絵である。
それは一番最後のページに載っており、
「週刊朝日を後ろから読ませる男」とも言われた。
1937年、東京目黒で生まれた章二は、4人兄弟の末っ子で、
父は章二がうまれてすぐに亡くなったため、母が働いて一家を支えた。
小中学校時代は特技もなく、絵とは無縁だったが、
高校に入りたまたま覗いた美術部の部室で、
先輩のデッサンを見て衝動的に入部。見よう見まねで絵を描き始める。
その後、武蔵野美大デザイン科に進んだ。
学生時代に日本宣伝美術会展で特選(次席)。グランプリは和田誠だった。
卒業後、ナショナル宣伝研究所に入社。
のちにフリーになり、松本清張や寺山修司の連載の挿絵を担当。
1969年、野坂昭如の連載エッセイの挿絵を引き受けたことで、
デフォルメした似顔絵と辛辣な文章による作風が出来上がる。
そして、1976年からのブラックアングルと続くのである。
また、1981年から週刊朝日で開講した「山藤章二の似顔絵塾」では、
素人の似顔絵投稿から、山藤が合格作品を選んだ。
中にはプロになった人もいる。
「ブラックアングル」と「似顔絵塾」は、
2021年11月22日発売の週刊朝日12月3日号で終了したが、
「似顔絵塾」は、松尾貴史が塾長を引き継ぎ、週刊朝日が2023年5月に休刊になると、
7月からサンデー毎日に月一連載で継続している。